赤い髪のリリス 戦いの風

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24、黒い悪霊からの逃亡

第255話 血の呪い

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キアナルーサの部屋では、彼の身体を乗っ取ったランドレールが一人部屋で、焦ってテーブルに拳をぶつけた。

「おのれ、死に損ないの火の神官どもめ、巫子を取り逃がした。くっ……
あやつらも生き延びていたとは、何という不覚!

ジレ、……ジレ!!」

宙を見つめ、両手で顔を覆い醜悪な顔を更に歪ませる。

「どういう事だ!気配が無い!

おかしい。
これは………

ジレの、気配が消えた?!
おのれ……、何者かに封印されたか!

何という、ここまで来て!! 
300年ぞ!!この好機、逃してなるものか!ここで我が願いが潰えることなど許さぬ!」

どうしたものか、道を探って部屋中を歩き回る。
ふと、剣に手をやると、じわりと何か力を感じて立ち止まり、ニイッと笑った。

「いや、ククク……落ち着け。ジレは消えたわけでは無い。
血だ、血の契約は生きている。

この剣を通して、主たる若き貴族の命運はこの手にある。
これはカギだ。人質にもなろう。
あとは、力だ。石の無くなった剣から受ける力は、封印がある限りは微々たる物だ。」

キアナルーサの顔が、醜悪に歪む。
それは、すでに300年前青の火の巫子を殺したランドレールの顔だ。
腹立たしそうに剣を取り、抜こうとするが封印されてどうしても抜けない。
鞘のままに剣を振りかざし、傍らのテーブルに振り下ろした。

バーーンッ!!

ガシャーーン!!


大きな音に驚いて、部屋の外から兵が駆け込む。

「王子!いかがなさいました!」

小さな丸テーブルは真っ二つに割れ、テーブル上にあった花瓶が割れて花と破片が散乱する。
駆けつけた小姓の少年は近寄れず、3人の兵も遠巻きに呆然と見つめる。

ゆらりと振り向いた王子の、見たことも無い異様な表情に、兵たちが思わずゾッとした。
スッと王子が剣を兵たちに向ける。
兵が、その剣に目を向けた。
王子の背後に黒い影が立ち上り、その手が剣を握る。



「    汝に問う    」




「  我が手、我が目、我が剣となるは、なんびとか  」



兵達が、顔を合わせて素っ頓狂な顔をする。

「王子……あの……」

「 チッ 」

王子が舌打ち、キアナルーサの身体に失望して首を振る。

「何という、凡庸ぼんような体よ!
巫子と血を分けながら、なんの力のかけらも無い!!」

憤慨しながら、割れた花瓶のかけらを拾い、兵に向けてツカツカと歩み寄る。
ギリギリと左手の平を傷つけ、兵の一人の顔をその手で覆った。

「な!何をなさいます!」

顔に血が付き、その血に呪いの文字が浮かぶ。
ガクンとその兵が白眼になり、もう一人を向いた時、もう一人の兵が慌てて逃げ出そうとドアの取っ手に手を伸ばした。

「何故逃げるのだ。」

「ひいぃ!!お許しを!お許しを!!」

もう一人の顔に手を回す。
その顔を覆った時、兵が小さな悲鳴を上げながら気を失ったように動かなくなった。
残った一人に目を向ける。
それは中でも若い男で、後ろに下がりながら剣に手が行く。

「なんと、汝は我にやいばを向けるか?!」

王子が笑いながら傍らの兵の剣を抜く。

「無礼者!世継ぎに刃を向けた報いを受けよ!」

「わああああぁぁぁ!!」

若い兵が蒼白な顔で、剣を振り上げ王子に振り下ろす。

キイィン!
ドスッ!


王子はその剣を横に払い、男の胸へとその剣を突き立てた。

「がっ!」

剣には黒いもやが刃を伝って流れ、やがて若い兵ヘと流れ込む。
男はビクビクと身体を震わせ、剣が抜き去られるとゆらゆらとその場に崩れ落ちた。

「 もう一度、汝らに問う 」

「 我が手、我が目、我が剣となるは、なんびとか 」

3人の兵がビクンと顔を上げ、倒れた者は身を引きずるように立ち上がってゆらりと傾ぐ。

それは、下級の兵でしか無い。
だが、彼らはやがて片膝を付き、騎士のように胸に手を当て頭を下げた。
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