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10、隣国からの使者
78、対応会議
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イネスが急いで兄巫子の元へ行くと、二人はさっそくガルシアの居間へと通された。
すでに使者は砦をたち、夕刻にも城に到着すると連絡が来ている。
先刻の会議では、できるだけ刺激せず歓待して友好的に接するとなったが、相手の出方次第でもある。
皆がソワソワと落ち着きのない中、居間でくつろぐようにと言われた物のやっぱり落ち着かない。
中には魔導師からルネイとグロス、そして騎士や貴族の長達5人とそのそば付きなど、主たる者が集まっていた。
「ガルシア様は?」
「まだご自分の部屋からお出になっていないらしい。」
「何をしておいでだ!まったく」
イライラする主人に、そば付きが小さく声をかける。
「先ほどレイト殿が、昼寝をなさっているので起こして参りますと……」
「なにいい!!」
それは真実を伝えたのだが、火に油を注ぐ結果となった。
「御館様、おいででございます!」
兵が外から声をかけ、慌ててドアを開ける。
「ふあああ……、ああ、やっと頭がはっきりした。」
ガルシアが大きく伸びをして、あくびをしながら部屋に入ってきた。
「なっ!御館様!」
「緊張感がございませんな!」
ワイワイ責め立てる声を物ともせず、普段通りの佇まいで静かに奥の上座の椅子に腰掛けた。
しかし、ふと気がつくと皆は、頭に血が上った様子で立ち上がりこちらを見ている。
ガルシアが、はてと首をかしげ椅子を指さした。
「それ、何をしている。年寄りが長時間うろうろしていると腰を痛めるぞ。
椅子は飾りではない、職人が座るように作った物だ、安心して腰掛けよ。」
済ました言い方に頭をカッカしながら、皆近くの椅子に腰掛ける。
イネスがプッと小さく吹き出すと、セレスが横からドンと肘でこづいた。
並んでガルシアの横の椅子に座る。
イネスはヨーコを指に留まらせ、手の中で遊んで暇をつぶした。
「広間の配備は指示しました。御館様のお側には、この騎士ケルトと別室におりますギルバが控えてにらみをきかせましょう。」
立ち上がり大きな声で進言する横の大男を、チラリとガルシアが見る。
そして小さく首を振った。
「お前達がいては、野獣と羊だな。俺がさも弱々しく見える。
そうだな、バランスから言って、ミランとガーラントでいい。」
「なんと!あのふぬけのミランで?!
それでは十分にお守りできませぬ!なにかあった時はどうなさるおつもりですか!」
ペッペとつばを吐く大きな男に、ガルシアが嫌そうに顔を背ける。
「いいから控えよ、お前は少々うるさい。
このままでは耳が壊れて、使者の声が聞こえなくなってしまうではないか。」
「なんと!」
素っ頓狂な顔をして、ケルトがドスンと椅子に座る。
横にいたケルトの部下が、ガルシアに頭を下げた。
「広間には兵の配置も済んでおります。
一部を出し、他は何かありましたらすぐにも出てこられるよう、隠し扉に配置しました。」
「良し、ご苦労だった。落ち着いて行動するよう……」
「規律は正しております。
魔物騒ぎで親類から死傷者を出した者などには、今回は控えるように通達を出しました。」
「良し、信頼しているぞ。」
「はっ」
「お迎えの部屋も整いました。万全に万全を重ねております。」
「わかった、警備も重々にな。彼らに何かあってもこちらの落ち度となる。
変わったことあれば、すぐに上の指示を仰ぐよう申し伝えよ。勝手に判断してはならぬ。」
「はっ、昼夜問わず警備を増やします。
人員は手抜かりなく選出しましたのでご安心を。」
「良し、まかせた。」
一寝入りしたのが良かったのか、ガルシアからは疲れが消えている。
彼らしい安定感のある様子が、かえって皆の心を落ち着かせた。
おのおの報告が済み、最後に魔導士のグロスが声をかける。
横のルネイに頷きながら、それは魔導師達で話し合って決めた事だった。
「我々魔導師は後ろに控えるようにしております。
相手が魔導師を連れていないからには、前に出るわけにも参りますまい。大国と国境を接する隣国での魔導師は、薬師や賢者としてよりも、より強力な戦力だと聞きます。
アトラーナとは少々おもむきが変わりますので、余計な警戒感をもたれましょう。」
「しかし、相手は突然現れる魔物を引き連れた魔導師ですぞ。
すでに多くの同胞が傷ついたのだ。
これ以上死傷者を出さないためにも、魔導師がもし一般兵の中に紛れていましたらどうなさいます。
一瞬が命取りになりますまいか?」
「うむ……本城から来た兵の間では、復讐を考える者もあるかもしれぬ。
かなり恐ろしい目に遭ったという、こちらの出方にも警戒が必要か。」
「広く目を配る必要がありますが……
しかし今回、巫子殿にも来ていただいている。
争いを止めるために来ていただいているのだ。
場を治める事にも効果がありますまいか?」
「しかし、やはり御館様を守るためにも魔導師殿は御館様の傍らにいていただかねば、我らは安心できぬ。」
不安の声に、グロスが手を挙げる。
「それには及ばぬ。こちらには強力な魔導師がおりますのでな。」
