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17、地底のイスカ村
第192話 悩み多き少年
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その後、気持ちが落ちついた頃、ブルースとガーラント、そしてリリスはアトラーナの現在と城の状況、そしてリリスの周辺のことを彼らに説明し、指輪の在処に思い当たることは無いか尋ねた。
だが、火の指輪は王がリリサレーンの遺骸と共に城に引き取ってしまい、その後の行方は知らないという。
だが、指輪の重要性は知っているはずであり、火の巫子は死後、フレアゴートが火に戻すので行方不明というのはおかしいと話した。
リリスもなんとなく、それはうなずく。
指輪は確かに城内のどこかから感じる。
感じるというのは、大まかなことで方向まで分からない。
火の精霊が封じられ、巫子から長く離れた状況にあるだけに、指輪の力もかなり削がれてしまったのだろう。
「でも、あなたが本当の赤の巫子ならば、指輪はあなたにこたえるはず。
それに、火の指輪は普通の人間には危険な物です。
邪な心を持つ者が指に通すとどうなるか。
まだリリサレーン様が幼かった時、指輪を盗もうとした男が焼けて死にました。
恐らく自らの指に付けようとしたのでは無いかと言われています。
“神の道具は神の下に管理すべし”と言うのが神殿の掟。
指輪は必ず精霊王の下に管理せねばなりません。」
そう言えば、ヴァルケンもそんなことを言われていたっけと、リリスがうなずく。
つまり、火の巫子として本当の試練は指輪をつけるときなのだ。
人間が巫子を認めることが試練では無い。
精霊王は便宜上、人の姿を取ってはいるが、元より形の無い神。
人間は何かを間違っている。
話が終わってリリスたち3人が聖域を出て村に用意された部屋へ戻って行く。
地下の村では時間の流れが見えないが、村人が皆食事を囲んでいるのを見るともう夕食の時間なのだろう。
それほど時間が過ぎてしまったのかと疲れを感じ、大きくため息をついた。
ブルースが、リリスの頭を後ろからゴツンと叩く。
「随分勇ましかったな、巫子様。」
茶化してククッと笑う。
リリスが痛そうに頭をさすり、プイッと口を尖らせた。
「だって、ああ言うしか無いじゃありませんか。うやむやな答えは彼らを混乱させてしまいます。
目的をはっきりさせるのは大切なことです。
それに………」
急にリリスがうつむいて、ションボリ声を落とす。
「……自分が…いい子過ぎるって、わかってるんです。
でも、なぜかあの、自分の産みの親だという母を見ても、憎いとか悔しいとか、そんな物何も浮かばなかった。
ただ、あの場に母上が、セフィーリア様がいなくて良かったと、
私は自分がどんな顔をしていたのか分からなくて。
もし嬉しそうな顔だったらどうしようとか考えると、合わせる顔が無くて、とにかく何も考えるまいと……
結局、僕は逃げちゃってるんでしょうか。
とにかく今は、自分のやらねばならないことを考えなきゃって、そう、つまり……
もう、今はそれどころじゃ無いって事で、そんな物あとでゆっくり悩むことにします。」
パッと顔を上げ、まるで自分に言い聞かせるように大きくうなずく。
「まあ、すぐに答えが出るような物でも無いしなあ。
色々悩み多きガキだな、お前さんは!」
ブルースが両手で彼の頭をグシャグシャに撫で、リリスが悲鳴を上げて髪を手ぐしで直す。
「キャアッ!もう!ひどい、僕の髪って、すっごくもつれやすいのにー!」
ゆるくウェーブのある赤い髪は、もつれて爆発したような頭になってしまった。
半泣きで髪のもつれを引っ張るリリスに、ガーラントも彼には珍しくニッと笑う。
「そうだな、貴方は悩みが多すぎる!もっとラクに生きる道もあろうぞ。」
そしてブルースのように片手でリリスの赤い髪をグシャグシャに撫でた。
「ぎゃあっ!ガーラント様まで!」
「大丈夫、大丈夫だ。きっとすべて上手く行く、大丈夫だ!
