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第2幕 国王は頭を悩ます。
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ドキン、と胸の鼓動が一瞬外へ飛び出るんじゃないかと思うくらいに高鳴る。すると珠羅が口を開く。
「我が妃は面白い遊びをしているようだな。」
ーーーーあ、れ?
零は初日に2人きりであった時この様な感情で満たされた。
彼の声は今まで何度も演説などで聞いてきたがこの様な声を聞いたのは初めてだった。
噂からは到底想像も出来ないようなとても優しく、そして相手を気遣うようなゆったりとした声音だった。
「へ、へっ、陛下はどうして此処へ!?」
此処へ来たというものの、後宮で陛下には1度も会えていなかった。
驚きのあまり変な声になりながらも零は聞いてみる。すると珠羅は、少し困った顔で、
「我が妃に会いに来るのはダメなのか...?」
零の頬が一気に熱を帯びる。そしてしどろもどろになりながら手を小刻みに左右へと振り、
「えっ、あいや、ダメ...という訳ではないですけど...も...」
と言いながら珠羅を眺めてみる。
ーーーーとても綺麗な人。
第一印象はやはりこれだった。
女性の様な優美さを保ちながら男性的な凛々しさを兼ね備え、女性の様に長い髪は少し垂らしておきながら途中をゴムで結んで肩の前に垂らしており、その髪はとても艶があってとても、女性よりも女性的な美しさを持っていた。
そう見惚れていると、零の前髪を上へ上げて珠羅は零の額へ珠羅の額をコツン、と当てる。
「大丈夫か?顔が赤いぞ?」
ボワッと零の顔は真っ赤になり珠羅の体からするりと抜け出し1歩退がる。
すると避けられたと勘違いしたのか、珠羅の眉が少し下がる。
「君は...私と一緒にいるのは嫌か...?」
そう優しく聞いて来るのは反則だ。このバイトを断る理由が無くなる。そして珠羅のその顔を見てしまい零はさっきから顔の火照りが、おさまらない。
「そ、そんなこと...ないで、すけども...」
そう答えると珠羅の顔に笑顔が咲く。
「そうか。ありがとう。」
と言われ、長椅子に腰をかける珠羅を目で追ってしまっている零の気持ちは、怖くて辞めたい、ではなく恥ずかしさでいっぱいだった。
「あ、じゃあ私、お茶を淹れて来ますね!」
と零は苦し紛れにそう言って部屋を出る。
ドアを閉めると、すぐにドアにもたれかかって自分の頬をおさえる。
(後宮で会って初日にこれじゃあ、もう身が持たない...)
そう思いながら火照った頬をパタパタと手で扇ぎながらお茶を淹れに行く。
ーーーーーーーーこの私がこんな忌々しい所へ来てしまうとはな...
珠羅はそう思いながら零の帰りを待つ。
後宮は嫌いだ。先代国王は女に溺れ一時期国家転覆の危機にまで陥っていた。
なんとか立て直したもののあの様な状況になるのを恐れ、後宮には今も入るのには躊躇する。
今回何故ここに来たかと言うと先日やってきた珠羅の婚約者に会うためだ。
と言っても、縁談よけのただのバイトだが。
珠羅は今まで、女性に恋愛感情を抱いたことはなかった。
だから最初、零に会う前にはあまり彼女の事は気にもしていなかった。
しかし、珠羅は実際に会ってみると人の心情などコロコロ変わってしまうものだ、と痛感した。
今では一日中彼女の事が頭の隅から離れない。
彼女の容姿は整っており、その艶のある黒くて長い髪と薄く桜色に染まった頬や日焼け知らずの白い肌など全てが頭から離れない。
ーーーーおかしい。
珠羅は自分の髪をを左手でグシャ、とかきあげる。
何故こんなにも彼女の事を思ってしまうのだろうか。彼女は偽物の花嫁なのだ。どうせ向こうもバイトとしか思っていないだろう。
ーーーーーーーーしかし...
静かな空間の中、ふと考えていた時、珠羅は(遅い...)と思ってドアの方へ視線を移した。
その時、
『ガシャン!!』
という何かが割れる音が辺りの静けさを破った。
「!?何事だ!?」
と珠羅は部屋を飛び出し、厨房へと向かう。
そして珠羅の目の前にまず飛び込んで来たのはカップが落ちて割れており、辺りにはカップの割れた残骸と紅茶が散っていたという無惨な光景だった。
(しかし、何故だ、...?)
