Baseball Side Story

榊 海獺(さかき らっこ)

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井口モデル

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 ダイエーホークスファンになった僕は、とりあえず父に申告した。
「お父。俺ダイエーファンになったわ。」
「そうか。」
 驚かれるのかと思ったら、案外すんなり受け入れられてしまった。そもそも父はアンチ巨人の人間だったから、まぁそんなものか。

 ダイエーホークスファンになったと申告して数週間後、今度は自分のバットを買いに行くことなった。チームの練習がない時でも素振りが出来るようにと。
 その週の日曜日。スポーツ用品店に行くと、バットが置かれたコーナーを見つけた。近寄って一つ一つ見ていると、その中にダイエーホークスのマークがついたバットがあった。
「ダイエーホークス。井口モデル。」
 その時は井口が誰なのか知らなかったのだけれど、モデルというシグネチャーがあるということはダイエーホークスの人気選手のはずだ。
「お父。これがいい。この井口モデルがいい。」
 ダイエーホークスの人気選手のモデルというだけで井口モデルのバットを購入。赤と黒のThe ダイエーホークスカラーだった。
 帰りの車内は当然のことながら井口の話題になる。
「そうか。今度はダイエーの井口が好きになったのか。」
「うん。」
 とりあえず頷いておいた。


 父は昔から変なところだけ気が利く。バットを買ってから1ヶ月も経たない内に、父は日本ハムファイターズ対ダイエーホークスのチケットをどこかから入手していた。多分こっそり買いに行ったのだと思う。
 いざ、当日。試合を観に東京ドームへ。当時、日本ハムファイターズの本拠地も東京ドームだった関係で、東京ドームでパリーグの試合が見れた。(今も交流戦で観れます。) 座席はバックネット裏で一階席の上の方だった。売店で買ったフライドスナックを食べながら試合観戦。ベンチから飛び出してくる選手達を眺めながら、どれが井口でどれが小久保なのかを目を凝らして見ていた。
 試合はと言うと、日本ハムファイターズの先発。金村の好投もあり、途中まで劣勢に。しかしながら、6回に井口、城島等の躍動で同点とし、最後は小久保のホームランで逆転勝利を収めた。

 試合後球場のゲートを潜り外へ。東京ドームには外側にグッズショップがある。
「お父。ダイエーのリストバンドが欲しい。」
 ダイエーホークスファンになり試合を観に行ったので、記念にリストバンドが欲しかった。
「あぁ。そうだな。ダイエー勝ったしな。」
 負けたらどうなっていたというのだ。まぁそんなことはさておき、グッズショップに入り、ダイエーホークスのグッズが並ぶコーナーへ。お目当てのリストバンドを見付ける。
「お父。小久保のリストバンドにする。」
 そう言って父に小久保のリストバンドを渡す。すると、父が僕に小久保のリストバンドを僕に返す。
「お前井口が好きなんだろ。井口のもあるんじゃないか。お店の人に聞いてくるよ。」
 正直、この日初見の井口より、パワプロで三打席連続ホームランで馴染みがあり、この日も決勝点をあげた小久保の方が全然良かった。探しに行った父の戻りをビクビクしながら待つ。
「ダメだ。無いな。」
 井口のリストバンドは売り切れだった。ホッとしたのは言うまでもない。本命の小久保のリストバンドを購入。上機嫌で帰路に着いた。

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