なんでもいい

榊 海獺(さかき らっこ)

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てるぼー

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 皆さんは”てるぼー”をご存知だろうか。あの大きなクッションのような、、、それはヨギボー。あのテディベアの形をしたカラフルなグミ、、、それはハリボー。長友佑、それはブラボー。信じられな、それはアンビリーバボーだ。もういいだろう。

 僕らが中学生の頃、学校で個性を示す道具と言えば、ペンケースだった。
 僕の通っていた学校では、学校指定の制服、鞄、体操着があり、私物といえば体育館以外で履くスニーカーとペンケースくらいなものだった。そして、スニーカーと比べて安価かつ、机の上で使用するペンケースに個性を見出していた。
 布製ペンケース、ビニール製ペンケース、化粧ポーチのようなものをペンケースとして使っている人と居た。
 僕はと言うと、当時流行っていた二段重ねのお弁当箱のような、アルミ製のペンケースを使っていた。上の段は中で更に二段に分かれているので、実質三段か。色は黒。持ち運ぶ時に中のペンがカラカラとなるところが気に入っていた。そして、髑髏のイラストがプリントされた、ギターのピックを上面に3枚貼り付けて個性を出していた。

 自分で言うのもなんだが、当時の僕は男子にしては洒落気付いていた。中学生にして香水も持っていたくらい。
 そんな僕は、ペンケースの中にも芳香剤のようなものを忍ばせていた。石鹸の香りの。そう。それこそが”てるぼー”だった。

 ”てるぼー”はてるてる坊主の形をしたストラップで、素材は某洗剤のジェルボールに似ていた。ジェルをビニールで包んだようで、同じようにぷにぷにもしていた。そして、石鹸の香りがした。
 僕は”てるぼー”を気に入っていた。香りはもちろんのこと、サイズ感、ぷにぷに感、癒し系のにっこりスマイル。その全てを気に入っていた。

 ”てるぼー”は自分で買ったのではなく、仲の良かった女子に、旅行のお土産として貰ったのだが、それが誰だったのかは今もう定かではない。最終的には、別の女子に「これちょうだい!」なんて言われて、一方的に持っていかれてしまったのだけれど。


 


 
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