速達配達人 ポストアタッカー 新1 〜ポストアタッカー狩り〜

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第21話 地雷強盗とガチ勝負

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「平和だなー」

さすがに3人で向かう自分たちを襲っては来ないだろう。
事件現場が近くなって、遅れがちなエジソンを待つ為にダンクがスピードを落とす。

「一気だ!一気に通り過ぎるから!」

「遅れるって言っただろ?!」

「駄目!」

「あー、わかったー」手を上げて返答する。

ちぇっ、仕方ねえなあ。
休みの時にでも見に来るか。

振り返ると、エジソンの馬が追いついてきた。
スピード落として流す。
エジソンのおっさん馬は、どうも走りたく無さそうに見える。
それは同じく振り返ったダンクも気がついたようで、時計を見た。

「遅れるの仕方ねえ、この岩山の先の森を迂回してスピード落としていくか。
その馬、長距離久しぶりなんだろ?」

「は~、すいません。なんか疲れてるのかな。」

「そうだなー、疲れてるって言うより、ただ走りたくないってんじゃねえの?
人間だって一緒じゃん。エジソンだって、もう顔真っ赤だぜ?
のんびり暮らしてるのに、いきなり長距離ガンガン走れって言っても無理なのさ。」

ハハッとサトミが笑う。
エジソンが、汗をふきふきため息を付く。
さっそく足手まといになってしまった。

もう、いっそ置いていってもらおうか。
これ以上は無理……


バーーーーンッ


その時、突然、爆発音が響いた。
何度も音が反響してあとの音が聞こえない。
岩棚の向こうに白煙が見える。
ダンクが身を起こし、愕然と馬の速度を落とした。

「なんで?!」

まさか!襲われるのは荷物の多い帰りじゃ無かったか?
やられたのはポストアタッカーじゃ無いはずだ。
一般人か?まさか、一般人をやりはじめたのか??!!

「ベン!」

サトミが一気にスピードを上げて、呆然と先を見つめるダンクを追い越し岩場に向かう。

「お前らは来るな!」

「駄目だ、新入り!駄目だ!!サトミ!止まれ!サトミ!!行くなーーーー!!」

ダンクの声が、ベンの駆ける音にかき消された。

小型のトラックが、隠れていた岩山の陰からこちらへ走ってくる。
恐らく、岩山の裏に広がる森に隠れていたのだ。
岩山と岩棚に挟まれた道に出ると、地雷引っかけた被害者に機関銃を向けるのだろう。

まだこちらに気がついていない。
荷台には機関銃を構える男と補佐役の小柄の若い男。
そして傍らには自動小銃を持つ3,40くらいのどこかの民族衣装に頭にスカーフをかぶった女。
民族衣装の女はまだ銃に慣れてないのか、トラックが弾んだ瞬間、空に向けて数発撃ち、男に怒鳴られている。

撃たせるな

あの、被害者の写真が俺に叫ぶ。
運転席の女が、こちらに気がつき窓から銃を出して撃って来た。
だが、敵からするとこちらは横切っている状況で、弾は背後を通り過ぎる。
背の刀を抜いて、道の曲線を走り抜ける。

「雪よ、出番だぜ!!」

その刀は、鰐切わにきり雪雷せつらい」サトミの愛刀だ。

荷台の男が重機関銃をこちらへ向けようとするが、すでにベンは正面に入って運転席が邪魔で狙えない。
男が何かを叫び、車は道を外れて現場を背に横に走り出した。
荷台がこちらを向き、男が笑って何かを叫んでいるのが見える。

「クソ野郎、貴様には生きる価値もねえ。」

サトミが吐き捨てた。

タタタタタンン タタタタタンン

シャシャッシャッシャッ

機関銃の弾が風切る音が響き、サトミは右へとベンを流し避ける。

「このクソったれが!避けるな!死ねやっ!」

タタタタタンン

苦々しく男がタバコをかじるとサトミの逃げた右に向けて撃ち始め、女がその横から自動小銃で加勢する。

タタタン、タタタン、タタタンタタタン

サトミは左に避け、撃たせながら道を外れてドンドン近づいて行く。

ギキキンッ!

女の弾を切り落とし、機銃の弾の流れを見て右に流す。
車はぐるりとターンしてスピードを落とし、距離を取ってこちらに背を向けた。

「クソッ!!当たらねえ!!」

「おじさん!弾がもう少ないよ!」

「仕方ねえ!次の弾使うぞ!
こいつ怖くねえのか?!!気が狂ってんのかよっ!?!」

男は酷く焦り、迷わず向かってくるサトミに機銃を左右に振って乱射し始めた。

「キヒヒヒヒヒ!!撃て撃て、銃なんてよ、ラインを引いて弾が来る。
ちっせえ弾1つ、避ければ当たりゃしねえ。

そして!撃つお前は!  」

刀を返し、腰から小さなナイフを取り、前方に向けピンと投げる。

「 1人だ! 」

ナイフが宙で相手に向いた瞬間、

カーーーーンッ!!

ナイフの柄の頭を、刀の背で叩いて打ち込んだ。

タタタ……

男の身体がビクンと跳ね、横で銃を撃っていた女が思わず振り返る。
バンと車がバウンドした瞬間、男の身体がひっくり返った。

「えっ?!」

思わず目を見開き凝視する。その男の額には、ナイフの柄が生えていた。

「母さん!」

男の横にいた少年が、母親に飛びつき荷台の内に引き倒す。
2本目のナイフが、女の頭をかすった。

ガーーンッ!

当たり損ねたナイフが、トラックの運転席後ろの壁に突き刺さる。

「ひいいっ!!」

その光景に、女が凍り付く。
驚いた運転席の女は、反射的にアクセルを踏みトラックのスピードを上げ逃走を図る。

変わらず追いかけるサトミに少年は、女から銃を取り上げると、荷台に立ち上がり銃を構えた。

カーン……

音が鳴ってキラリと光が目に入り、その瞬間凄まじい衝撃が銃に走って背後に吹っ飛ぶ。

「うわあああ!!」

すると、トラックがいきなり右折して更にスピードを上げた。

「あっ!!」

少年が投げ出され、女が血まみれの手を伸ばす。だが、その手は一気に距離が広がった。

「ユージーン!!」

「お、お母さん!」

その横を、ベンが駆け抜けトラックを追った。

「くそう!あいつ!!!」

落ちた銃を見つけ、這うように必死で手を伸ばす。
構えて、引き金に指をかけ愕然とした。
銃口に、ナイフが生えている。
いや、突き刺さっていた。

「い、い、いったい、何だよこれえっ!!」

少年は容赦ないサトミのやり方に、戦慄して身体が凍り付いた。
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