王宮での値段の良いバイトの正体は国王の花嫁役でした...

名前はまだ決めてない。

文字の大きさ
8 / 19

第8幕 どうしてそんなことを...?

しおりを挟む
「貴方達は一体何を考えているのですか!?」

    帰ってそうそうに2人は按司の怒声を浴びる。

「勝手に帝都へ出かけた、ですって?」

    うぅ...すみません。と縮こまる零に変わって珠羅は仏頂面で按司に反抗する。

「そんなこと言っても何も無かっただろ?」

   しかし、按司の顔色は変わらない。

「何かあってからでは遅いのですよ!?」

   すると珠羅はニヤリと笑いながら「今は関係ないだろ?」と言いながら零の手を握って按司から逃げて行く。

「...全く、あの気に入り様といい...後悔するのはあなただと言うのに...」

    按司はその2人を眺めた後、大きくため息をついて業務へと戻って行った。

       ◆  ◆  ◆

「ーーーーしかし、奴は一体誰なんだ?」

    ここは珠羅の自室。きらびやかなガラスの装飾等が施されているが、落ち着く色が様々な所に使われており、あまり気疲れはなかった。

    その部屋の中、珠羅はカップに入ったお茶を飲みながら零に尋ねる。

「煌雅...と言ったが、向こうはお前を知っていた。零、心当たりはあるか?」

ーーーー心当たり...やはり、あの見た目の男は零の記憶の中にはなかった。

「私は...あの様な方は見たことが無いですが、煌雅...という名前の人は1人知っています...」

「誰だ?そいつは。」

「それは、私の小さい頃からずっと一緒にいてくれた蓮  煌雅(レン・コウガ)という私の幼なじみです。」

    そう言うが、零の知っている煌雅と彼は全く想像と違った。

「...彼は、私がまだ幼い時から近所に住んでいた人で、私になにかあったらすぐに駆けつけてくれる優しい人でした...」

    それからしばらく零は珠羅へ自分の幼なじみについての事を話した。

ーーーー転んで怪我をした時、すぐに親に知らせてくれたり、犬に吠えられていた時、零の前に立って棒を振り回したりして威嚇して助けてくれたりと。とにかく常に零の事を気にかけてくれて感謝してもしきれない等、少し長い話をした。

    零は珠羅が自分のことについて聞いてきたのは初めてで、とても嬉しく、笑顔でついつい話し込んでいた。

    しかし、どうにも珠羅の顔は明らかに浮かない顔をしている。一体何かしてしまっただろうか。

「陛下...?どこか体調でも悪いのですか?」

   体調が悪いのだろうか。しかし、珠羅は「大丈夫だ。」と言ってカップに入ったお茶を飲み干す。

    珠羅は飲み干したカップを机の上に置く。そこから少し間が空く。

   すると不意に珠羅が口を開く。

「私は...心が狭いのだろうか。」

「え...?」

    その時、珠羅は席から立ち上がり零の目の前へ行く。

「へい...か?」

    すると珠羅は零の顎を指でそっと押し出し、顔を近づける。


「へっ、陛下!?ど、どうしたのですか!?」

    零はとてつもない恥ずかしさに見舞われ急激に熱を帯びる。しかし、珠羅は口を開きゆっくりと丁寧に話す。

「私は...婚約者が他の男の話をするを見ていると何故だか悲しい気持ちになるのだ...」

「へい...か?」

   この時の珠羅の声は冷徹陛下の声だった。

「そしてそんな話をしていると私の事などどうでも良くなってしまったのかなんて考えてしまう。」

「そ、そんな事ないです...!私はただ陛下に幼なじみの事を...」

「それが、嫌なのだ。」

    部屋に珠羅の冷徹だが、どことなく寂しそうな声が響き渡る。

「幼なじみの事を嬉しそうに話す零を見ていると嫌になって塞いでしまいたくなる。」

   そういうと珠羅の顔が近づいてくる。

「私の事だけを考えてはくれないか...?」

すると珠羅の優しい唇が零に迫る。

    珠羅の声音はいつの間にか優しい声に戻っていた。

「...へ、陛下...?」

    零はそう珠羅へ尋ねるが、珠羅はもう止まらない。

    零の心臓の音はとどまることを知らず、むしろ大きくなっていく。
 
    そして珠羅はゆっくりと小さく口を開き零の唇ーーーー。より、少し上の鼻を...   

ーーーーーーーーーかぷ。

「...!?」

    珠羅が顔をゆっくり離すとそこには零の驚いた顔が目に入り、思わず珠羅は動きを止める。    

「へ...陛下...そ、それは...」


ーーーー口付け...じゃないです。






しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)

星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。 団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。 副団長「彼女のご飯は軍事物資です」 私「えっ重い」 胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!? ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。 (月水金21:00更新ー本編16話+後日談6話)

一条さん結婚したんですか⁉︎

あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎ 嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡ ((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜 ⭐︎本編は完結しております⭐︎ ⭐︎番外編更新中⭐︎

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

処理中です...