冒険者ゴートの一生

ケバブ

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一章

セカの街の新人冒険者3

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「じゃあ軽く打ち合うか。そこの棚から好きな槍を選んでいいぞ」

ガイさんに案内してもらい訓練所にはいる。早速打ち合うみたいだ。
どの槍が良いかなんて良くわからないので何本か振ってなんとなく良さげな槍を二本選ぶ。

「好きなように思い切りこい」

ガイさんが片手剣と盾を構える。俺も軽く体をほぐしてその場で二、三回とぶ。
せっかくの機会だがむしゃらに闘おう。

「行きます!」

----- 
「じゃあ軽く打ち合うか。そこの棚から好きな槍を選んでいいぞ」

そう声をかけながら戸惑いながら槍を選んでいる少年を観察する。

こいつがトール様のお気に入りねえ。

この少年ゴートについて話があったのは昨日のこと。
いつも通り職場に行くと、上司から近々ゴートという少年が登録に来るから気にかけてやってくれとお願いされた。理由を聞くと、何でもこの前の戦でトール様の窮地を救ったらしくトール様が気にかけているという。
まあ不正に贔屓をしろという訳ではなく、何か困っていたら助けてやって欲しい程度の話だったから流して聞いていたんだが。

少年が例のゴートだと気がついたのは書類を記入してもらっていたときのことだ。第一印象としては絵に書いたような素朴で真面目な少年。得意武器の相談や講習での態度を見ても印象通り。確かに善良な人間だろうがトール様の琴線に触れるほど特徴的かと言われると何ともいえない。
まあ仕事は仕事。取り敢えず訓練を済ませてその後少し話でもしてみるかな。

「好きなように思い切りこい」

片手剣と盾を構え待っていると、ゴートは体をほぐし終えると短槍二本という珍しいスタイルで向かってきた。

「行きます!」

「むっ」

思わず声を出してしまった。ただ短槍を振っているだけなんだが想像以上に速く重い。まあ軌道やタイミングが単純過ぎて簡単に防げるが。訓練なんだからこちらも多少は反撃しないとな。
隙を見て剣を振るう。

「おわっ」

ゴートは少し驚きつつ思いっきり伏せて避けていた。
筋肉や間接が柔らかいのか無茶苦茶な姿勢で避けている。攻撃を止めると慌てながら凄い勢いで距離を取っていた。
一呼吸置くと攻撃意思を感じる表情になる。中々面白い奴だ。
次はどんな攻撃が来るかと待ち構えているとゴートが動く。
投擲。無駄のないフォームから片方の短槍が打ち出される。
思わず反応して剣で弾く。盾側に気配を感じる。盾の影から槍がくる。咄嗟に盾を前に離し後ろに飛ぶ。すると低い姿勢で槍を振っているゴートが見えた。
すかさず反撃。空いた手で空振り流れた槍を掴み肩に一撃。

「ぐへぇ」

ゴートの情けない声が聞こえる。少しだけむきになってしまい強くなったかもしれん。 

「ここまで!ゴートお前身体能力だけなら中級位あるかもな。ただあくまでも知識や経験が前提に無いとだ。地道に見習いの仕事からこなしていけばすぐ昇格するだろうから変な過信で無謀なことはするなよ。あと組合でいろんな武器の講習を開いているから参加するのも良いかもな」

取り敢えず実力はわかった。技術こそ無いものの身体能力に秀でていて戦闘センスも悪くない。普段の温厚さと戦闘時のギャップが面白い。トール様的には将来的に私兵に欲しいのかも知れないな。
どのみちうちの組合に有望な人材が増えることは良いことだ。
これからの活躍を期待するとしよう。
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