なんでもいい

榊 海獺(さかき らっこ)

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寂しがり屋達のOne Night Carnival(中編③)

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さて、運命のファーストライブの日程は3/26。児童館で行われる発表会の大トリを飾ることになった。

個人練習を終え、バンド練習に移るタイミングで2月は終わりを迎えた。運命のファーストライブまで、もう猶予は1ヶ月と無かった。ドラムセット(の一部)が無い状態。さて、いよいよ手詰まりか。
ここでまた先生の登場だ。音楽室倉庫をごそごそと漁り、電卓くらいの大きさの物を出してきた。
「それ何?」
「これはドラムマシーン。これをミキサーに繋げてスイッチを入れれば、ほら。」
モニターアンプから軽快なビートが流れ出した。
「ドラムセットが使えるようになるには、もう少し時間がかかりそうなんだ。仮に本番までに直ったとしても、練習が間に合わない。今回はこれでいこう。」
僕らにはもう他に選択肢は無かった。
ドラムマシーンに当初ドラムを叩く予定だった優の名前を足して、”ドラムマシーン優”名付け、正式メンバーに採用した。
これでメンバーは、ボーカルが直樹、ギターが僕、ベースがユウジ、キーボードが健治、ドラムがドラムマシーン優となった。

さて、ここでまた一つ問題が。優には何をやってもらおうか。流石に誘っておいて今更仲間外れには出来ない。しかしながら、ここは案外あっさり解決する。氣志團をご存知の方は、なんとなく想像はつくでしょう。そう。舞台袖で腕を組んだイカつい、、、ちゃうちゃう。
早乙女光(ダンサー)だ。

優はTheぽっちゃり系の体型だったのだが、運動神経が物凄く良かった。運動会では中心選手になれるレベルで。
優を説得して、いざ特訓開始だ。バンド練習の合間合間で全員で踊った。もう、ライブではなくダンスでステージに上がるんじゃないか?くらい踊った。
優がダンサーになったことにより、メンバーはボーカルが直樹、ダンサーが優、ギターが僕、ベースがユウジ、キーボードが健治、ドラムがドラムマシーン優となった。
同じバンド内に優が2人居るという珍事になった。

練習と並行して、衣装作りも行った。
衣装は学ランがよかったのだが、僕らの中学校はブレザーだった。そこで、仕方なくブレザーの下に派手なTシャツを着込むことにした。サングラスは当時地元で出来立てホヤホヤだったダイソーで購入。あとは直樹が頑なに譲らないリーゼント。知恵に知恵を絞った結果、ダイソーで売っていた海賊(子分)なりきり帽子に穴を開けて、持ち手付きタワシを突っ込んだ。そして、それに黒い毛糸を巻き付けていく。スーパー簡易的なリーゼントかつらの完成だ。予算の関係で直樹の分だけになってしまったが。これで衣装も一通り決まった。

衣装が決まったことにより、練習はより一層精が出た。そして、いよいよ運命の日を迎える。
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