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23、魔導師たちの密かな攻防
第247話 灰燼のゴウカ
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リリス達が、暗く、どんどん狭くなっていく地龍の中、一本角の犬のあとを付いていく。
松明の火の光も吸収されるのか、火はあるのにどんどん暗くなって行く道に、皆の心が不安で鉛のように感じていた頃、フッと急に辺りが明るく照らされた。
「あれ?出られたんでしょうか?」
「そのようだな、ここは覚えがある。」
リリスが明るく振り返ると、皆が一様にホッとした顔に見える。
守られているのか、捕らわれているのかはっきりしない状況は、奇妙なストレスで心臓に悪い。
気がつくと、あの一本角の犬は消えていた。
「あの犬どこに行ったんでしょうね。」
「さあね……さて、犬よりも。……で、どうするかね?巫子殿。
いきなり放り出されても、どちらが出口かどこにいるのかもさっぱりだな。
……ここは城の下なのか、それとも……?」
ガーラントが腰に手を置き、一息を付く。
辺りを見回すが、地龍の姿などどこにも無い。
動く音さえ聞こえないのは不気味でもある。
あれは本当に地龍だったのかという疑問は後で考えるとして、城の地下にいる状況は変わらないのだ。
「ここがどこであれ、私が指輪を感じるのは…向こうです。
行くにしても、出口の方向は確認しておく必要はありますね。
その手段があればの話ですが……」
リリスはまた目を閉じ、スッと右を指す。
通路の前を見ても後ろを見ても同じような暗闇が続く。
どちらが奥になるのか出口になるのか、とりあえずホムラを見る。
ホムラが頼られたことに少し驚き、ゴウカに目配せすると、ゴウカがうなずきリリスの前に来て頭を下げた。
「ゴウカの名は身を滅ぼす火の意だそうです。
この力だからこそ、その名が付いたと思いますが、リリサレーン様はそうでは無いと仰せでした。
様子を見て参ります……驚かれるな、ごめん。」
リリスにそう語り、床に伏した。
ゴウカの身体が一瞬影が消えて真っ白になり、ぼやけて見える。
そう感じたのは目の錯覚では無い、彼の身体は突然灰のようになり、風も無いのにサッと通路の両方へと散っていった。
灰は瞬く間に通路の隅々まで飛び、扉を見つけるとそのスキマから別の通路へ侵入して一瞬で戻る。
その灰のような粒子一つ一つに意思があるのか、ゴウカ自身にもわからない。
灰のように別れても、彼は一人なのだ。
まるで通路を俯瞰してみるような彼の目が、現在地を確認する。
そうして通路すべてを把握して、一時もたたずまたリリスの元へと戻ってくる。
リリスの前で灰がらせんに巻き上がると、人型になりゴウカの姿を成してリリスに膝をついた。
「お見苦しい物をお見せ致しました……ですが、状況は把握出来ました。
御手で指されたのは通路の奥、現在地はこの通路の入り口から8割ほど来たところでございます。
恐らくは城の中央、やや魔導師の塔があった場所に近いかと思われます。」
ゴウカは一息にそう告げ、目を閉じて動けなかった。
しんと、空気の温度が下がったように感じる。
この力のせいで、子供の頃から親にでさえ疎まれた。
灰の塊で生まれ、身体は灰のまま性別さえも無く、子供の頃は眠っていると部屋中に散らばる。
自分は一体何なのかと悩み苦しみ、それでも生きている証に、なんとか人型を保つことを覚えた。
そして、両親は彼の行く末を案じ、御方様…ガラリアに相談した。
ガラリアは、灰なれば火の神殿に相談しましょうと。
彼はガラリアに連れられて火の神殿へと赴いたのだ。
それが、彼の人生を大きく変えた。
彼を一目見るなり、リリサレーンは言ったのだ。
「まあ!あなたは火種ね、灰の中に煌々と力強い命の明かりが見えるわ」
リリサレーンの言葉は、うつうつとした自分の心を洗い流したようだった。
そうして、彼は火の神殿で修行を積み、燃えさかるゴウカの名を与えられた。
業の火では無く、業さえ燃やす、剛の火であれと。
ああ……今世の巫子よ、あなたは私を見てなんと言うのでしょう。
気味が悪いと仰っても構いません。
私を避けられても良いのです。
私は、…それでも私は、ひっそりとあなたに仕えましょう。
私は火の巫子を、今度こそお守りする為にと生き延びたのです。
皆が息をのみ、言葉を選ぶ。
ホムラが目をそらし、探るような目でリリスを見た。
バケモノと、何度その言葉を聞いてきただろう。
この子も我らをそう言うのだろうか……
