Baseball Side Story

榊 海獺(さかき らっこ)

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人は衰える

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 先日、友人に誘われて久々にバッティングセンターに行ってきた。そう。松坂大輔との死闘を繰り広げた、あのバッティングセンターである。

 「たまにはさ、バッティングセンター行こうぜ。」
「行っちゃうか。」
「どっちが多く打てるか勝負な。で、買った方が一杯奢るってのでどうだ?」
「まぁいいけど。」
 酔っ払ってそんなノリになり、突撃したバッティングセンター。(本来、飲酒をしての利用は禁止されています。帰りに知ったよ。) 
 入店し、まず驚いたのがゲーム機の多さ。ロビーにところかしこに対戦型ゲーム機が並んでいた。もうほぼゲームセンターだった。そして次に驚いたのが人の多さ。若い学生達から仕事終わりのサラリーマンまで、かなりの人数がそこに居た。昔話おじさんに片足を突っ込んでる僕からしたら、「変わっちまったな。昔はこんなんじゃなかったのに。」くらい変貌を遂げていた。
 とりあえず、回数券を買おうと券売機の元へ。券売機は当時のものがまだ現役で活躍していた。懐かしい友人にあった感覚に襲われる。「久し振り。」っと。
 人が沢山居たこともあり、バッティングブースを選んでいる余裕など無かった。空いたところにすぐに入らねば、また埋まってしまう。1番人の少ないブース前で待機。空かない。なかなか空かない。中の様子を見てみると、自前のバットにバッティンググローブ。
 こりゃ長引くぞ。ということで隣のブースへ。奇跡的に5分後にブースが空いた。チャンスだ。透かさずブースの中へ。
 友人から挑戦することになった。中学時代、野球部だったと聞く。そのお手並みは。
「ヒットかどうか分かんないけど、6本売ったわ。」
 12球で6本。打率5割。パワプロならでアベレージヒッターか安打製造機が付いてるな。きっと。果たして僕は勝てるのだろうか。

 僕の番がやってきた。バッティングボックスに入り、置いてあったバットを手に取る。
「重っ。」
 そうか。そうだよな。昔は自分のバットを持参していた為、お店のバットを使うのはこれが初めてだった。振り抜けるだろうか。一応もっと軽そうなバットもあったのだが、軽い分細い。爪楊枝なんじゃないかくらい細い。(そんな訳あるか。) とりあえず、このままこのバットで行こう。
 球速を1番遅い70kmに設定する。第一球。

”バスッ”

 酔いのせいかボールが3つくらいに見える。打てるのか。これ打てるのか。
 打てなかった。掠りはするものの前に飛んだのは3,4球くらいなもの。僕の完敗だ。
「じゃあ、俺の勝ちだな。」
「はいよ。」
 決着も付いたところで、バッティングセンターを後にしようとしていた時だった。唐突にストラックアウトもあることを思い出したのだ。子どもの頃は「ピッチャーじゃないんだから。」とほとんどやらせてもらえなかったストラックアウト。やってみたい。
「ごめん。ちょっとあれやってもいい?」
 ストラックアウトを指差す。
「うん。いいよ。」
 友人が快く承諾してくれたので、念願のストラックアウトが出来ることに。意気揚々とブースに入る。そして、出てきたボールを握り投げる。”ビュッ”とはいかず、
”スカッ”となった。イメージでは糸を引くようなストレートを投げたはずなのに、放たれたボールはなんともマヌケな山なり軌道で的の手前に落ちた。それを見ていた友人は後ろで爆笑している。
「なんなんそれ。面白っ。笑いすぎて腹痛いわ。」
 結果的に全球そんな感じだった。その時受けたショックは人生一だったかもしれない。酔いなんてあっという間に覚めてしまったよ。

 人の体は衰える。「運動が大事。」という言葉が身に沁みた。鍛え直したらなんとかなるのだろうか。武田久や田中正義のやうな、糸を引くようなストレートを投げてみたいのだ。
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