王宮での値段の良いバイトの正体は国王の花嫁役でした...

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第4幕 地獄で詫びろ。

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「貴様!どうしてここが...!?」

「さあ?どうしてだろうな。」

    男はたずねるが、珠羅は掴んでいた男の手首に力を込めていく。

「...ッ!!クソっ!離せ!!」

すると男は50代位の見た目とは裏腹に機敏な素早さを見せた。

    男は体を捻り珠羅が掴んでいた手を振り払い右手に持っていた短刀を振り回す。

「私はお前を見込んでいたのだぞ?その熟練の剣さばきといい、残念だ。」

    珠羅は鮮やかに男の短刀を避けながら笑う。

「黙れ、黙れ!!王など黙って言うことを聞いていればいいものを!」

        次に男が短刀を振り回した時、珠羅はその短刀を避けはしたが、肩から下へと流していた髪がスパッと切れて床に落ち、零は思わず目を見開く。

「へ、陛下!?」

「零、大丈夫だ。心配するな。」

「フン、やはり妃の方が我が身より大事なのか?」

「当たり前だ。」

     男は鼻を鳴らしながら短刀を振り回し、それを珠羅は避けていく。

    額から流れる汗を男が払い除けながら戦う反面、珠羅は息も乱れず落ち着いていた。

    しかし、突如珠羅が、男の視界からゆらりと霧の様に消えたのだった。

「ど、どこへ行ったんだ!?」

   男は闇雲に短刀を振り回すが珠羅の姿はない。

「あの男、どこへ行ったんだ...!?」

    その時、

「おいおい、大丈夫か?話すことに夢中で剣が疎かだぞ?」

と背後から珠羅の声が聞こえ、男は振り返ろうとして動きを止める。

「...!!」

    男の首筋にひんやりとした物が当たる。それが何なのかは男には明白だった。

「動くな。動くと貴様の首と体が離れるぞ。」

    珠羅から低く冷たい声が放たれる。

    この時の珠羅はまさに噂通りの冷徹陛下だった。

    そして、男が瞬きした瞬間、珠羅は一瞬で男へ詰め寄り壁へと追い込む。

「貴様...覚悟は出来てるな?妃を誘拐し、そして私へ刃を向けた事を。」

    そして珠羅は持っていた剣を振り上げる。そしてその腕を男へと下げる。

「地獄で詫びろ。」

ーーーードスッ!

と、男の耳元で音が鳴る。男はうっすらと目を開くと剣は男の頭の隣スレスレに刺さっていた。

「まぁ、貴様の罪状は国議で決めるがな。」

    珠羅はそう不敵に微笑みながら言う。

    そして男はヘナヘナと床へ座り込み、珠羅がその腕を後ろで縛る。ちょうどその時、

「陛下!!」

と按司と零が部屋へと飛び込んできた。按司に至ってはまさに鬼の形相だった。

「いい所へ来てくれたな按司。こいつは反逆の罪で議会にかけてくれないか。」

「え、えぇ、分かりました。それよりお怪我は...」

    按司がそう聞くと珠羅はニヤリと笑って、

「私が怪我するとでも?」

というが、按司は仏頂面で

「ごもっともです...なんて言えませんよ!!髪、どうしたんですか!?」

   と怒るが珠羅は笑って「少し寒いな」といって按司に口を開く。

「そういえばどうしてここがわかったんだ?」

    男を連れていこうとする按司に珠羅が聞くと按司は立ち去り際に振り返り、空いている手でメガネをクイ、とかけ直す。

「彼女ですよ、零殿が私の元へ教えに来てくれました。...全く、行き先くらい言ってくださいよ!!」

    男が珠羅と戦っている間に隙を見つけた零がこっそり部屋からでて按司へ知らせに行ったのだ。

「それより貴方様こそどうして此処に?」

「内緒だ。」

   珠羅は笑うと按司はため息をつきながら立ち去る。彼は按司を目線で見送ったあと、零へと向きを変える。

「零...呼んできてくれたのか?」

「は、はい。陛下のピンチだと思ったので...」

    やはり珠羅と目が合うとどうしても言葉では表せないような恥ずかしさに見舞われる。

ーーーー言わなくちゃ、今こそ。

「ありがとう零。本当に助かった。」

    そう言って珠羅は零を抱きしめる。それと一緒に零の顔がボワン、と沸騰したように急激に熱を帯びる。

「なっ!へ、陛下!?恥ずかしいです!!」

ーーーーそう。今こそ言うべきだ。

「へ、陛下!あ、あ、あの!」

と零は勇気を振り絞り声を出す。珠羅は驚いた顔を一瞬見せたが、零が瞬きをした頃にはまた優しく微笑んでいた。

「あの、今回は助けて頂き、本当にありがとうございました!!」

   零はずっと言おうと思っていた言葉が出てきてつい嬉しくなり口元が緩んでしまう。

    すると珠羅の顔が一瞬赤くなったような気がしたが、すぐに珠羅は手で隠し見えなくなってしまった。すると珠羅は、

「...すまなかった。零、遅くなってしまって。怪我はないか?」

と言い顔の眉尻を下げる。すぐさま零は慌てて首を横に振る。

「怪我なんて、ないですよ!だって...」

「だって?」

    ここまで言った時零は恥ずかしくなって顔が真っ赤になる。珠羅が首を傾げて、

「どうした?顔が赤いぞ?」

と聞くが零は、

「だ、大丈夫です!私は部屋へ戻ります!」

とはぐらかして倉庫を出る。珠羅には意味が分からず「待ってくれ。だって、なんだ?」と聞き、零は、

「もう、うるさいです!」

と言って逃げて行く。しかし、逃げていく時もその頬の火照りは治まらなかった。

(言えるはずないわよね。こんなこと。)

(だって...きっと来てくれると信じてました...)



ーーーー私の大好きな優しい陛下が。





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