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15、謁見
第144話 火の指輪と第3の目
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しばらくして、リリスの元に使者が来てとうとう謁見の時間が来た。
しかしその手には厚い布が差し出され、それを頭に付けてくるように、王の前では絶対に取らないよう厳しく命じられた。
説得するのに顔が見せられないのは辛い。
声だけでは、どうしても訴えが弱くなってしまう。
以前城内では許しが出ていたことを話すが、王命だと聞き入れて貰えず、仕方なく彼はその布を頭からすっぽりかぶり、前が見えない不便さからガーラントに手を引いて貰った。
廊下を歩いていると、あまりの不格好さからクスクス笑い声が聞こえてくる。
まるで、罪人のようだとささやかれながら、謁見の間へと案内された。
「魔導師リリス殿、入ります。」
足下しか見えない中で、謁見の間に到着した。
兵の案内の声に、頭を下げて前に進む。
周りは沢山の人の息づかいの音と、ヒソヒソ声。
それでも、リリスはかえって見えなくて良かったかな?と思いながらどの辺で止まって良いものかわからず、ガーラントの足の動きをじっと見つめた。
「まあ、あの子はなぜいつもあのような布をかぶっているの?」
ささやくような女性の声が、前方から聞こえた。
「ひどく醜いからでございます、陛下。」
ひっそり返す側近の言葉のあと、大きく咳払いが聞こえた。
「リリス殿、御前です。」
ガーラントが声をかけ、慌ててリリスがその場に手をつき、ひれ伏した。
「王陛下の御前である。その方、巫子である許しを得に参ったと聞くが相違ないか。」
「はい。
私は地の巫子セレス様、および先代達の声を聞き、火の巫子であることを知ってここへ参りました。
レナントでは、魔物や魔導師の攻撃に遭い強い力を求められています。
私は魔導師ではありますが、巫子としての力を得ることで更にアトラーナのために、そして王陛下のために働くこと叶えば、これ以上の幸せはございません。
どうか、お許しを頂き、まずはこちらに保管されるという、火の巫子や神殿に伝わるお品をお返し願えればと思いこちらへ参上致しました。」
「返すだと?無礼な物言いよ、それは何か?」
「はい、それは私の知る限りでは火の巫子代々伝わる火の指輪、そしてフレアゴート様の第3の目でございます。」
「指輪……?フレアゴートの目?
それがあると、何かが変わるのか?」
「はい、火の巫子も、そしてフレアゴート様も本来の力を充実させることが出来ると聞きました。」
ざわつく周囲の声に、王が顎に手を置きフムと考える。
何も知らない后は、王の顔を横から見つめた。
やはり………僕の世継ぎの印ラーナブラッドを……
玉座の横で、キアナルーサが眉をひそめる。
キアナルーサは知っているのだ。
フレアゴートの目、それが世継ぎの印であるラーナブラッドだと言う事を。
「レナント領主のガルシア様からの書状、そしてレナント魔導師の長ルネイ様、そして地の巫子セレス様よりのお手紙を合わせて持って参りました。
どうかお納め下さい。」
ガーラントが王の側近へと渡し、王がそれを受け取って次々目を通す。
「父上、なんと書いてあるのでしょう?」
キアナルーサがたまらず横から声をかける。
その手紙を見せてくれるかと身を乗り出したが、王は渋い顔でそれを側近へ無言で渡す。
無視されたようで不安に拍車がかかり、キアナルーサは唇を噛んだ。
「手紙には、そなたが確かに巫子であると書いてある。必要な物を渡して欲しいとな。
だが、この城にはこの城のやり方があり、この国の決まり事がある。
巫子は審議を経て皆の同意を得、ようやく決まるものだ。
ガルシアがなんと言ったか知らぬが、軽々しく決まるものではない。」
ハッとリリスが顔を上げる。
「いいえ!ガルシア様は決してそのように軽々しくお言葉を発する方ではありません!」
「無礼者!王は発言をお許しになってはおらぬ、控えよ!」
一喝されて、慌てて頭を下げる。
王はどんな顔をして今の言葉を言ったのか、ガルシアに対して悪い印象を与えなかったろうか?
