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五章
リンの街と冒険者2
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冒険者組合を出たところで腹から音がなる。ふと空を見上げると、太陽は真上。調べものをしていたらお昼の時間になっていたようだ。
何を食べようか周りを見渡しながら、あてもなく歩いているといくつかの屋台がある通りを見つけたので歩を運ぶと時間帯もあるのだろう、客を呼び込む声が活気良く響いてくる。
売っている商品を見ると、港町であるポートが近い影響だろうかセカの街よりも魚介類が多いようだ。干物や干した貝を焼いていてとてもいい匂いがする。
またセカの街ではあまり見かけなかった立ち食い形式の店が多い。なぜ多いのか気になるところだ。
空腹も限界に近付いて来たのでとある店にはいる。何でもこの店はコメという穀物を使ってドンモノという料理を出してるようで、今まで食べたことがない物を食べることが出来そうだ。
「へいらっしゃい!兄ちゃんなんにする?」
頭にねじり鉢巻を巻いた店主が威勢の良い声で接客してくれる。マージさんもそうだったが、この街の人は元気な人が多いのかもしれない。
「初めてリンの街に来たんですがコメやドンモノを食べたことなくて…。何にも解らないんでこの店1番のお勧めでお願いします!」
「初めての米と丼ものがうちの店とは嬉しいねえ。うちのお勧めはこの親子丼さ。今作るから少し待っててくれな!」
料理を待つ間何となく調理風景を見ていると、どうも鶏肉と卵を使うらしい。なるほどそれで親子丼か。
ふと店長に先程気になったことを聞いてみる事にした。
「店長ここら辺の店は立ち食いが多いけど何でなんですかね?」
「ん?ああ。ここらはとにかく狭いからスペースを節約するためにこうなったのさ。昔からこの街は広さの割に人口が多くてな。ごちゃごちゃした所が多いから色々工夫してんのさ。ここ十年位で街が拡張されたから外側はそうでもねえけどな」
「なるほど…。ありがとうございます」
「なに、これくらい良いってことよ」
暫く待っていると遂に目の前に親子丼が置かれた。
「へいお待ち!米と上の卵と肉をバランス良く一緒に食べていくのが美味く食べるコツだぜ!」
「はい!頂きます!」
目の前の親子丼を見ると器のなかに真っ白な穀物が結構な量盛ってありその上に小さく切った鶏肉と卵を炒めたものがのっている。この白いのが米だろう。
店長の言う通り米と卵、鶏肉を大きめのスプーンで一気に掬い一口。
米は少しだけモソモソしているもののほのかな甘味があり、少し辛めの鶏肉と卵が合わさり丁度良い味に。初めて米と丼ものを食べたが中々に美味しい。
「店長、親子丼美味いです!」
「そいつは良かった!流通量の関係でこの街でも米を扱ってる店はまだまだ少なくてな。兄ちゃんは運がいいぞ!」
その後勢いのまま食べ続けあっという間に完食した。
「ご馳走様でした!」
「良い食べっぷりだったぜ兄ちゃん!」
「米と丼もの、美味かったてす!」
お腹も心も満足して支払いを済ませる。
値段に関しては丼ものは一律千エルらしく、やや高めかなとも思ったが米がそこまで出回ってないこととボリュームを考えれば納得である。
知らない土地にはこういった未知の出会いが待っていて、俺が旅に出た理由の大きな一つでも有る。
新しい街で出会った初めての味にこれからの旅路への期待を膨らませつつ、俺は再びリンの街の散策を始めるのであった。
何を食べようか周りを見渡しながら、あてもなく歩いているといくつかの屋台がある通りを見つけたので歩を運ぶと時間帯もあるのだろう、客を呼び込む声が活気良く響いてくる。
売っている商品を見ると、港町であるポートが近い影響だろうかセカの街よりも魚介類が多いようだ。干物や干した貝を焼いていてとてもいい匂いがする。
またセカの街ではあまり見かけなかった立ち食い形式の店が多い。なぜ多いのか気になるところだ。
空腹も限界に近付いて来たのでとある店にはいる。何でもこの店はコメという穀物を使ってドンモノという料理を出してるようで、今まで食べたことがない物を食べることが出来そうだ。
「へいらっしゃい!兄ちゃんなんにする?」
頭にねじり鉢巻を巻いた店主が威勢の良い声で接客してくれる。マージさんもそうだったが、この街の人は元気な人が多いのかもしれない。
「初めてリンの街に来たんですがコメやドンモノを食べたことなくて…。何にも解らないんでこの店1番のお勧めでお願いします!」
「初めての米と丼ものがうちの店とは嬉しいねえ。うちのお勧めはこの親子丼さ。今作るから少し待っててくれな!」
料理を待つ間何となく調理風景を見ていると、どうも鶏肉と卵を使うらしい。なるほどそれで親子丼か。
ふと店長に先程気になったことを聞いてみる事にした。
「店長ここら辺の店は立ち食いが多いけど何でなんですかね?」
「ん?ああ。ここらはとにかく狭いからスペースを節約するためにこうなったのさ。昔からこの街は広さの割に人口が多くてな。ごちゃごちゃした所が多いから色々工夫してんのさ。ここ十年位で街が拡張されたから外側はそうでもねえけどな」
「なるほど…。ありがとうございます」
「なに、これくらい良いってことよ」
暫く待っていると遂に目の前に親子丼が置かれた。
「へいお待ち!米と上の卵と肉をバランス良く一緒に食べていくのが美味く食べるコツだぜ!」
「はい!頂きます!」
目の前の親子丼を見ると器のなかに真っ白な穀物が結構な量盛ってありその上に小さく切った鶏肉と卵を炒めたものがのっている。この白いのが米だろう。
店長の言う通り米と卵、鶏肉を大きめのスプーンで一気に掬い一口。
米は少しだけモソモソしているもののほのかな甘味があり、少し辛めの鶏肉と卵が合わさり丁度良い味に。初めて米と丼ものを食べたが中々に美味しい。
「店長、親子丼美味いです!」
「そいつは良かった!流通量の関係でこの街でも米を扱ってる店はまだまだ少なくてな。兄ちゃんは運がいいぞ!」
その後勢いのまま食べ続けあっという間に完食した。
「ご馳走様でした!」
「良い食べっぷりだったぜ兄ちゃん!」
「米と丼もの、美味かったてす!」
お腹も心も満足して支払いを済ませる。
値段に関しては丼ものは一律千エルらしく、やや高めかなとも思ったが米がそこまで出回ってないこととボリュームを考えれば納得である。
知らない土地にはこういった未知の出会いが待っていて、俺が旅に出た理由の大きな一つでも有る。
新しい街で出会った初めての味にこれからの旅路への期待を膨らませつつ、俺は再びリンの街の散策を始めるのであった。
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