ノックがして、魔導師アルマが入ると頭を下げる。
グロスが立ち上がり、ドアへ向かった。
すでに使者は砦をたち、夕刻にも城に到着すると連絡が来ている。
先刻の会議では、できるだけ刺激せず歓待して友好的に接するとなったが、相手の出方次第でもある。
皆がソワソワと落ち着きのない中、居間でくつろぐようにと言われた物のやっぱり落ち着かない。
中には魔導師からルネイとグロス、そして騎士や貴族の長達5人とそのそば付きなど、主たる者が集まっていた。
「ガルシア様は?」
「まだご自分の部屋からお出になっていないらしい。」
「何をしておいでだ!まったく」
イライラする主人に、そば付きが小さく声をかける。
「先ほどレイト殿が、昼寝をなさっているので起こして参りますと……」
「なにいい!!」
それは真実を伝えたのだが、火に油を注ぐ結果となった。
「御館様、おいででございます!」
兵が外から声をかけ、慌ててドアを開ける。
「ふあああ……、ああ、やっと頭がはっきりした。」
ガルシアが大きく伸びをして、あくびをしながら部屋に入ってきた。
「なっ!御館様!」
「緊張感がございませんな!」
ワイワイ責め立てる声を物ともせず、普段通りの佇まいで静かに奥の上座の椅子に腰掛けた。
しかし、ふと気がつくと皆は、頭に血が上った様子で立ち上がりこちらを見ている。
ガルシアが、はてと首をかしげ椅子を指さした。
「それ、何をしている。年寄りが長時間うろうろしていると腰を痛めるぞ。
椅子は飾りではない、職人が座るように作った物だ、安心して腰掛けよ。」
済ました言い方に頭をカッカしながら、皆近くの椅子に腰掛ける。
イネスがプッと小さく吹き出すと、セレスが横からドンと肘でこづいた。
並んでガルシアの横の椅子に座る。
イネスはヨーコを指に留まらせ、手の中で遊んで暇をつぶした。
「広間の配備は指示しました。御館様のお側には、この騎士ケルトと別室におりますギルバが控えてにらみをきかせましょう。」
立ち上がり大きな声で進言する横の大男を、チラリとガルシアが見る。
そして小さく首を振った。
「お前達がいては、野獣と羊だな。俺がさも弱々しく見える。
そうだな、バランスから言って、ミランとガーラントでいい。」
「なんと!あのふぬけのミランで?!
それでは十分にお守りできませぬ!なにかあった時はどうなさるおつもりですか!」
ペッペとつばを吐く大きな男に、ガルシアが嫌そうに顔を背ける。
「いいから控えよ、お前は少々うるさい。
このままでは耳が壊れて、使者の声が聞こえなくなってしまうではないか。」
「なんと!」
素っ頓狂な顔をして、ケルトがドスンと椅子に座る。
横にいたケルトの部下が、ガルシアに頭を下げた。
「広間には兵の配置も済んでおります。
一部を出し、他は何かありましたらすぐにも出てこられるよう、隠し扉に配置しました。」
「良し、ご苦労だった。落ち着いて行動するよう……」
「規律は正しております。
魔物騒ぎで親類から死傷者を出した者などには、今回は控えるように通達を出しました。」
「良し、信頼しているぞ。」
「はっ」
「お迎えの部屋も整いました。万全に万全を重ねております。」
「わかった、警備も重々にな。彼らに何かあってもこちらの落ち度となる。
変わったことあれば、すぐに上の指示を仰ぐよう申し伝えよ。勝手に判断してはならぬ。」
「はっ、昼夜問わず警備を増やします。
人員は手抜かりなく選出しましたのでご安心を。」
「良し、まかせた。」
一寝入りしたのが良かったのか、ガルシアからは疲れが消えている。
彼らしい安定感のある様子が、かえって皆の心を落ち着かせた。
おのおの報告が済み、最後に魔導士のグロスが声をかける。
横のルネイに頷きながら、それは魔導師達で話し合って決めた事だった。
「我々魔導師は後ろに控えるようにしております。
相手が魔導師を連れていないからには、前に出るわけにも参りますまい。大国と国境を接する隣国での魔導師は、薬師や賢者としてよりも、より強力な戦力だと聞きます。
アトラーナとは少々おもむきが変わりますので、余計な警戒感をもたれましょう。」
「しかし、相手は突然現れる魔物を引き連れた魔導師ですぞ。
すでに多くの同胞が傷ついたのだ。
これ以上死傷者を出さないためにも、魔導師がもし一般兵の中に紛れていましたらどうなさいます。
一瞬が命取りになりますまいか?」
「うむ……本城から来た兵の間では、復讐を考える者もあるかもしれぬ。
かなり恐ろしい目に遭ったという、こちらの出方にも警戒が必要か。」
「広く目を配る必要がありますが……
しかし今回、巫子殿にも来ていただいている。
争いを止めるために来ていただいているのだ。
場を治める事にも効果がありますまいか?」
「しかし、やはり御館様を守るためにも魔導師殿は御館様の傍らにいていただかねば、我らは安心できぬ。」
不安の声に、グロスが手を挙げる。
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グロスが立ち上がり、ドアへ向かった。
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