62 / 101
エルマーの冒険
しおりを挟む
前回に引き続き、今回も保育園時代の話をしようと思う。
保育園時代から高校生まで、保育園・学校では様々な行事が行われてきた。その中でも心に残っているのは、保育園の発表会だ。
保育園行事の中で、入園式・卒園式を除く二大行事といえば運動会と発表会だ。発表会というのは、所謂文化祭の舞台の所だけを切り取ったようなイベントである。各クラス(学年)で歌や踊り、劇なんかを発表する。
僕が年長の時の出し物は劇だった。そして、題材は『エルマーの冒険』だった。
僕らのクラスでは毎日読み聞かせの時間があった。担任の先生が決まった時間に本を少しずつ朗読してくれる時間だ。その際に使われていたのが『エルマーの冒険』だった。
物語が進むにつれ、僕たちはどんどん引き込まれていき、実際に『エルマーの冒険』の劇をやることが発表された時には、もう皆んな虜になっていた。
配役を決める際は、もう誰が主人公のエルマーをやるのか取り合いに。ならなかった。登場する動物が多く、みんな見事に好みが分かれたのだ。挙手制で一人ずつ立候補していく。
僕はエルマーが好きだった。でも、引っ込み思案且つ、記憶力に自信があったわけでもない僕は、ずっと舞台に出続けてセリフを言う自信がなかった。
僕は虎役になった。黄色いポロシャツに黒い画用紙で作った縞模様を貼り付ける。ズボンは体操着のような短パンだった気がする。
当日、会場は保護者さん、他クラスの園児で満席だった。後方には三脚に乗せられたビデオカメラが何機もセットされていた。
劇を終えて分かったこと。虎役で良かった。僕にエルマーは眩しすぎた。配役の時点で躊躇している僕が、どんどん先へ進んでいく主人公など出来るはずがなかった。ましてや、満員のホールで皆の注目を浴びるなどもっての外だった。
舞台上で、エルマーに渡されだガムを大喜びで齧る虎。あの時齧っていたのはガムだったのか。やるせなさだったのか。今となっては分かるはずもない。
保育園時代から高校生まで、保育園・学校では様々な行事が行われてきた。その中でも心に残っているのは、保育園の発表会だ。
保育園行事の中で、入園式・卒園式を除く二大行事といえば運動会と発表会だ。発表会というのは、所謂文化祭の舞台の所だけを切り取ったようなイベントである。各クラス(学年)で歌や踊り、劇なんかを発表する。
僕が年長の時の出し物は劇だった。そして、題材は『エルマーの冒険』だった。
僕らのクラスでは毎日読み聞かせの時間があった。担任の先生が決まった時間に本を少しずつ朗読してくれる時間だ。その際に使われていたのが『エルマーの冒険』だった。
物語が進むにつれ、僕たちはどんどん引き込まれていき、実際に『エルマーの冒険』の劇をやることが発表された時には、もう皆んな虜になっていた。
配役を決める際は、もう誰が主人公のエルマーをやるのか取り合いに。ならなかった。登場する動物が多く、みんな見事に好みが分かれたのだ。挙手制で一人ずつ立候補していく。
僕はエルマーが好きだった。でも、引っ込み思案且つ、記憶力に自信があったわけでもない僕は、ずっと舞台に出続けてセリフを言う自信がなかった。
僕は虎役になった。黄色いポロシャツに黒い画用紙で作った縞模様を貼り付ける。ズボンは体操着のような短パンだった気がする。
当日、会場は保護者さん、他クラスの園児で満席だった。後方には三脚に乗せられたビデオカメラが何機もセットされていた。
劇を終えて分かったこと。虎役で良かった。僕にエルマーは眩しすぎた。配役の時点で躊躇している僕が、どんどん先へ進んでいく主人公など出来るはずがなかった。ましてや、満員のホールで皆の注目を浴びるなどもっての外だった。
舞台上で、エルマーに渡されだガムを大喜びで齧る虎。あの時齧っていたのはガムだったのか。やるせなさだったのか。今となっては分かるはずもない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
