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26、水の国の悪霊憑き
第290話 水月の水鏡
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地の巫子イネスが立ち上がり、リリスの手を取った時、彼と目を合わせてふと思いついたように声を上げた。
「そうだ、これはいい機会かもしれない。」
「機会、でございますか?」
「そうだ、お前たちが城の地下を探索して、外へ出た時変な奴らと一戦交えたと言ったな。
城の魔導師は、恐らくそれを見ていたはずだ。
今の塔の長、ルークは食えない奴だが、悪い奴じゃ無い。
そして、あの若さで長まで登った奴だ、能なしでも無い。
王族との板挟みになりながらも、情報を探し、どう動くがいいのかを考えているはずだ。
だから、 」
「連絡を取ると? 」
「そうだ、向こうの世界風で言うと、情報の共有って奴だ。
魔導師の塔が、城で起きている異様な状況を知らないはずが無い。
こちらはこちらで、リリたちが見た事実、そして、連れ帰った兵を持っている。
正体のわからない、あれの対応にも助言を貰おう。
もしかしたら、城で何が起きているかの話が聞けるかもしれない。」
二人の黒い息を吐く兵は、リリスの体調不良もあってゴウカが結界で封じている。
リリスは悪霊と言うが、正体がはっきりわからないので対応に答えが出ない。
「手紙を出されますか? 」
サファイアが横からたずねると、ちょうど居間に来たパドルーを指さす。
「あれを使おう。水月の戦士。
城の魔導師と連絡はつくか? つくだろう? 隠すなよ、連絡をつけろ。」
イネスの有無を言わせない言い方に、パドルーがムッとする。
元々なにかと比べられる水月の戦士と、百合の戦士と言われる地の巫子だ。
戦士と言っても片や水の巫子に仕える者、片や地の巫子本人、天と地の差がある地位だ。
だから、地の巫子からは激しく反発を買ってしまう。
パドルーが、顔をひくつかせながらにっこり微笑み、イネスに向けて軽く会釈する。
「もちろんでございます。
この水月の剣がありますれば、すぐにでも、どこにでも繋いでお見せましょう。
たとえ神殿にもすぐに、 」
「よい、俺は城の魔導師と言っている。余計なことはするな。
おい!ボーッと突っ立ってるお前たち、桶に水を持って来い! 」
指さされて、ブルースが俺? と自分を指さす。
ガーラントに水差しを渡されて、彼はやれやれと水を汲みに井戸へ向かった。
リリスがならばと奥へ消えて、小走りで作業で使う水盤を持ってくる。
作業用なので焼き物でも形がいびつだ。
洗ってあるけど、どこか薬草の匂いがする。
「どうでしょう、あとは料理を盛り付ける鉢しかないのですが、そちらは金物なので魔導に向かないかと存じます。」
パッとイネスが水盤を取って、水差しの水を注ぎ入れる。
「なに、名高い水月の戦士殿のことだ、形などどうでも良かろうよ。
さあ、城の魔導師に繋いで貰おうか。」
ドンッと水差しを置いて、パドルーに手を向ける。
パドルーが、コホンと咳払いをして心を落ち着けると、スカートの脇に空いた隙間から大腿のベルトにある水月の剣を取り出した。
「水月、魔導師の塔に繋いでくれ、出来るな? 」
繊細な彫刻のある鞘から動物の彫刻のある柄を持って抜き、水盤の水に、そっと差し入れ手をかざした。
「静謐なる水の流れよ、い出よ。
魔導師の塔の水鏡よ応えよ。
地に水、天に月、水月よ水の道を開け。」
水の中で、剣を中心にゆっくりと水が渦巻いていく。
ふわりと水鏡が一度輝いて、そして次第に消えた。
「水月! 」
パドルーが、目を見開いて剣に問いかける。
だが、水月は無言で、それっきり水に変化がない。
「どうした戦士殿、さっさと繋げ。」
「お待ちを巫子殿。水月、どうした。水月! 」
「 ム~~ リ~~~ 」
「 え?剣が喋った? 」
「水月の剣は魔導剣、生きているのです。無理ってどういう事だ? 」
「 ムウウ……… 」
うなる剣に、パドルーが焦る。
イネスが大きくため息付いて、フッと鼻で笑った。
「なーーんだ、水月の剣ってこんな物か~」
「ぐっ」
パドルーも、剣だけが頼みの綱だ。
しかしこれまで無理と言って出来た事は無い。
水月と付き合うのは、諦めの良さと、出来ない時に対応出来るかどうかだ。
「あれ? そう言えば、地の神殿には魔導剣ってあるのですか? 」
リリスが、意地悪なイネスに問いかける。
たまにイネスは、ビックリするほど意地悪になる。
それはだいたいにおいて、意地の張り合いだ。
「え? ええーーっと、魔導剣か~~、いや、んーーー、無い。」
ちょっと悔しそうに答える。
リリスはとても嬉しそうに、パンと手を打って立ち上がった。
「では、凄く珍しい剣なのですね?! 凄い! お目にかかれて光栄です!
