Girl S Life☆

ulu²

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#4 素敵な姉妹

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あの日から 彩凪ちゃんはよく笑ってくれるようになった。
彩凪ちゃんが 泣いて 怒りながらも 私に全てを話してくれたこと。
今でもはっきり覚えてる。忘れることは きっとない。

「如月さん。」
「あっ、彩凪ちゃん!」
「今日、一緒に帰れるかな?途中まで。」
「っ、うん!!もちろん!!」

彩凪ちゃんと “友達”であり続ける限りは。

「寿麗ちー」
「わわっ!!り、梨希ちゃん!どうしたの?」
「さななんを笑わせましょう作戦は 成功したみたいだね~」
「っ…、うん!心から笑ってくれるようになったんだ!」
「そっか。良かったね~。寿麗ちー。」
「うん!梨希ちゃんも 応援してくれてありがとね!
たくさん勇気貰えたよ!」
「!……、当然だよ~。梨希ちゃんのパワーは凄いからね~。
もっと分けてあげてもいいんだぞ~?」
「ふふっ、梨希ちゃんほんと面白い!」

**

「えっとえっと、数学の教科書は…」
「如月さん。外で待ってるね。」
「あ、うん!!すぐ行くー!」

「あった!よしっ!さよーならー!!」
「さようなら。気をつけて帰ってくださいね。」
「はーい!」

「…!ちょっと!!廊下走らないで!!」
「わわっ?!」
「あーもう!!だから言ったでしょ?!…まったくもう」
「あ、湖都ちゃん…ごめん…」
「別にいいわ。ここも拭く予定だったからね。」
「私も手伝うよ。私が悪かったし…」
「…、あんたは急いでんでしょ。さっさと行きなさいよ」
「う、うん…ほんと、ごめんね!」
「大丈夫よ。もう走らないでよね!怪我しても知らないんだから!」
「うん!また明日!」

美化委員会の香藤湖都ちゃん…
席が目の前の割に 話したことがなかったけど…
想像と違った……
なんだろう、すっごく真面目なイメージがあった。
彩凪ちゃんの次と言ってもいい程頭が良くて
大人しめでそんなに喋らない。
話してみなきゃ分からないこともあるんだね!!
喋りやすそうな子だったな~
今度また話してみようかなっ!

**

「おまたせ!彩凪ちゃんっ!」
「如月さん。随分遅かったけどどうしたの?」
「えっと…急いでたらバケツ倒しちゃって…湖都ちゃんに叱られちゃった」
「ふふっ、如月さんらしいね。」
「えー!」
「じゃあ 行こっか。」

**

「…、そういえばさ、彩凪ちゃんって 小学生の頃は学校行ってなかったんだよね?」
「…うん。そうだけど…」
「どうしてそれなのに 勉強ついていけるの?
私だったら無理だよ~。勉強苦手だし…」
「本屋で勉強本買って勉強してたよ。」
「え!凄いね!!学校の先生に教えて貰っても全然わかんないのに 独学って…」
「ううん、独学の方が案外覚えやすいよ。
自分のペースでしっかり学べるし、学校では教えてくれない事が載ってたりするからね。
耳で覚えるより 目で覚える方が 頭に残りやすい気がするな。」
「うーん、そうなんだ~!
それで学年トップになれるって 本当にたくさん勉強してるんだね!」
「うん。姉に私の事で困らせたくないからね。
姉は凄く心優しいからさ。自分のことで精一杯なのに いつも自分より私の事を気遣ってくれてて。
今以上に姉に心配なんて掛けたら もっと病気が酷くなっちゃうから_」
「似てるね。」
「え?」
「彩凪ちゃんと 彩凪ちゃんのお姉さんって
すっごく似てるね。」
「……」
「彩凪ちゃんのお姉さんは 病弱でも心優しくて 
彩凪ちゃんは 病弱な姉に辛い思いをさせたくないから 困らせたくないから
部活に入りたいって感情を抑えて 勉強も独学で ずっと6年間一生懸命やり続けて。
素敵な姉妹だと思うな。…私は!」
「……。ありがとう。」
「彩凪…ちゃん。」
「…?」
「……やっぱり なんでもないや!
っ、そろそろ帰り道分かれるね!」
「…うん、じゃあね。また明日。」
「うん!」

毎日毎日 見えない未来に怯えて
逃げたくても逃げられない。

“今”には “運命”には
誰一人として逆らえない。
そんなのみんな同じことだよね。

でも 彩凪ちゃんは
誰よりも未来を恐れてた。
お姉さんがいつ どうなるかわからない。
そんな苦しさに 不安に 毎日押し潰されそうな日々。

私には きっと耐えられないな。

自分の息もいつか 途絶えるって事さえ
四六時中頭の中にあるわけでもないのに。

彩凪ちゃんは強いなぁ…
凄く真面目に物事を考えてる。

「…私も 見習わなくちゃ!」
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