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第3章ダイジェスト(2):2
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津島さんとは何もかもが違う私は、どうしたらいいんだろう。
ただ、津島さんを和馬さんに会わせたくなかった。
彼が心変わりをしてあの人を選ぶということではなくて、会わせたら和馬さんが悲しむ、そう直感したから。
これはあくまでも『もしも』にしか過ぎないけれど、私と和馬さんが別れてしまう可能性がないとは言えない。
ただそうなったとしても、本当に私が和馬さんとサヨナラすることになっても、元カノだと名乗り出た津島さんには譲りたくなかった。
和馬さんと並んでなんの遜色もない人ではあるけれど、彼と一生寄り添う人は彼女ではないと思う。
なにが違うのか、どこが認められないのか、ハッキリと指摘はできない。それでも、津島さんではないという事だけは感じていた。
「はぁ……。あの人、この先どう出てくるのかなぁ」
手元の資料に目を落としながら、長く重たいため息が漏れた。
今日の津島さんの様子だと、とても冗談を言っているようには見えなかった。近いうちに何かしらの行動に出るだろう。
そんな事を考えていたら、仕事を進める手が完全に止まっていた。
「ダメだ、気持ちを切り替えよう」
そろそろ十五時に差し掛かるところで、周りの人も休憩に入るようだ。私は財布を手に席を立った。
その時、マナーモードにしていたケータイがデスクの横に下げているバッグの中で震え始めた。
急いで取り上げると、着信は和馬さん。社長のお供で帰社がかなり遅くなるとのこと。相変わらず、多忙な人だ。
定時になり、帰り支度を済ませた私は、席にいた部長に頭を下げて総務部を出る。
このところ夕食は和馬さんと一緒に済ませることが多かったので、真っ直ぐ家に帰るのは久しぶりだ。社員通用口を一人で通るのも久しぶり。
その事がなんだか寂しい。和馬さんが隣にいないだけで、自然と顔がしょんぼりとしてしまう。
「なんだかんだで、和馬さんの事が好きなんだなぁ」
そんなことをポツリと呟き、会社の敷地から歩道へと踏み出した時、
「あら? あなた、一人なのね」
という声がした。
ビクリと肩を震わせて振り返ると、津島さんが立っていた。
「和馬と別れて、私に譲ってくれる気になったのかしら? それとも和馬に振られて、独りぼっちになったとか?」
相変わらず棘のある言葉をぶつけてくる。
「別れていませんし、振られてもいません。和馬さんは社長のお供で、外出中なんです。社長第一秘書ですから、一般社員に比べて忙しいんですよ」
私もぶつけるように言葉を返すけれど、津島さんは一切堪えた様子がない。
「日本最大手の文具メーカーで社長第一秘書だなんて、さすが和馬ね。ま、できる男は、そのくらいじゃないと」
むしろ嬉々とした様子だ。
その喜び方に、私はちょっとだけ違和感を抱いた。
津島さんは仕事を頑張っている和馬さんを褒めたのではなくて、彼が『日本最大手の文具メーカーで社長第一秘書』であることを喜んでいるように感じたのだ。
それは私の気のせいかもしれない。散々嫌味な言葉を向けられているので、彼女に対してうがった見方をしてしまっているのかもしれない。
例えそうだとしても深く追求する気はないし、それよりも早く津島さんから離れたかった。
「それで、津島さんは何の用ですか? 言ったとおり、和馬さんは遅くならないと社に戻って来ませんよ」
素っ気ない私の事を気にした様子もなく、
「和馬に会いたかったけど、仕方ないわね。機会を改めるわ」
と、ヒョイと華奢な肩を竦めて見せる。
「和馬さんに会って、どうするつもりですか?」
私の言葉に、口角を上げる津島さん。
「どうするって、そんなの決まっているじゃない。私と付き合うように話をするのよ。それが和馬にとっても良いはずだもの」
自信たっぷりに言ってのける様子に、私は唖然とした。
驚いて固まっている私に、津島さんはニッコリと微笑む。
「昼間も言ったけれど、和馬にお似合いなのはあなたのようなお子様じゃないわ。彼のような大人の男性には、大人の女性が似合うと思うのよ。誰が見たって、その方がしっくりくるに決まっているもの」
畳みかけるように言われ、私は即座に言い返す言葉が見つからなかった。そんな私に優越感を感じたのか、ますます艶やかに笑みを深める津島さん。
