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15、謁見
第151話 猜疑心
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自室にこもり、無言のままじっと目を閉じ考える。
「お前は……どう思った?」
キアンがゼブラに問うた。
不安しかないその後ろ姿に、ゼブラは静かにため息をつく。
「特になにも。あれは巫子の事、あなた様には何の影響もございません。」
キアンが椅子にもたれて大きく息をつき、考えを巡らせる。
少し時間が欲しいと部屋からゼブラを追い出し、ただ一人暗く苦悶に満ちた顔でうつむく。
ゼブラはああ言ったけど、父は違う。
きっとそうは思わなかったに違いない。
自分は事実を知ったあとも、リリスを兄だと思ったことはない。
友人や、自分の家臣だと思ってきた。
あいつ自身ももう、自分は王家とは関係無いと断言して、一部の貴族たちが噂に踊らされても、あいつは決して乗るそぶりを見せなかった。
だからあいつが登城してきたときも、相談できる者が増えて僕は随分ホッとしたんだ。
ずっと、次の王はお前だと言われてきたし、そのつもりで勉強だって剣だって頑張ってきた。
だが、先ほどの光景を見て、父や母は思っているはずだ。そう感じているはずだ。
『やっぱり、リリスは特別だ』と。
あいつは精霊王に育てられた。
そりゃ下働きで苦労もしただろう。
でも、それ以上に魔導師として、凡人にない力を手に入れ、特別に精霊達に目をかけられた本当の意味で特別な人間だ。
あいつはずるい。
そんな特別な人間なのに、見た目で損をしたからと言って、みんな同情する。
ザレルなんか、可哀想だと自分の養子にしたいとまで言っている。
その上、火の巫子だって?
どこまで恵まれてるんだ。
馬鹿にしてる。
僕はあまりに平凡だ。
臣下に慕われているかと言われても、ゼブラ以外数人しか浮かばない。
このままだと、きっとすぐにリリスは僕のところまでのし上がってくる。
自分の力で。
あいつは、僕なんか比べものにならないくらい、ずるくて賢くて強い。
下の身分だから許せていたのに、いつの間にかこの僕と並ぶどころか、僕を蹴落として玉座を僕から奪おうとしている。
僕は、大人になったら王の冠をかぶって、玉座に座るのが当たり前と思っていた。
いつかあの玉座に座って、みんなにかしずかれるのが当たり前だと思っていた。
でも……僕は、王になるのが恐い。
王は一身ですべてを担わなくてはいけないと思っていたから。
この国を背負う事が恐かった。
でも、僕は気がついた。
父上の近くで仕事をするようになってわかったことは、国はみんながみんなの力で支えてくれるものだと言う事。
王は、それを見て、ただ指図すればいい。
王様って、意外と簡単なんだ。誰でも出来る。
そうだ、僕でも王になれる。
難しく考えることはない、凡人の僕でもやれることなんだ。
いや、凡人などではない。
僕は、王として育てられた、僕は王になるべくして育てられた、生まれながらの王なのだ。
僕は王の息子、特別の人間だ。凡人などではない。
何を血迷っている。
リリスが僕を蹴落とそうとするなら、僕はその前にあいつを蹴落とすべきだ。
僕こそ、王になるべき人間なのだから!
ああ……でも……でも……僕は…………
心の中で、自分に言い聞かせ、葛藤に苛まれつつ拳を握りしめて額に押し当てる。
リリスを嫌いな気持ちと、それでも友人として信じたい、でも信じ切れないと言う複雑な思いと。
いっそリリスがはっきりと、自分を、この自分だけを頼ってくれれば、もっと違った気持ちじゃなかったのか。
いいや、僕はあいつが帰ってきたときから、あいつが巫子だとは信じてなかった。
あいつを、最初から信じていたら、そうして最初から迎えていたら……
僕は……僕は……
強くなりたい!あいつのように!
強く、もっと強く!!