リリスも無言でキョロキョロと皆の表情をうかがっている。
子供には荷が重いかと息を吐いた時、ずいとリリスがホムラに顔を近づけ首を傾げた。
松明の火の光も吸収されるのか、火はあるのにどんどん暗くなって行く道に、皆の心が不安で鉛のように感じていた頃、フッと急に辺りが明るく照らされた。
「あれ?出られたんでしょうか?」
「そのようだな、ここは覚えがある。」
リリスが明るく振り返ると、皆が一様にホッとした顔に見える。
守られているのか、捕らわれているのかはっきりしない状況は、奇妙なストレスで心臓に悪い。
気がつくと、あの一本角の犬は消えていた。
「あの犬どこに行ったんでしょうね。」
「さあね……さて、犬よりも。……で、どうするかね?巫子殿。
いきなり放り出されても、どちらが出口かどこにいるのかもさっぱりだな。
……ここは城の下なのか、それとも……?」
ガーラントが腰に手を置き、一息を付く。
辺りを見回すが、地龍の姿などどこにも無い。
動く音さえ聞こえないのは不気味でもある。
あれは本当に地龍だったのかという疑問は後で考えるとして、城の地下にいる状況は変わらないのだ。
「ここがどこであれ、私が指輪を感じるのは…向こうです。
行くにしても、出口の方向は確認しておく必要はありますね。
その手段があればの話ですが……」
リリスはまた目を閉じ、スッと右を指す。
通路の前を見ても後ろを見ても同じような暗闇が続く。
どちらが奥になるのか出口になるのか、とりあえずホムラを見る。
ホムラが頼られたことに少し驚き、ゴウカに目配せすると、ゴウカがうなずきリリスの前に来て頭を下げた。
「ゴウカの名は身を滅ぼす火の意だそうです。
この力だからこそ、その名が付いたと思いますが、リリサレーン様はそうでは無いと仰せでした。
様子を見て参ります……驚かれるな、ごめん。」
リリスにそう語り、床に伏した。
ゴウカの身体が一瞬影が消えて真っ白になり、ぼやけて見える。
そう感じたのは目の錯覚では無い、彼の身体は突然灰のようになり、風も無いのにサッと通路の両方へと散っていった。
灰は瞬く間に通路の隅々まで飛び、扉を見つけるとそのスキマから別の通路へ侵入して一瞬で戻る。
その灰のような粒子一つ一つに意思があるのか、ゴウカ自身にもわからない。
灰のように別れても、彼は一人なのだ。
まるで通路を俯瞰してみるような彼の目が、現在地を確認する。
そうして通路すべてを把握して、一時もたたずまたリリスの元へと戻ってくる。
リリスの前で灰がらせんに巻き上がると、人型になりゴウカの姿を成してリリスに膝をついた。
「お見苦しい物をお見せ致しました……ですが、状況は把握出来ました。
御手で指されたのは通路の奥、現在地はこの通路の入り口から8割ほど来たところでございます。
恐らくは城の中央、やや魔導師の塔があった場所に近いかと思われます。」
ゴウカは一息にそう告げ、目を閉じて動けなかった。
しんと、空気の温度が下がったように感じる。
この力のせいで、子供の頃から親にでさえ疎まれた。
灰の塊で生まれ、身体は灰のまま性別さえも無く、子供の頃は眠っていると部屋中に散らばる。
自分は一体何なのかと悩み苦しみ、それでも生きている証に、なんとか人型を保つことを覚えた。
そして、両親は彼の行く末を案じ、御方様…ガラリアに相談した。
ガラリアは、灰なれば火の神殿に相談しましょうと。
彼はガラリアに連れられて火の神殿へと赴いたのだ。
それが、彼の人生を大きく変えた。
彼を一目見るなり、リリサレーンは言ったのだ。
「まあ!あなたは火種ね、灰の中に煌々と力強い命の明かりが見えるわ」
リリサレーンの言葉は、うつうつとした自分の心を洗い流したようだった。
そうして、彼は火の神殿で修行を積み、燃えさかるゴウカの名を与えられた。
業の火では無く、業さえ燃やす、剛の火であれと。
ああ……今世の巫子よ、あなたは私を見てなんと言うのでしょう。
気味が悪いと仰っても構いません。
私を避けられても良いのです。
私は、…それでも私は、ひっそりとあなたに仕えましょう。
私は火の巫子を、今度こそお守りする為にと生き延びたのです。
皆が息をのみ、言葉を選ぶ。
ホムラが目をそらし、探るような目でリリスを見た。
バケモノと、何度その言葉を聞いてきただろう。
この子も我らをそう言うのだろうか……
リリスも無言でキョロキョロと皆の表情をうかがっている。
子供には荷が重いかと息を吐いた時、ずいとリリスがホムラに顔を近づけ首を傾げた。
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