「だから、早く和馬と別れて。……いいえ、その必要はないわね。私に会えば和馬は私を選ぶだろうから、あなたはなにもしなくていいわ。だって男性だったら野に咲くタンポポよりも、艶やかに香りを放つバラに惹かれるものだもの」
夕闇の中でも津島さんの笑顔は綺麗だったけれど、毒を含むその表情は安らぎよりも恐怖を覚えた。
力なく歩きながら家へと向かう。
――どうしたらいいのかな……
誰から見ても和馬さんに似合う津島さんに、彼の隣を譲るべきなのだろうか。『お似合い』なら、幸せになれるはずだから。
なのに、心の奥では『和馬さんと離れたくない』と泣きじゃくる私がいる。
沈んだ気分では夕ご飯を食べたいとも思わず、シャワーを浴びたらモソモソとベッドに潜り込んだ。
翌日、目を覚ました私はメールが届いていることに気付く。
送り主は和馬さん。着信時間は二十二時過ぎ。こんなに遅くまでしごとをしていたようだ。
『このメールが届くころには、ユウカは眠っているのでしょうか。あなたの愛らしい寝顔を見ることが出来なくて、とても残念です』
という文面で始まっている彼からのメール。和馬さんの人柄を表す温かくて甘い文面に、フワリと心が軽くなる。
『今夜はユウカと過ごす時間がなかったことが、寂しくてたまりません。立派な料亭や格式の高いホテルで出される食事よりも、ユウカが作ってくれた食事が、私にとってなによりのご馳走です。そして、あなたと過ごす時間が、私にとってなによりの宝物です』
私の作る料理が一番美味しいと笑顔で言ってくれる。
そして、なによりも、誰よりも、私のことを大切にしてくれる。穏やかなまなざしで、優しい笑顔で、いつだって私を見守ってくれているのだ。
最後に、
『早くユウカに会いたいです。会ったら、抱き締めさせてください。そしてキスをさせてください』
とあり、いつだってブレることのない彼の様子に小さく吹き出す。
「もう、和馬さんは……」
苦笑いを浮かべた後、私はベッドから抜け出して寝室のカーテンを開けた。とたんに部屋が明るい日差しに包まれる。輝くような日の光を浴びて、少しずつ心が元気を取り戻す。
「さ、支度しよう」
気持ちを切り替えるように自分に言い聞かせ、私は寝室を後にした。
食事をとり、着替えを済ませる。火の元を確認し、バッグを持って玄関へと向かった。
シューズボックスの上に置いてある鏡で自分を映すと、髪型を確認した後に襟元に手をやる。
淡い若草色のブラウスの襟から覗いているのは、和馬さんからもらったペリドットのネックレス。誕生日プレゼントにと、まだ付き合ってもいないのにこんなに素敵なプレゼントをしてくれた。
次に私は左の薬指へと視線を向ける。キラキラと輝くダイヤが付いた指輪。
付き合うことになったその日に婚約指輪を渡されるなんて、ビックリするほどの速い展開だ。
だけど、和馬さんが私に向ける想いはそこまで真剣だったのだ。
はじめは照れくさかったけれど、ネックレスも指輪も今ではかなり馴染んでいる。
それだけ、和馬さんと一緒に時を過ごしてきたという事。和馬さんに愛されてきたという事。
私は右の人差し指の先でソッと指輪に触れる。
津島さんのように面と向かって和馬さんの事を奪おうとしてきた人は初めてだから、本当はすごく怖かった。
でも、私はそれから逃げたらいけないんだ。
彼女を納得させるために何を言えばいいのか、今でも言葉が見つからない。
それでも、私は和馬さんが大好きだから。彼が笑顔でいてくれるために、彼の笑顔を守るために、私にだって何かできるはず。
「……よし」
私は小さく気合を入れ、玄関の扉を開けた。
仕事がひと段落したところで、デスク上の内線電話が鳴った。
「はい、小向日葵です」
『受付の白倉です。先程、小向日葵さん宛に来客がありまして』
落ち着いた女性の声が告げたのは、津島さんの名前だった。
――とうとう乗り込んできたんだ。
名前を聞かされた途端、心臓がギュッと縮まった。ドキドキしながら津島さんが残したメッセージを聞けば、彼女は終業後にあの公園で待っているという。
とにかく、津島さんから逃げる事だけはしたくない。漠然と、だけど、密かに決意を固めた。
和馬さんは今日も忙しく、出先で事故渋滞にはまり、帰社の予定時間が遅くなりそうだとメールが来た。
これならば彼に下手な言い訳することなく、待ち合わせの公園に行けるだろう。
夕暮れ時の公園は静まり返っている。
