冒険者ゴートの一生

ケバブ

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一章

セカの街の新人冒険者6

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『労働者』

これがおやっさんから教えて貰った店の名前だ。
書いて貰った地図を頼りに店を探していると一件の少し寂れた感のある建物にたどり着いた。良く見ると小さな看板に労働者と書いてある。 
店を見て最初に思ったことは自分だけだったら絶対に来ることはなかっだろうなということ。この店が信用出来るかに関してはおやっさんを信じているので気にしていない。

少し重い戸をあけるとそこには褐色の肌に後ろに束ねる赤い髪が映える女性と髭を蓄えたおじいさんがおり、何かの作業に没頭していた。

「紹介を受けて来たんですけど」

店内に入ったにも関わらずこちらを見ようともしない二人に戸惑いながらも紹介状を出すと赤髪の女性が気付いてくれて

「あっ、ごめんごめん、つい集中しちゃって。ふむふむ、農園のおやっさんの紹介で、冒険者なのにおやっさんに相談するなんで面白い子だね。良いわよどんなものが欲しいの?」

おやっさんはここでもおやっさんなのかぁなんて間の抜けた事を考えていたら、いきなり話が進んで少し焦った。背が伸びてからは子供扱いも久しぶりで少し恥ずかしい。

「えっと、森のなかでも破けないような丈夫な作業着の上下と森歩き用の靴、あと頑丈な鉈とナイフですかね」

「うんうん。良いチョイスだと思うよ。思い切り正面から戦うなら別だけど狩りや採取ならある程度身軽で音が鳴らないような装備の方が便利だもんね。お爺ちゃん、他に何かアドバイスある?」

立派な髭のいかにも職人という感じのお爺さんがこちらを向いて話し出した。

「儂的にはもー少し遊び心があってもいーんだがなー。農具で戦うとかどう?鍬とか鎌でさ。農民冒険者だーって感じ。カッコいいと思わん?農民冒険者。あ、手袋も丈夫な物を買った方が良いぞ。既製品で十分だから」

ニコニコのお爺さん。
苦笑いのお姉さんに、間抜けな顔をしているであろう俺。
外見と性格が一致してなさすぎやしないか。

三秒後俺再起動。

「あっ、と、武器はまだ持ってなくて組合の講習を一通り受けてから決めようかと思ってまして。昔農奴だったので農具の扱いには自信がありますが。あっ手袋も欲しいです。」

「そうかー農民冒険者ならずか。まあええか。靴と手袋はそこの棚にお勧めが有るから好きなのを選ぶと良いぞ、爪先を補強しとくから。作業着は既存の丈夫なやつをベースに肘や膝なんかを補強してやるよ。ついでに所々チェーンを仕込んどいてやる。本当ならチェーンベストでも着た方が良いんだろうがここにはねえし、そもそもスゲー値段だからな。坊主には買えないだろ。坊主が良ければこみこみで四万でやってやる。即金は厳しいだろうから前金に二万、完成時にもう二万でどうだ?」

「もうおじいちゃんいきなり捲し立てすぎ!ゴート君ゆっくり考えて良いからね」

怒濤の説明に圧倒されたものの答えは既に決まっていた。

「前金の二万エルです。よろしくお願いします」

そもそもこちらは素人なのだ。予算が許す限り、信頼のおけるプロの職人がお勧めする物を断る理由がない。それにさっきの補強の説明も納得のいくものばかりだ。

「ずいぶんあっさり決めたわねえ。まあいいわ、こっちで採寸しちゃいましょ。ある程度中に着込めるように作るからしっかり測らないといけないの。完成は二週間後になるわ。他の仕事がたて込んでいて。遅くなってごめんね」

二週間後再び訪れる事を約束して店を出た。

お姉さんの採寸の時に少しドキドキしていたのは内緒だ。
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