周りの様子が見えないのが腹立たしい。
布が厚くて、息苦しさに胸が詰まりそうになる。
「良い、発言を許す。
お前は火の巫子と言ったな、しかし火の神殿はアトラーナにはない。
フレアゴートは存在するが、火の神殿を造ることは未だ叶ってはおらぬ。
つまり、火の巫子も必要のない者だ。
なのに、なぜ火の巫子になろうとする。
現状で、世は火の神殿の再興を許す気はない。」
「だからこそ、でございます、王陛下。
火の神殿は、このアトラーナには必要な物。
私は、巫子となり神殿を再興したく存じます。
なぜなら、アトラーナは精霊の国、精霊の聖地。火の巫子は、望まずともずっとこの国にあるのです。
巫子がなぜ恐れ、敬われるのか、それはその異なる力があってこそ。
そしてそれが神殿に保護されることなく放置されることは、ひいては………
魔物に力を利用され、火の巫子リリサレーン様が引き起こしたようなことの、再来を及ぼす懸念があるからでございます。」
ザワザワと、周りでざわめきが起こった。
リリサレーンが巫子であったことは、ほとんど知られていない。
伝説は、人の口を伝わっているうちに次第に形を変えている。
自分も聞いて、ようやく知ったくらいなのだ。
もしかしたら、これを発言することはタブーかも知れない。でも、だからこそ神殿が必要であることは、知って貰わねばならなかった。
しかしその手には厚い布が差し出され、それを頭に付けてくるように、王の前では絶対に取らないよう厳しく命じられた。
説得するのに顔が見せられないのは辛い。
声だけでは、どうしても訴えが弱くなってしまう。
以前城内では許しが出ていたことを話すが、王命だと聞き入れて貰えず、仕方なく彼はその布を頭からすっぽりかぶり、前が見えない不便さからガーラントに手を引いて貰った。
廊下を歩いていると、あまりの不格好さからクスクス笑い声が聞こえてくる。
まるで、罪人のようだとささやかれながら、謁見の間へと案内された。
「魔導師リリス殿、入ります。」
足下しか見えない中で、謁見の間に到着した。
兵の案内の声に、頭を下げて前に進む。
周りは沢山の人の息づかいの音と、ヒソヒソ声。
それでも、リリスはかえって見えなくて良かったかな?と思いながらどの辺で止まって良いものかわからず、ガーラントの足の動きをじっと見つめた。
「まあ、あの子はなぜいつもあのような布をかぶっているの?」
ささやくような女性の声が、前方から聞こえた。
「ひどく醜いからでございます、陛下。」
ひっそり返す側近の言葉のあと、大きく咳払いが聞こえた。
「リリス殿、御前です。」
ガーラントが声をかけ、慌ててリリスがその場に手をつき、ひれ伏した。
「王陛下の御前である。その方、巫子である許しを得に参ったと聞くが相違ないか。」
「はい。
私は地の巫子セレス様、および先代達の声を聞き、火の巫子であることを知ってここへ参りました。
レナントでは、魔物や魔導師の攻撃に遭い強い力を求められています。
私は魔導師ではありますが、巫子としての力を得ることで更にアトラーナのために、そして王陛下のために働くこと叶えば、これ以上の幸せはございません。
どうか、お許しを頂き、まずはこちらに保管されるという、火の巫子や神殿に伝わるお品をお返し願えればと思いこちらへ参上致しました。」
「返すだと?無礼な物言いよ、それは何か?」
「はい、それは私の知る限りでは火の巫子代々伝わる火の指輪、そしてフレアゴート様の第3の目でございます。」
「指輪……?フレアゴートの目?
それがあると、何かが変わるのか?」
「はい、火の巫子も、そしてフレアゴート様も本来の力を充実させることが出来ると聞きました。」
ざわつく周囲の声に、王が顎に手を置きフムと考える。
何も知らない后は、王の顔を横から見つめた。
やはり………僕の世継ぎの印ラーナブラッドを……
玉座の横で、キアナルーサが眉をひそめる。
キアナルーサは知っているのだ。
フレアゴートの目、それが世継ぎの印であるラーナブラッドだと言う事を。
「レナント領主のガルシア様からの書状、そしてレナント魔導師の長ルネイ様、そして地の巫子セレス様よりのお手紙を合わせて持って参りました。
どうかお納め下さい。」
ガーラントが王の側近へと渡し、王がそれを受け取って次々目を通す。
「父上、なんと書いてあるのでしょう?」
キアナルーサがたまらず横から声をかける。
その手紙を見せてくれるかと身を乗り出したが、王は渋い顔でそれを側近へ無言で渡す。
無視されたようで不安に拍車がかかり、キアナルーサは唇を噛んだ。
「手紙には、そなたが確かに巫子であると書いてある。必要な物を渡して欲しいとな。
だが、この城にはこの城のやり方があり、この国の決まり事がある。
巫子は審議を経て皆の同意を得、ようやく決まるものだ。
ガルシアがなんと言ったか知らぬが、軽々しく決まるものではない。」
ハッとリリスが顔を上げる。
「いいえ!ガルシア様は決してそのように軽々しくお言葉を発する方ではありません!」
「無礼者!王は発言をお許しになってはおらぬ、控えよ!」
一喝されて、慌てて頭を下げる。
王はどんな顔をして今の言葉を言ったのか、ガルシアに対して悪い印象を与えなかったろうか?
周りの様子が見えないのが腹立たしい。
布が厚くて、息苦しさに胸が詰まりそうになる。
「良い、発言を許す。
お前は火の巫子と言ったな、しかし火の神殿はアトラーナにはない。
フレアゴートは存在するが、火の神殿を造ることは未だ叶ってはおらぬ。
つまり、火の巫子も必要のない者だ。
なのに、なぜ火の巫子になろうとする。
現状で、世は火の神殿の再興を許す気はない。」
「だからこそ、でございます、王陛下。
火の神殿は、このアトラーナには必要な物。
私は、巫子となり神殿を再興したく存じます。
なぜなら、アトラーナは精霊の国、精霊の聖地。火の巫子は、望まずともずっとこの国にあるのです。
巫子がなぜ恐れ、敬われるのか、それはその異なる力があってこそ。
そしてそれが神殿に保護されることなく放置されることは、ひいては………
魔物に力を利用され、火の巫子リリサレーン様が引き起こしたようなことの、再来を及ぼす懸念があるからでございます。」
ザワザワと、周りでざわめきが起こった。
リリサレーンが巫子であったことは、ほとんど知られていない。
伝説は、人の口を伝わっているうちに次第に形を変えている。
自分も聞いて、ようやく知ったくらいなのだ。
もしかしたら、これを発言することはタブーかも知れない。でも、だからこそ神殿が必要であることは、知って貰わねばならなかった。
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