水月さん、初めまして、私はリリスです。
どうぞよろしくお願いしますね?」
水に浸かった剣に、リリスが一礼する。
パドルーが、ホッとしながら苦笑した。
「ふふ、巫子殿、水月は私以外には話はしないので… 」
「 ヨ~~ ロ~~ シ~~ ク~~~~ 」
なぜか、水月がリリスに返事した。
パドルーがポカンと口を開け、リリスはにっこりして身を乗り出す。
「水月さん、お城には凄く強い結界が張ってあるのです。
だから、それを突破するのは大変です。
ぜんぜんちっとも、出来なくても不思議は無いのですよ? 」
「 ソ~~ ウ~~ カ~~ 」
「水月さんは、凄いですね。なんでも出来るのですね。
魔物に襲われてた時、助けて頂いてありがとうございました。」
ぺこりとお辞儀すると、剣の獣の顔がポッとピンクになった。
「 ォォォオオオオオ!!!! ヨオオオオオオオシシィィィィィ~~~
シ~~~ン~~~デ~~~ン~~~ニィィ~~~~~
ツ~~ナ~~イ~~デ~~ヤ~~ルウゥゥ~~~ 」
「えっ! ほんとですか? すごーい!! 」
リリスが思わず手を叩く。
「ちょ! 待て! 待てってば! リリ、いきなりそれはマズい!! 」
後ろから、慌ててイネスがリリスに飛びついた。
だが、繋げられるところに繋がるのは早い。
パッと一瞬で水盤の水面が輝いた。
『 えっ? ウソ、なにこれ~誰よ! 誰?! いきなり繋いで失礼じゃ無くって?! 』
輝く水鏡から、突然、女の子の声が飛び込んできた。
「そうだ、これはいい機会かもしれない。」
「機会、でございますか?」
「そうだ、お前たちが城の地下を探索して、外へ出た時変な奴らと一戦交えたと言ったな。
城の魔導師は、恐らくそれを見ていたはずだ。
今の塔の長、ルークは食えない奴だが、悪い奴じゃ無い。
そして、あの若さで長まで登った奴だ、能なしでも無い。
王族との板挟みになりながらも、情報を探し、どう動くがいいのかを考えているはずだ。
だから、 」
「連絡を取ると? 」
「そうだ、向こうの世界風で言うと、情報の共有って奴だ。
魔導師の塔が、城で起きている異様な状況を知らないはずが無い。
こちらはこちらで、リリたちが見た事実、そして、連れ帰った兵を持っている。
正体のわからない、あれの対応にも助言を貰おう。
もしかしたら、城で何が起きているかの話が聞けるかもしれない。」
二人の黒い息を吐く兵は、リリスの体調不良もあってゴウカが結界で封じている。
リリスは悪霊と言うが、正体がはっきりわからないので対応に答えが出ない。
「手紙を出されますか? 」
サファイアが横からたずねると、ちょうど居間に来たパドルーを指さす。
「あれを使おう。水月の戦士。
城の魔導師と連絡はつくか? つくだろう? 隠すなよ、連絡をつけろ。」
イネスの有無を言わせない言い方に、パドルーがムッとする。
元々なにかと比べられる水月の戦士と、百合の戦士と言われる地の巫子だ。
戦士と言っても片や水の巫子に仕える者、片や地の巫子本人、天と地の差がある地位だ。
だから、地の巫子からは激しく反発を買ってしまう。
パドルーが、顔をひくつかせながらにっこり微笑み、イネスに向けて軽く会釈する。
「もちろんでございます。
この水月の剣がありますれば、すぐにでも、どこにでも繋いでお見せましょう。
たとえ神殿にもすぐに、 」
「よい、俺は城の魔導師と言っている。余計なことはするな。
おい!ボーッと突っ立ってるお前たち、桶に水を持って来い! 」
指さされて、ブルースが俺? と自分を指さす。
ガーラントに水差しを渡されて、彼はやれやれと水を汲みに井戸へ向かった。
リリスがならばと奥へ消えて、小走りで作業で使う水盤を持ってくる。
作業用なので焼き物でも形がいびつだ。
洗ってあるけど、どこか薬草の匂いがする。
