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11、アトラーナの秘め事
96、盲進、猛進
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ガルシアが廊下を歩きながら、大きく長いため息をつく。
まったく口惜しい、魔物と戦うことの出来る人間が少なすぎる。
「ああ……まったく、城の守りがまた欠ける。」
つぶやくようなため息混じりの言葉に、側近のクリスが耳元にささやいた。
「昨夜セレス殿の力を目にしただけに、皆も当てにしていたようで。
イネス様は剣舞では有名ではありますが、あれほどのお力は……」
「守りになるのか、イネスの力は実際俺も知らぬ。
教えろと一発殴ってみようか。
はてさて、せめて向こうの魔導師が何者かさえわかればな。」
「一発殴るはご遠慮下さい。」
「冗談だ。」
まったく、ガルシアの言葉はどこまでが冗談かわからない。
幼少の頃は側付きでクリスは随分振り回された。
「リリス殿!」
「御館様にお目通りを!」
階段を上ったところで声が響き、向かいの廊下から息を切らせ、リリスとガーラントが走ってくる。
途中で止めようとする兵を制し、ガルシアが足を止めた。
「なにか、騒々しいぞ。」
クリスが前に出て、怪訝な顔で声を上げる。
リリスは彼らの前に来ると膝をつき、頭を下げて静かに告げた。
「ガルシア様、お話がございます。大切な……事でございます。恐らく。」
「何か、はっきりと申せ。御館様はお忙しくあらせられる。」
「私は、過去に魔物と関わった者を存じております。」
クリスがキョンとして、ガルシアの顔を見る。
気でも狂ったかと、首をかしげた。
「過去とは、伝承で伝わる事と申すのか?
あれは数百年前の事、ふざけた事を…………」
ドーーーーンッ
心を決めてリリサレーンのことを話そうとするリリスを遮るように、突然地響きが大きく城を揺らし、城中から悲鳴が上がった。
「なにか!何が起きた?!」
「御館様!結界が破られました!
中庭に魔物が、奥の棟にお逃げ下さい!」
廊下で兵が、慌てふためいた様子で走り回る。
ガルシアたちが中庭の見える窓に駆け寄った。
ここは2階だが、青い炎がごうごうと立ち上っているのが見える。
「なんと!巫子殿の結界も駄目か?」
「そのようで。」
兵があとからも、転げるように報告に走ってきた。
焦る顔は、悪い知らせだと告げる。
「城下にも数軒家が破壊されたと報告が!
先ほど煙が見えましたので、確認に行かせております!」
「魔物の火であれば、水では消えんかもしれぬな。城下にルネイを向かわせよ!大火にしてはならぬ!」
「はっ!」
とうとう、被害は城だけでは済まなくなってきたのか。
元より城だけで済んでいたのは、敵の考えも有ってのことだったのだろう。
窓から下を見ると、大きな炎の翼を持つ少年が四つん這いで青い火を吐いている。
少年の回りは土がえぐれ、何か大きな力が働いたのか美しい中庭の庭園は破壊されている。
樹木が四方に倒れ、青い炎になめられた場所は黒こげになっていた。
「あれか!あっ、馬鹿者!下がれ!」
聞こえるわけもなく、中庭では真っ正面から兵が数人向かってゆく。
四つ足の少年はゆっくりそちらを向き、衝撃波をともなった炎を吐き出し、兵はあっという間に吹き飛ばされ視界から消えた。
「クリス!正面の兵を下がらせろ!城は壊れても構わん、盾になる必要はない!
後ろに回り込むように伝えよ!」
「私が参ります!ガーラント様はガルシア様を!」
「あっ、待てリリス!」
廊下にリリスの声が響き、ガーラントの覗く窓の隣の窓から赤い髪の少年が飛び降りてゆく。
ガーラントが思わず追って窓から手を伸ばし、身を乗り出した。
「待て!俺はお前の守りだ!」
その声を振り切って、リリスはその火の翼の少年に視線を落とす。
それは、正気を失ったメイスの姿。
ここまで力を放出して破壊する姿は、どう見ても彼の力と思えない。
これ以上被害を増やす前に、彼をなんとか押さえねばならない。
リリスが呪を唱え手を伸ばすと、風が集まり魔物を地面に押さえつけた。
それを見ていたガルシアが頬を打ち、思わず呆れた様子で首を振る。
「なんて奴だ!