『強く、なりたいか。我が血縁の者よ』
ビクッと身体が震えた。
部屋をぐるりと見回す。
耳元でささやく暗くかすれた声に、ゾッと凍り付く。
壁の古い鏡に映る、自分の姿が目に入った。
自分の姿しか、そこには無い。
だが、なぜかその自分の姿から目が離せない。
気がつくと、鏡に映る自分の口が喋っている事に気がついた。
『強くなりたいか、我が血縁の者よ。
汝は選ばれし者、希代の王となる者』
「な、何だお前!え?僕?私?え?え、えらばれた?」
鏡の中のキアンが、自分の顔なのに、見たことが無いほど自信に満ちた顔で微笑む。
『そうだ、お前こそ王の中の王となりし者。
我は徳の高いそなたの魂に引かれ、そなたの危機に現れた。
我が名はグレンロード。最初にドラゴンマスターとなりし王である』
「お前は……どう思った?」
キアンがゼブラに問うた。
不安しかないその後ろ姿に、ゼブラは静かにため息をつく。
「特になにも。あれは巫子の事、あなた様には何の影響もございません。」
キアンが椅子にもたれて大きく息をつき、考えを巡らせる。
少し時間が欲しいと部屋からゼブラを追い出し、ただ一人暗く苦悶に満ちた顔でうつむく。
ゼブラはああ言ったけど、父は違う。
きっとそうは思わなかったに違いない。
自分は事実を知ったあとも、リリスを兄だと思ったことはない。
友人や、自分の家臣だと思ってきた。
あいつ自身ももう、自分は王家とは関係無いと断言して、一部の貴族たちが噂に踊らされても、あいつは決して乗るそぶりを見せなかった。
だからあいつが登城してきたときも、相談できる者が増えて僕は随分ホッとしたんだ。
ずっと、次の王はお前だと言われてきたし、そのつもりで勉強だって剣だって頑張ってきた。
だが、先ほどの光景を見て、父や母は思っているはずだ。そう感じているはずだ。
『やっぱり、リリスは特別だ』と。
あいつは精霊王に育てられた。
そりゃ下働きで苦労もしただろう。
でも、それ以上に魔導師として、凡人にない力を手に入れ、特別に精霊達に目をかけられた本当の意味で特別な人間だ。
あいつはずるい。
そんな特別な人間なのに、見た目で損をしたからと言って、みんな同情する。
ザレルなんか、可哀想だと自分の養子にしたいとまで言っている。
その上、火の巫子だって?
どこまで恵まれてるんだ。
馬鹿にしてる。
僕はあまりに平凡だ。
臣下に慕われているかと言われても、ゼブラ以外数人しか浮かばない。
このままだと、きっとすぐにリリスは僕のところまでのし上がってくる。
自分の力で。
あいつは、僕なんか比べものにならないくらい、ずるくて賢くて強い。
下の身分だから許せていたのに、いつの間にかこの僕と並ぶどころか、僕を蹴落として玉座を僕から奪おうとしている。
僕は、大人になったら王の冠をかぶって、玉座に座るのが当たり前と思っていた。
いつかあの玉座に座って、みんなにかしずかれるのが当たり前だと思っていた。
でも……僕は、王になるのが恐い。
王は一身ですべてを担わなくてはいけないと思っていたから。
この国を背負う事が恐かった。
でも、僕は気がついた。
父上の近くで仕事をするようになってわかったことは、国はみんながみんなの力で支えてくれるものだと言う事。
王は、それを見て、ただ指図すればいい。
王様って、意外と簡単なんだ。誰でも出来る。
そうだ、僕でも王になれる。
難しく考えることはない、凡人の僕でもやれることなんだ。
いや、凡人などではない。
僕は、王として育てられた、僕は王になるべくして育てられた、生まれながらの王なのだ。
僕は王の息子、特別の人間だ。凡人などではない。
何を血迷っている。
リリスが僕を蹴落とそうとするなら、僕はその前にあいつを蹴落とすべきだ。
僕こそ、王になるべき人間なのだから!
ああ……でも……でも……僕は…………
心の中で、自分に言い聞かせ、葛藤に苛まれつつ拳を握りしめて額に押し当てる。
リリスを嫌いな気持ちと、それでも友人として信じたい、でも信じ切れないと言う複雑な思いと。
いっそリリスがはっきりと、自分を、この自分だけを頼ってくれれば、もっと違った気持ちじゃなかったのか。
いいや、僕はあいつが帰ってきたときから、あいつが巫子だとは信じてなかった。
あいつを、最初から信じていたら、そうして最初から迎えていたら……
僕は……僕は……
強くなりたい!あいつのように!
強く、もっと強く!!
『強く、なりたいか。我が血縁の者よ』
ビクッと身体が震えた。
部屋をぐるりと見回す。
耳元でささやく暗くかすれた声に、ゾッと凍り付く。
壁の古い鏡に映る、自分の姿が目に入った。
自分の姿しか、そこには無い。
だが、なぜかその自分の姿から目が離せない。
気がつくと、鏡に映る自分の口が喋っている事に気がついた。
『強くなりたいか、我が血縁の者よ。
汝は選ばれし者、希代の王となる者』
「な、何だお前!え?僕?私?え?え、えらばれた?」
鏡の中のキアンが、自分の顔なのに、見たことが無いほど自信に満ちた顔で微笑む。
『そうだ、お前こそ王の中の王となりし者。
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