さあ、飯を食おう!火の巫子殿!」
リリスが襲われた後、暗い中部屋に飛び込んできた王妃の姿は子供を心配する親の姿だった。
この方は王座など頭にも無いだろう。だが、神殿ならばなんとかなると思う。
彼女はきっとこの子の力になってくれるはずだ。
「あっ!エリン様、お帰りになっていたのですね。」
突然リリスが声を上げる。
見ると、その前に長髪のミスリルが頭を下げていた。
その人物は、表情を木の仮面が隠して心が知れずドキリとする。
仮面は古く、子供の時から付けていたのだろう。
彫刻も無くあっさりとした物で、目の部分に穴が空いてのっぺりとして不気味な物だった。
ブルースとガーラントが、薄気味悪さに思わず顔をこわばらせて迎える。
彼はエリン、城でリリスを襲ったミスリルの兄弟を退け、毒にやられたリリスをここに連れてきてくれたミスリルだ。
彼はリリスの頼みを聞いて、今の状況を書いたブルースの手紙をレナントのガルシアまで届けて帰ってきたところだった。
だが、火の指輪は王がリリサレーンの遺骸と共に城に引き取ってしまい、その後の行方は知らないという。
だが、指輪の重要性は知っているはずであり、火の巫子は死後、フレアゴートが火に戻すので行方不明というのはおかしいと話した。
リリスもなんとなく、それはうなずく。
指輪は確かに城内のどこかから感じる。
感じるというのは、大まかなことで方向まで分からない。
火の精霊が封じられ、巫子から長く離れた状況にあるだけに、指輪の力もかなり削がれてしまったのだろう。
「でも、あなたが本当の赤の巫子ならば、指輪はあなたにこたえるはず。
それに、火の指輪は普通の人間には危険な物です。
邪な心を持つ者が指に通すとどうなるか。
まだリリサレーン様が幼かった時、指輪を盗もうとした男が焼けて死にました。
恐らく自らの指に付けようとしたのでは無いかと言われています。
“神の道具は神の下に管理すべし”と言うのが神殿の掟。
指輪は必ず精霊王の下に管理せねばなりません。」
そう言えば、ヴァルケンもそんなことを言われていたっけと、リリスがうなずく。
つまり、火の巫子として本当の試練は指輪をつけるときなのだ。
人間が巫子を認めることが試練では無い。
精霊王は便宜上、人の姿を取ってはいるが、元より形の無い神。
人間は何かを間違っている。
話が終わってリリスたち3人が聖域を出て村に用意された部屋へ戻って行く。
地下の村では時間の流れが見えないが、村人が皆食事を囲んでいるのを見るともう夕食の時間なのだろう。
それほど時間が過ぎてしまったのかと疲れを感じ、大きくため息をついた。
ブルースが、リリスの頭を後ろからゴツンと叩く。
「随分勇ましかったな、巫子様。」
茶化してククッと笑う。
リリスが痛そうに頭をさすり、プイッと口を尖らせた。
「だって、ああ言うしか無いじゃありませんか。うやむやな答えは彼らを混乱させてしまいます。
目的をはっきりさせるのは大切なことです。
それに………」
急にリリスがうつむいて、ションボリ声を落とす。
「……自分が…いい子過ぎるって、わかってるんです。
でも、なぜかあの、自分の産みの親だという母を見ても、憎いとか悔しいとか、そんな物何も浮かばなかった。
ただ、あの場に母上が、セフィーリア様がいなくて良かったと、
私は自分がどんな顔をしていたのか分からなくて。
もし嬉しそうな顔だったらどうしようとか考えると、合わせる顔が無くて、とにかく何も考えるまいと……
結局、僕は逃げちゃってるんでしょうか。
とにかく今は、自分のやらねばならないことを考えなきゃって、そう、つまり……
もう、今はそれどころじゃ無いって事で、そんな物あとでゆっくり悩むことにします。」
パッと顔を上げ、まるで自分に言い聞かせるように大きくうなずく。
「まあ、すぐに答えが出るような物でも無いしなあ。
色々悩み多きガキだな、お前さんは!」
ブルースが両手で彼の頭をグシャグシャに撫で、リリスが悲鳴を上げて髪を手ぐしで直す。
「キャアッ!もう!ひどい、僕の髪って、すっごくもつれやすいのにー!」
ゆるくウェーブのある赤い髪は、もつれて爆発したような頭になってしまった。
半泣きで髪のもつれを引っ張るリリスに、ガーラントも彼には珍しくニッと笑う。
「そうだな、貴方は悩みが多すぎる!もっとラクに生きる道もあろうぞ。」
そしてブルースのように片手でリリスの赤い髪をグシャグシャに撫でた。
「ぎゃあっ!ガーラント様まで!」
「大丈夫、大丈夫だ。きっとすべて上手く行く、大丈夫だ!
さあ、飯を食おう!火の巫子殿!」
リリスが襲われた後、暗い中部屋に飛び込んできた王妃の姿は子供を心配する親の姿だった。
この方は王座など頭にも無いだろう。だが、神殿ならばなんとかなると思う。
彼女はきっとこの子の力になってくれるはずだ。
「あっ!エリン様、お帰りになっていたのですね。」
突然リリスが声を上げる。
見ると、その前に長髪のミスリルが頭を下げていた。
その人物は、表情を木の仮面が隠して心が知れずドキリとする。
仮面は古く、子供の時から付けていたのだろう。
彫刻も無くあっさりとした物で、目の部分に穴が空いてのっぺりとして不気味な物だった。
ブルースとガーラントが、薄気味悪さに思わず顔をこわばらせて迎える。
彼はエリン、城でリリスを襲ったミスリルの兄弟を退け、毒にやられたリリスをここに連れてきてくれたミスリルだ。
彼はリリスの頼みを聞いて、今の状況を書いたブルースの手紙をレナントのガルシアまで届けて帰ってきたところだった。
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