冒険者ゴートの一生

ケバブ

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五章

リンの街と冒険者5

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「ゴート君、ここら辺にしとこうか」

「手合わせ…ありがと…ございます…」

俺は息も絶え絶えで座り込んでしまったというのに、まだまだ余裕の有りそうなエッジさん。

手合わせは完璧なる負け。

此方の手は悉く読まれ、防がれる。そしてエッジさんの攻撃は的確に隙を突いてきて、これでは戦いながら指導されていた様なものだ。

エッジさんの動きそのものはズバ抜けて早いわけではないのだが、緩急や虚実を織り混ぜた槍術で見事に翻弄された。これが対人戦の奥深さなのかも知れない。

「完敗です…まさかここまで何も出来ないとは…」

呼吸も落ち着いてきたところで少し落ち込みつつも今の率直な思いをエッジさんに伝えた。

「なに、対人戦は経験がかなり重要だからあまり気にしないでくれよ。実際ゴート君の槍捌きも決して悪いものではなかったし、なまじ反応が良いからフェイントに掛かりやすかったのも有ったから。このまま努力を続けて対人戦も経験を積めばきっと強くなるから」

「…ありがとうございます!」

「こちらこそ手合せ感謝する。また機会があれば手合せ頼むよ」

「はい。その時はよろしくお願いします」

訓練所を出ていくエッジさんの後ろ姿を見送りながら改めて戦うことの奥深さを感じたのと同時に、今後の旅のため対人戦の技術を磨くことの必要性を強く感じた。何せその場面は自分から望んでいなくとも向こうからやって来る場合が有るのだから。


ぐうう

おれも訓練を終えようと柔軟を始めると急に腹の虫が主張し始めた。緊張状態から解放されたせいなのだろうか、猛烈な空腹感に襲われている。

速やかに帰る準備を済ませ目指すは飯屋。
このリンの街と言えばこの前食べた丼ものだとは思うのだが訓練の後という事もあり、ここはガッツリ肉を食べたい気分だ。

俺は肉を思いっきり食べたいというこの欲望を満たすような屋台はないか、良い匂いのする通りへ歩き始めた。


「いらっしゃい!肉串はいかが?特別な肉じゃあないが、ボリュームはどこにも負けないよ!」

店主のおばさんの威勢の良い声につられて品揃えを見ると、空腹の腹にガツンと訴えかけてくるようなボリュームの肉串がズラリと並んでいた。

「二本頂戴!これ料金ね!」

エッジさんとの手合わせに続きここでも完敗。

支払いもそこそこにいまの食欲を叶えるために有るような、とにかく大きい肉串をガブリ。

これぞ肉!というような味。
最高である。

気がつけば二本とも食べ終えていた。
明日も頑張ることができそうである。
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