冒険者ゴートの一生

ケバブ

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二章

セカの街の下級冒険者7

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「オレン草の根の採取依頼ですね。確かに受けとりました。報酬をどうぞ」

お姉さんから報酬をもらう。水の魔道具を買ったつぎの日から俺は二日連続薬草採取の依頼を受けていた。せっかく水の魔道具を買ったのに薬草採取の依頼を受けたのは、オレン草もヨギ草と同じく昔から採っている植物なので安定して達成できると思ったのと、確実に手持ちを増やしたかったからだ。出来ると思える依頼があるならそっちをこなす方が確実だ。色んな意味で弱いうちは浪漫では飯は食えない。とは言うものの九級で受けることが出来る薬草採取は当分無さそうだ。

明日の依頼を決めるべく依頼書を眺めていると、ある依頼に興味を引かれる。

・農園の警備 十八時から六時までのなかの六時間 報酬 一万五千エル 
      夕食、夜食、朝食付き

今収穫時期を迎えている野菜を狙っている動物が多いのか、他にも畑の警備依頼は何件かあった。だがここまで食事がついているのは初めてだ。気になったので受付で聞いてみると、なんでも依頼主は若い青年で去年農園を立ち上げたばかりで、少しでも早く対策を取りたかったようだ。農園はある程度人数が増えるまで
少ない人数で夜見回りをしなくてはいけなけい。それが大変だったとおやっさんが言っていたな。

そもそも農業エリアというのは街の外にあるからそのままでは野性動物に好き放題される。そうならないように簡易的な柵で覆っている他、街付きの兵士が見回りを行っているが、如何せん広い。そのため農園毎に夜番を決めて警戒している場合が多いのだが、依頼主の農園は従業員の数が足りず夜番が負担になっているのだろう。俺にも経験があるからわかる。一日でも代わって貰えると結構楽になるのだ。明日まで依頼が残っていたら受けようかな。ただ何となくこの依頼は残ってる気がした。


次の日組合で依頼を見てみると昨日の依頼が残っていたので、受付に依頼書を持っていき農園の場所を教えてもらう。おやっさんの農園と比べかなり街から離れていた。

依頼の時間まで半日近くあるので一度部屋に戻り体を休め、お昼を過ぎた頃もう一度街に出る。遅めの昼食にいつものバーガーを食べた後、八百屋で春リンゴを二つほど買う。一応食事は出るらしいが念のためだ。

街を散策していると良い時間になったので依頼主の所へ行くと、賑やかな声が聞こえてくる。子供の声だ。聞いた感じ小さい子も結構居る。この感じだと声を張らないと気が付いて貰えないかな。

「すみませーん!冒険者組合で依頼を受けたゴートといいます!依頼主の方はいらっしゃいますか?」

「はーい!今行きますので!」

返事の後直ぐに若い青年がやって来る。歳はおそらく俺より少し上ぐらいかな。二十歳前後だと思うけど。

「依頼を受けてくれてありがとう!僕はリーフ。ゴート君よろしくね。まだ依頼の時間まで少し有るけど先に説明しちゃおうか?」

「そうですね。色々見て回りたいので先に説明をお願いします」

「了解。まあ説明と言っても話は簡単でね。数日前から獣がうちの畑を狙っていて、一応僕とバル爺、バル爺っていうのは農業の先生みたいな人で立ち上げの時からずっとお世話になっているんだ。えっと、そのバル爺と交代で夜番をしてはいるから被害は少なくて済んでいるんだけど、バル爺も歳だし、僕も昼働かないといけないから中々しっかり休めなくて。今日の夜の半分でも夜番をして貰えるとその間休めるかなって。だからゴート君はこの後決める時間の間、畑を見回ってくれれば大丈夫だよ。念のため畑を鳴子のついたロープで囲っているから、鳴子が鳴ったら音をたてて近付けば逃げてくと思うけど」

リーフさんの話を聞きながら畑の様子を伺う。まだ端の農園だからなのか柵が途中までしかない。この柵が出来ればまた変わってくるのかも知れないな。打ち合わせの結果日を跨ぐ辺りから見回りを担当することになった。

時間まで自由にして良いとの事なので畑の周りを見て回ると、従業員だろうか自分より年下の子が三人ほど働いている。ずいぶんと若い従業員だ。夜番を任せるのも不安な年齢で、そのためリーフさん達の負担が増しているのかも知れない。

その後も畑の周りや少し離れたところまで調べて回る。足跡や糞はないか、猪の掘り起こしや、ぬた場は有るか等、どの様な野性動物が来ているか情報を少しでも集めたい。幸い熊は来てなさそうなので何かあっても対処できそうだ。

日が沈み始めた頃リーフさんに呼ばれる。夕食の時間みたいだ。献立は春カブのスープとふかした芋。従業員の女の子が作ってくれたらしい。ありがたい。
これから六時間後に見回りが始まるから少しでも寝ておかないといけない。リーフさんに案内され農具置き場と休憩所を兼ねている小屋に行きマントにくるまり座った状態で仮眠する。横になると熟睡の恐れがある。割りと何処でも寝る事が出来る故の警戒だ。


ドアが空いたので顔を上げる。リーフさんだ。ということは交代の時間なのだろう。

「ゴート君、交代の時間です。お腹が空いたらそこにある干し芋をどうぞ。朝までになりますがよろしくお願いしますね」

「リーフさんこそ夜番は任せてゆっくり休んでください」

「ありがとう。じゃあ頼むね」

リーフさんはそう言って横になると、すぐ寝息をたてていた。よっぽど疲れていたのかもしれない。本当にゆっくり休んで欲しい。

装備を確認し投げ槍と鉈をすぐ出せるように、そして手元には拳大の石を握る。
気合いを入れて外に出る。仕事の時間だ。
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