バッグの取っ手をギュッと握り締めて足を進めれば、ベンチのそばに遠目で見ても抜群のスタイルを示している髪の長い女性が立っていた。
「私の伝言なんて無視するかと思ったのに、よく逃げ出さずに来たわね」
「ここに私が来なかったら、また呼び出すんですよね? だったら、来るしかないじゃないですか」
震えてしまいそうになる声を必死に抑え、私は真っ直ぐに津島さんを見据えた。
「だって、あなたが和馬と別れるって言ってくれないと、横から奪いとった泥棒猫呼ばわりされちゃうじゃない。そんなの嫌だもの」
体の前で腕を組み、クスクスと笑う津島さん。
顔立ちはとても整っているのに、今は羨ましいとは思えなかった。彼女の瞳の奥に、和馬さんに向ける愛情があまり感じられなかったから。
――津島さんは、本当に和馬さんが好きなのかな?
その疑問がムクムクと胸の中で広がり、思わず訊いてしまった。
「あの……、どうして和馬さんなんですか? いったんは別れたんでしょう? それなのに、今頃どうして?」
私の問いかけに、津島さんは僅かに目を瞠った後、静かに視線を伏せた。
「和馬はいつだって感情を露わにすることがなかった。そんな彼を嫉妬させたくて、わざと彼以外の男性と親しげに話していても、恋人であるはずの和馬は仕方ないといった表情をするのがせいぜいといったところだったわ。でも、それが大人の恋愛だと思っていたの。子どもっぽく感情むき出しにして騒ぎ立てるのは、彼に相応しくなかったから。私もそれはそれで納得していたわ。和馬は私に独占欲を見せないけれど、私以外の人間にもそういった執着を見せなかったから」
過去を思い出しながらポツポツと話していた津島さんの視線がふいに上がった。
「それなのに、今はなんなの? 和馬のあんな優しい表情、見たことがないわ! あんなに甘い声、聞いたことがないわ! どうして!? どうしてあなたには、私には向けられなかった笑顔を向けるのよ! 自分から進んで手を繋ごうとするのよ! 私のなにがあなたに劣っているというの! どうしてよ!?」
噴き出す感情のままに口を開いた津島さんは、私の肩を勢い良く掴んだ。肩が痛みを訴える。
思わずバッグを落として顔を顰める私に構わず、津島さんは更に話を続けた。
「あの頃より努力して、私はもっと綺麗になったわ。今の和馬にふさわしいはずよ! だから、和馬の隣には私がいるべきなのよ! あなたなんかじゃなくて、この私が!」
津島さんの一方的な話を聞いているうちに、どうして私が彼女を和馬さんに会わせたくなかったのかが、ボンヤリと浮き彫りになってきた気がする。
よりはっきりさせるために、私は思い切って口を開いた。
「私は和馬さんの学生時代を知りませんし、彼から聞いたこともありません。ですので、これは私の勝手な想像なんですけど……」
私はコクンと息を呑み、再び口を開いた。
「和馬さんは、あなたが本当に自分の事が好きだったのかどうか、疑問に思っていたのではないでしょうか? あなたの前に付き合っていたという二人の女性に対しても」
「どういうことよ?」
怪訝な顔の彼女を見上げ、私は話を続ける。
「和馬さんは見て通り、素敵な人です。外見もそうですし、その仕草も。社長秘書を務めているくらいですから、かなり優秀な人なんだと思います。そんな彼に引き寄せられる女性は多かったのでしょうね。……『あなた』のように」
「なんなの、その言い方は」
目の前の瞳が苛立ちの色を濃くする。強い視線は怖いけれど、それでも私は自分が思ったことを最後まで話すことをやめるわけにはいかない。
「つまり、あなたは和馬さんの外見に引き寄せられて、彼が持っているステータスだけを好きになったのではないですか?」
今はもう、津島さんに対する恐怖心はなかった。あるのは、沸々と静かに湧き上がる怒り。
私のセリフを聞いて、津島さんは一瞬言葉を詰まらせた。だけど、すぐに鋭い視線で私を見返してきた。
「それがなんだっていうの?」
全く悪びれた様子もなく、彼女はユルリと口角を上げる。
「あなたはお子様だから分からないでしょうけれど、人間はね、自分に釣り合う相手を求めているものなのよ。自分の隣にいる相手がこちらを引き立ててくれるのでれば、なおのこと。どうせ恋愛するなら、見た目も含めてそういった相手を探すものでしょ?『お似合い』っていうのは、そういうものよ」
―――『お似合い』って、そういうものなの? 本当に?