ガーラントよ!あいつは危ないとか、怖いとか教わってないのか?」
「御館様!ここは危のうございます!お守りしますのであちらへ。」
ばらばらと、背後には兵が集まってくる。
ガーラントも迷いながらガルシアの元に歩もうとした時、大柄の騎士ケルトが目の前にグッと拳を出した。
「お前はお前の守りたい者の元へゆけ!御館様は我らがお守りする!」
ガーラントが、ハッと顔を上げるとガルシアが大きくうなずく。
「行け!あの猛進シビルを守ってこい!」
「はっ!」
ガーラントはその場に膝をつき、そして一目散に部屋を飛び出していった。
まったく口惜しい、魔物と戦うことの出来る人間が少なすぎる。
「ああ……まったく、城の守りがまた欠ける。」
つぶやくようなため息混じりの言葉に、側近のクリスが耳元にささやいた。
「昨夜セレス殿の力を目にしただけに、皆も当てにしていたようで。
イネス様は剣舞では有名ではありますが、あれほどのお力は……」
「守りになるのか、イネスの力は実際俺も知らぬ。
教えろと一発殴ってみようか。
はてさて、せめて向こうの魔導師が何者かさえわかればな。」
「一発殴るはご遠慮下さい。」
「冗談だ。」
まったく、ガルシアの言葉はどこまでが冗談かわからない。
幼少の頃は側付きでクリスは随分振り回された。
「リリス殿!」
「御館様にお目通りを!」
階段を上ったところで声が響き、向かいの廊下から息を切らせ、リリスとガーラントが走ってくる。
途中で止めようとする兵を制し、ガルシアが足を止めた。
「なにか、騒々しいぞ。」
クリスが前に出て、怪訝な顔で声を上げる。
リリスは彼らの前に来ると膝をつき、頭を下げて静かに告げた。
「ガルシア様、お話がございます。大切な……事でございます。恐らく。」
「何か、はっきりと申せ。御館様はお忙しくあらせられる。」
「私は、過去に魔物と関わった者を存じております。」
クリスがキョンとして、ガルシアの顔を見る。
気でも狂ったかと、首をかしげた。
「過去とは、伝承で伝わる事と申すのか?
あれは数百年前の事、ふざけた事を…………」
ドーーーーンッ
心を決めてリリサレーンのことを話そうとするリリスを遮るように、突然地響きが大きく城を揺らし、城中から悲鳴が上がった。
「なにか!何が起きた?!」
「御館様!結界が破られました!
中庭に魔物が、奥の棟にお逃げ下さい!」
廊下で兵が、慌てふためいた様子で走り回る。
ガルシアたちが中庭の見える窓に駆け寄った。
ここは2階だが、青い炎がごうごうと立ち上っているのが見える。
「なんと!巫子殿の結界も駄目か?」
「そのようで。」
兵があとからも、転げるように報告に走ってきた。
焦る顔は、悪い知らせだと告げる。
「城下にも数軒家が破壊されたと報告が!
先ほど煙が見えましたので、確認に行かせております!」
「魔物の火であれば、水では消えんかもしれぬな。城下にルネイを向かわせよ!大火にしてはならぬ!」
「はっ!」
とうとう、被害は城だけでは済まなくなってきたのか。
元より城だけで済んでいたのは、敵の考えも有ってのことだったのだろう。
窓から下を見ると、大きな炎の翼を持つ少年が四つん這いで青い火を吐いている。
少年の回りは土がえぐれ、何か大きな力が働いたのか美しい中庭の庭園は破壊されている。
樹木が四方に倒れ、青い炎になめられた場所は黒こげになっていた。
「あれか!あっ、馬鹿者!下がれ!」
聞こえるわけもなく、中庭では真っ正面から兵が数人向かってゆく。
四つ足の少年はゆっくりそちらを向き、衝撃波をともなった炎を吐き出し、兵はあっという間に吹き飛ばされ視界から消えた。
「クリス!正面の兵を下がらせろ!城は壊れても構わん、盾になる必要はない!
後ろに回り込むように伝えよ!」
「私が参ります!ガーラント様はガルシア様を!」
「あっ、待てリリス!」
廊下にリリスの声が響き、ガーラントの覗く窓の隣の窓から赤い髪の少年が飛び降りてゆく。
ガーラントが思わず追って窓から手を伸ばし、身を乗り出した。
「待て!俺はお前の守りだ!」
その声を振り切って、リリスはその火の翼の少年に視線を落とす。
それは、正気を失ったメイスの姿。
ここまで力を放出して破壊する姿は、どう見ても彼の力と思えない。
これ以上被害を増やす前に、彼をなんとか押さえねばならない。
リリスが呪を唱え手を伸ばすと、風が集まり魔物を地面に押さえつけた。
それを見ていたガルシアが頬を打ち、思わず呆れた様子で首を振る。
「なんて奴だ!
ガーラントよ!あいつは危ないとか、怖いとか教わってないのか?」
「御館様!ここは危のうございます!お守りしますのであちらへ。」
ばらばらと、背後には兵が集まってくる。
ガーラントも迷いながらガルシアの元に歩もうとした時、大柄の騎士ケルトが目の前にグッと拳を出した。
「お前はお前の守りたい者の元へゆけ!御館様は我らがお守りする!」
ガーラントが、ハッと顔を上げるとガルシアが大きくうなずく。
「行け!あの猛進シビルを守ってこい!」
「はっ!」
ガーラントはその場に膝をつき、そして一目散に部屋を飛び出していった。
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