Baseball Side Story

榊 海獺(さかき らっこ)

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努力賞

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 少年野球をしていると当たり前のことだが、定期的に大会に出場する。区大会、都大会、オレンジボールカップなどがあったか。
 開会式で高らかに開幕を宣言し、戦い抜いて閉会式へ。好成績を納めたチームには、都大会出場の切符が渡される。僕の所属していたチームは地元でも強豪のチームで、区大会では負けなしだった。(連勝しすぎて新聞に載ったこともあったんだとか。)

 ある大会の閉会式。いつものように全チーム集まって整列。僕はチームの列の後ろの方に居て、閉会式という長ったらしい儀式が終わるのをただひたすら待っていた。そんな時だった。突然進行役の人がマイクで僕の名前を呼んだ。チーム名ではなく個人名を。あまりに突然のことだったし、話なんか全く聞いていなかったので、何がなんだか分からなかった。
 これはもしや話を聞いていなかったのがバレて怒られるんじゃないか。そんな考えが頭を過り、ビクビクしながら促されるまま何やら偉そうな人(大会委員長)の待つ元へ。周りの視線が冷たく感じる。いや、気のせいかもしれない。いや、気のせいじゃないかもしれない。もうどっちかを気にしてる余裕もないからどっちでもいい。
 しかしながら、良く見てみると偉そうな人は何やら割といい感じの紙を持っているように見える。これはもしや。

「努力賞」

 僕が偉そうな人の前に着くと、そう告げられた。
「努力賞?」
「あなたは本大会に於いて、日々の練習の成果を遺憾なく発揮されました。よってその努力をここに賞します。これからも練習に励み、素晴らしい選手になられることを期待しています。」
 よく聞いていなかったのだけれど、そんなことを言っていた気がする。
 よく聞いていなかったのには訳がある。そもそも「本大会に於いて」と言われたが、試合になどほとんど出た記憶がない。この人は何を見ていたのだ。人違いじゃないか。そのくらいに思っていた。(失礼なやつだ。)
 もう、そんなこんなで賞状も盾もスーベニア感覚だった。

 これは後日聞いた話なのだが、この努力賞は監督選出だったらしい。優勝チームの監督選出。それもそうか。ほとんど試合に出ていないのに選ばれるわけがない。監督も粋なことをしてくれるものだ。としまえんで頑張った甲斐があったか。(いや、飛び込まんかったから無しやろ。) それともあれか。真中満のホームランボールをキャッチした守備力が評価されたのか。(あれ取ったの親父や。)
 監督曰く「これやるから、もっと頑張れ。」という意思表明だったそうだ。もう、回りくどいことするんだから。直接言うてや。
 このことを聞いて、賞状も盾もスーベニアから宝物に変わった。監督との大切な思い出の一つだ。


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