「どうでしょう、あとは料理を盛り付ける鉢しかないのですが、そちらは金物なので魔導に向かないかと存じます。」
パッとイネスが水盤を取って、水差しの水を注ぎ入れる。
「なに、名高い水月の戦士殿のことだ、形などどうでも良かろうよ。
さあ、城の魔導師に繋いで貰おうか。」
ドンッと水差しを置いて、パドルーに手を向ける。
パドルーが、コホンと咳払いをして心を落ち着けると、スカートの脇に空いた隙間から大腿のベルトにある水月の剣を取り出した。
「水月、魔導師の塔に繋いでくれ、出来るな? 」
繊細な彫刻のある鞘から動物の彫刻のある柄を持って抜き、水盤の水に、そっと差し入れ手をかざした。
「静謐なる水の流れよ、い出よ。
魔導師の塔の水鏡よ応えよ。
地に水、天に月、水月よ水の道を開け。」
水の中で、剣を中心にゆっくりと水が渦巻いていく。
ふわりと水鏡が一度輝いて、そして次第に消えた。
「水月! 」
パドルーが、目を見開いて剣に問いかける。
だが、水月は無言で、それっきり水に変化がない。
「どうした戦士殿、さっさと繋げ。」
「お待ちを巫子殿。水月、どうした。水月! 」
「 ム~~ リ~~~ 」
「 え?剣が喋った? 」
「水月の剣は魔導剣、生きているのです。無理ってどういう事だ? 」
「 ムウウ……… 」
うなる剣に、パドルーが焦る。
イネスが大きくため息付いて、フッと鼻で笑った。
「なーーんだ、水月の剣ってこんな物か~」
「ぐっ」
パドルーも、剣だけが頼みの綱だ。
しかしこれまで無理と言って出来た事は無い。
水月と付き合うのは、諦めの良さと、出来ない時に対応出来るかどうかだ。
「あれ? そう言えば、地の神殿には魔導剣ってあるのですか? 」
リリスが、意地悪なイネスに問いかける。
たまにイネスは、ビックリするほど意地悪になる。
それはだいたいにおいて、意地の張り合いだ。
「え? ええーーっと、魔導剣か~~、いや、んーーー、無い。」
ちょっと悔しそうに答える。
リリスはとても嬉しそうに、パンと手を打って立ち上がった。
「では、凄く珍しい剣なのですね?! 凄い! お目にかかれて光栄です!
水月さん、初めまして、私はリリスです。
どうぞよろしくお願いしますね?」
水に浸かった剣に、リリスが一礼する。
パドルーが、ホッとしながら苦笑した。
「ふふ、巫子殿、水月は私以外には話はしないので… 」
「 ヨ~~ ロ~~ シ~~ ク~~~~ 」
なぜか、水月がリリスに返事した。
パドルーがポカンと口を開け、リリスはにっこりして身を乗り出す。
「水月さん、お城には凄く強い結界が張ってあるのです。
だから、それを突破するのは大変です。
ぜんぜんちっとも、出来なくても不思議は無いのですよ? 」
「 ソ~~ ウ~~ カ~~ 」
「水月さんは、凄いですね。なんでも出来るのですね。
魔物に襲われてた時、助けて頂いてありがとうございました。」
ぺこりとお辞儀すると、剣の獣の顔がポッとピンクになった。
「 ォォォオオオオオ!!!! ヨオオオオオオオシシィィィィィ~~~
シ~~~ン~~~デ~~~ン~~~ニィィ~~~~~
ツ~~ナ~~イ~~デ~~ヤ~~ルウゥゥ~~~ 」
「えっ! ほんとですか? すごーい!! 」
リリスが思わず手を叩く。
「ちょ! 待て! 待てってば! リリ、いきなりそれはマズい!! 」
後ろから、慌ててイネスがリリスに飛びついた。
だが、繋げられるところに繋がるのは早い。
パッと一瞬で水盤の水面が輝いた。
『 えっ? ウソ、なにこれ~誰よ! 誰?! いきなり繋いで失礼じゃ無くって?! 』
輝く水鏡から、突然、女の子の声が飛び込んできた。
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