違う。違う、違う! 留美先輩が私に出した宿題の答えは、これじゃない。
今、分かった。私がどうして津島さんには和馬さんを譲りたくないと思ったのか。
この人は和馬さんの事を、本当の意味で好きではないからだ。和馬さんが持っている見た目とか、能力とか、そういう部分にしか目を向けていないからだ。
まるで自分を飾りたてるアクセサリーのように、和馬さんのことを見ているからだ。
――そんなの、許せない。
お腹の底の怒りが更に熱を持った。
そんな風に思われた和馬さんがどれほど心を痛めるのか、それを考えたら、絶対、絶対、津島さんには大好きな和馬さんを譲れない。和馬さんが悲しむ顔なんて、悲しいのを我慢する顔なんて、もう見たくないんだもん!
「あなたは和馬さんのことを、なんにも分かってない!」
私は叫ぶと当時に、肩を掴んでくる津島さんの手を勢いよく振り払った。
「あなたは和馬さんを馬鹿にしているんですか! 和馬さんの隣にはあなたが相応しい? 和馬さんならあなたを選ぶはず? あなたの言い種だと、和馬さんは見た目だけで女性を選んでいるということと一緒です。つまりあなたが言いたいのは、和馬さんが上辺だけで人を判断する薄っぺらい男性ということなんですよ! 彼は見えた一面だけで、見える外面だけで人を選ぶような、懐の浅い人間なんかじゃないです! 見くびらないでください!」
声を荒げると、ボロリと大粒の涙が零れた。それを拭うこともなく、私は津島さんに向き合う。
「彼は本当に本当に素敵な人です。その彼を、引き立て役のために使うなんて許さない!優しい彼を、私の大切な恋人を、これ以上傷つけるなんて絶対に許さない!」
あまりに腹が立って、本格的に涙が出てきた。ボロボロと溢れる涙は止めることが出来ず、次々に頬を濡らしてゆく。
和馬さんはいつだってかっこよく私を守ってくれるのに、私はどうしてこんなにかっこ悪いんだろう。
目を真っ赤にして、顔を涙でグシャグシャにしている私に、津島さんは完全に呆れている。
「みっともないわね」
漏らされた言葉に反論できない私は、グッと唇を噛みしめる。
その時、
「そんなはずはありません。私の愛するユウカは、どんな時でも可愛いのですから」
私と津島さんの間に割って入った声は、蕩けそうに甘くて、だけど、少しだけ厳しいものだった。
突然響いた第三者の声に私はハッと顔を上げ、津島さんはパッと振り返った。
私たちの視線の先には、いつ見てもカッコいい和馬さんが立っている。
ただ、いつもと少し違うのは、きちんと整えられているはずの髪がやや乱れていて、ネクタイもちょっと緩んでいる所。急いで駆け付けたという感じが一目で分かった。
艶やかな黒髪とダークカラーのスーツ姿の和馬さんに私はもちろんのこと、津島さんも目を奪われていたけれど、いち早く立ち直り、
「和馬、会いたかった!」
と、感極まった声を上げて和馬さんへと駆け出した。
それを、
「私は会いたくなかったですがね」
冷たい声と眼差しで一蹴。
ビクリと肩を跳ね上げた津島さんは、その場で足を止める。
「か、和馬? や、やだ。そんな怖い顔をしないで。あ、あのね、私、あなたに話があって会いに来たのよ」
そう言って、津島さんは声を震わせながらも和馬さんに話しかける。
「ずっと和馬が好きだったの。別れてからも忘れられなくて……。お願い、私ともう一度付き合って。和馬に似合うのは、私のような大人の女性だと思うの」
少し離れたところに立つ和馬さんを見上げ、津島さんは私に向けていた声とは全く違う色でそう言った。
