上 下
99 / 101

花火大会

しおりを挟む
 某感染症が五類に移行となり、様々な行事が戻ってきた。そして、いよいよ今週末は隅田川花火大会の復活である。
 我が街浅草の夏の大イベントの一つ。隅田川花火大会。子どもの頃から、毎年の恒例行事にして、盆踊りと張るくらい好きな行事の一つだった。
 隅田川花火大会は我が家のベランダから見える。我が家のベランダはそこそこ広く、毎年そこにキャンプ用のテーブルを出し、家族、友達とテーブルを囲んでワイワイガヤガヤ。いつも三家族くらいが集まって、食べ飲みしながら花火を眺める。
 とは言うものの、子どもの頃の僕は花火の爆発音が苦手だった。どことなく雷のそれとにており、ひっそりとおへそを隠したものだ。一人部屋の中から、テレビ中継で花火を観る。いや、語弊があった。のん(雑種の小型犬)と一緒だったから、一人と一匹か。犬は花火の音が苦手だとかなんとか。クーラーが効いた部屋に入れるという利点もあって。
 花火が終わると、みんなこちらの部屋に来て、再びワイワイガヤガヤ。寧ろそっちが楽しみだったのかもしれないな。まぁ、拓実がコンビニで転んで大怪我をした小学三年生の時の花火大会を除いてね。

 大人になってからは、ほぼ家族だけとなった。(妹の友達が来た一回を除いて。)学校を卒業して友達と疎遠になったというのと、近場の友達は皆自宅から見えるから、集まる必要が無くなったのだ。
 そうなったらなったで面白いもので、家族で見ることの意味のようなものが見えてきた。花火を見るより、花火を見ている両親の背中を眺めるのが好きになった。
 今年は家族に加え、妹の旦那さん、そして、珍しく僕の友達も二人やってくる。この先あと何回こうしてみんなで花火が見れるだろう。皆長生きしてよ。

しおりを挟む

処理中です...