と珠羅は不思議に思う。そう。肝心の零の姿どころか物陰ひとつ、そこにはなかったーーーーーーーー。
「我が妃は面白い遊びをしているようだな。」
ーーーーあ、れ?
零は初日に2人きりであった時この様な感情で満たされた。
彼の声は今まで何度も演説などで聞いてきたがこの様な声を聞いたのは初めてだった。
噂からは到底想像も出来ないようなとても優しく、そして相手を気遣うようなゆったりとした声音だった。
「へ、へっ、陛下はどうして此処へ!?」
此処へ来たというものの、後宮で陛下には1度も会えていなかった。
驚きのあまり変な声になりながらも零は聞いてみる。すると珠羅は、少し困った顔で、
「我が妃に会いに来るのはダメなのか...?」
零の頬が一気に熱を帯びる。そしてしどろもどろになりながら手を小刻みに左右へと振り、
「えっ、あいや、ダメ...という訳ではないですけど...も...」
と言いながら珠羅を眺めてみる。
ーーーーとても綺麗な人。
第一印象はやはりこれだった。
女性の様な優美さを保ちながら男性的な凛々しさを兼ね備え、女性の様に長い髪は少し垂らしておきながら途中をゴムで結んで肩の前に垂らしており、その髪はとても艶があってとても、女性よりも女性的な美しさを持っていた。
そう見惚れていると、零の前髪を上へ上げて珠羅は零の額へ珠羅の額をコツン、と当てる。
「大丈夫か?顔が赤いぞ?」
ボワッと零の顔は真っ赤になり珠羅の体からするりと抜け出し1歩退がる。
すると避けられたと勘違いしたのか、珠羅の眉が少し下がる。
「君は...私と一緒にいるのは嫌か...?」
そう優しく聞いて来るのは反則だ。このバイトを断る理由が無くなる。そして珠羅のその顔を見てしまい零はさっきから顔の火照りが、おさまらない。
「そ、そんなこと...ないで、すけども...」
そう答えると珠羅の顔に笑顔が咲く。
「そうか。ありがとう。」
と言われ、長椅子に腰をかける珠羅を目で追ってしまっている零の気持ちは、怖くて辞めたい、ではなく恥ずかしさでいっぱいだった。
「あ、じゃあ私、お茶を淹れて来ますね!」
と零は苦し紛れにそう言って部屋を出る。
ドアを閉めると、すぐにドアにもたれかかって自分の頬をおさえる。
(後宮で会って初日にこれじゃあ、もう身が持たない...)
そう思いながら火照った頬をパタパタと手で扇ぎながらお茶を淹れに行く。
ーーーーーーーーこの私がこんな忌々しい所へ来てしまうとはな...
珠羅はそう思いながら零の帰りを待つ。
後宮は嫌いだ。先代国王は女に溺れ一時期国家転覆の危機にまで陥っていた。
なんとか立て直したもののあの様な状況になるのを恐れ、後宮には今も入るのには躊躇する。
今回何故ここに来たかと言うと先日やってきた珠羅の婚約者に会うためだ。
と言っても、縁談よけのただのバイトだが。
珠羅は今まで、女性に恋愛感情を抱いたことはなかった。
だから最初、零に会う前にはあまり彼女の事は気にもしていなかった。
しかし、珠羅は実際に会ってみると人の心情などコロコロ変わってしまうものだ、と痛感した。
今では一日中彼女の事が頭の隅から離れない。
彼女の容姿は整っており、その艶のある黒くて長い髪と薄く桜色に染まった頬や日焼け知らずの白い肌など全てが頭から離れない。
ーーーーおかしい。
珠羅は自分の髪をを左手でグシャ、とかきあげる。
何故こんなにも彼女の事を思ってしまうのだろうか。彼女は偽物の花嫁なのだ。どうせ向こうもバイトとしか思っていないだろう。
ーーーーーーーーしかし...
静かな空間の中、ふと考えていた時、珠羅は(遅い...)と思ってドアの方へ視線を移した。
その時、
『ガシャン!!』
という何かが割れる音が辺りの静けさを破った。
「!?何事だ!?」
と珠羅は部屋を飛び出し、厨房へと向かう。
そして珠羅の目の前にまず飛び込んで来たのはカップが落ちて割れており、辺りにはカップの割れた残骸と紅茶が散っていたという無惨な光景だった。
(しかし、何故だ、...?)
と珠羅は不思議に思う。そう。肝心の零の姿どころか物陰ひとつ、そこにはなかったーーーーーーーー。
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