赤い髪のリリス 戦いの風

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7、フェリア奮闘

45、風の王女

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「お母ちゃま!フェリアに力を貸して!お母ちゃま!」


ビョオオオ!!


突如突風が辺りに吹き荒れ、フェリアの輝く姿を中心に大きく巻いた。
風は渦となって高く巻き上がり、襲いかかる兵たちをはねのける。

「フェリア!」

ビョオオオオオゴオオオオオオオオオ!!

風がどんどん強く、目も開けていられない。
襲っていた兵達は、風に巻き上げられてどこかに飛んで行ってしまった。

「フェリア!フェリア!」
「王子!ふせて!」

叫ぶレスラカーンにライアが覆い被さって地に伏せた。
閉じた空間が風に引き裂かれ、フェリアを包む輝きが空にどんどん大きく伸びて行く。

そして花開くように、空いっぱいに風の精霊の王女たる姿のフェリアが白い姿を現した。
それは城を包み込むように大きく、ゆっくりと風をまとい弓なりに身体を後ろに倒し、そして身を起こして城を包み込む。
その顔は白く輝くほどに美しく、金の瞳が城の敷地を見回す。
彼女の怒りはその足下に更に風を激しく巻き起こし、人々はただ突然の強風を耐えるしか無かった。


「あ、あれは何ぞ!ザレルよ!一体何だ!この風は!」

「宰相殿お伏せ下さい!」
「危ない!」

巻き上げられないようにそれぞれがその場に伏せ、慌てて何かにつかまる。
宰相の側近が、立ち尽くす彼を庇いながら急いで柱の陰へと移動した。

ザレルは呆然と変貌した我が子を見上げ、そしてその足下に目を移した。
レスラとライアが必死に地に伏せ耐えている。
はっと我に返り、思わず駆け寄り両手を空に掲げた。

「フェリア!心を納めよ!このままではお前の友人を傷つけてしまう!
フェリア!」

ザレルの声が、風にかき消される。
風の精霊がしかし、その声を精霊の王女の元へと届けた。



「ひっ!あ、あれは!まさか!」

塔の井戸で術をかけていたメイスが、突然の強風にのぞき込んでいた井戸にしがみつきながら顔を上げ、思わず空を見上げる。
目前に、空を覆うフェリアの白く美しい成人した顔が迫る。
その巨大な姿に地面を這いながら後ろに下がり、風を巻きながら自分にゆっくりと向かってくる白い手に恐怖した。

「まさか!見つけたのか!私を?!」

メイスの眼前に白く巨大な手が迫る。
しかし、恐怖に足が動かない。

その手は自分を握りつぶすのだろうか?
それとも風に巻き上げ引きちぎるのだろうか?

「馬鹿な!馬鹿な!」

ガクガクと身体が震え、風の音に任せて悲鳴を上げる。
叫びを上げて、頭を庇いながら小さく身体を丸めた。

その時、
目前で、その白い手が止まった。

フェリアの身体が大きく揺らぎ、両手で顔を覆って後ろに倒れて消えてゆく。
その隙を突くように、メイスが泣きながら慌てて塔の中へ逃げ込んだ。



巻き上げる突風がかき消され、空にそびえる白い姿が小さくしぼみ、空からゆっくりと小さな身体のフェリアが落ちてくる。
ザレルが駆け寄り、その身体を受け止めて懸命に揺り動かした。

「フェリア!フェリア!」

目を閉じた娘は目を覚ます気配もなく、身体には力を感じない。
胸に耳を当て、息をしているのを確認してほっと胸を降ろした。

「フェリアは?フェリアはどうしたのだ!」

髪を乱したレスラがライアの手を借りて立ち、ザレルに手を伸ばす。

「娘は無事です。おけがはありませんか?」

「私は無事だ。フェリアはどうなったのだ、声が聞こえぬ。」

「王子、少女はこちらに……」

伸ばす手をライアがフェリアのほおに導く。

「おお、フェリア、お前が私を助けてくれたのか。
すまぬ、私はお前を守ることが出来なかった。
ふがいない私を許しておくれ。」

レスラカーンの目から涙が落ちる。
そのとき、フェリアがうっすらと目を開いた。

「レスラ……良かった……あいつ、…………見つけた……の……お父ちゃ………捕まえ………」


「フェリア!」


フェリアの身体が、薄く透ける。

消えてしまう!フェリアが消えてしまう!

ザレルがギュッと抱きしめ、空へ、国中へ聞こえるかのように、大きく叫んだ。

「セフィーーーリアーーーーー!!!」
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