その話を聞きながら和馬さんは盛大な溜息を洩らすと、私の方へと足を進めて長い腕で私を抱きしめた。
「私が愛して止まないのは、この先もずっと、腕の中にいる彼女だけです。彼女以外の女性は一切必要ありません。そして、大切な彼女を傷つけるあなたのような人に情けをかけるほど、私は優しくはないですよ。まだ人生を楽しみたいのであれば、二度と彼女と私に関わらないでくださいね」
口調は穏やかなのに、そこに含まれるのは鋭い威嚇。
声もなく立ちつくしている津島さんに、和馬さんはダメ押しのように言葉を放つ。
「今すぐに消えなさい」
その切れるような声音にヒッと引き攣れた悲鳴を上げ、津島さんは慌てて駆け去っていった。
夜の始まりを告げる、やや湿った風がゆっくりと吹き抜ける。
さっきまでの喧騒がまるで嘘のように、公園内は静けさを取り戻したのだった。
ただ、津島さんを和馬さんに会わせたくなかった。
彼が心変わりをしてあの人を選ぶということではなくて、会わせたら和馬さんが悲しむ、そう直感したから。
これはあくまでも『もしも』にしか過ぎないけれど、私と和馬さんが別れてしまう可能性がないとは言えない。
ただそうなったとしても、本当に私が和馬さんとサヨナラすることになっても、元カノだと名乗り出た津島さんには譲りたくなかった。
和馬さんと並んでなんの遜色もない人ではあるけれど、彼と一生寄り添う人は彼女ではないと思う。
なにが違うのか、どこが認められないのか、ハッキリと指摘はできない。それでも、津島さんではないという事だけは感じていた。
「はぁ……。あの人、この先どう出てくるのかなぁ」
手元の資料に目を落としながら、長く重たいため息が漏れた。
今日の津島さんの様子だと、とても冗談を言っているようには見えなかった。近いうちに何かしらの行動に出るだろう。
そんな事を考えていたら、仕事を進める手が完全に止まっていた。
「ダメだ、気持ちを切り替えよう」
そろそろ十五時に差し掛かるところで、周りの人も休憩に入るようだ。私は財布を手に席を立った。
その時、マナーモードにしていたケータイがデスクの横に下げているバッグの中で震え始めた。
急いで取り上げると、着信は和馬さん。社長のお供で帰社がかなり遅くなるとのこと。相変わらず、多忙な人だ。
定時になり、帰り支度を済ませた私は、席にいた部長に頭を下げて総務部を出る。
このところ夕食は和馬さんと一緒に済ませることが多かったので、真っ直ぐ家に帰るのは久しぶりだ。社員通用口を一人で通るのも久しぶり。
その事がなんだか寂しい。和馬さんが隣にいないだけで、自然と顔がしょんぼりとしてしまう。
「なんだかんだで、和馬さんの事が好きなんだなぁ」
そんなことをポツリと呟き、会社の敷地から歩道へと踏み出した時、
「あら? あなた、一人なのね」
という声がした。
ビクリと肩を震わせて振り返ると、津島さんが立っていた。
「和馬と別れて、私に譲ってくれる気になったのかしら? それとも和馬に振られて、独りぼっちになったとか?」
相変わらず棘のある言葉をぶつけてくる。
「別れていませんし、振られてもいません。和馬さんは社長のお供で、外出中なんです。社長第一秘書ですから、一般社員に比べて忙しいんですよ」
私もぶつけるように言葉を返すけれど、津島さんは一切堪えた様子がない。
「日本最大手の文具メーカーで社長第一秘書だなんて、さすが和馬ね。ま、できる男は、そのくらいじゃないと」
むしろ嬉々とした様子だ。
その喜び方に、私はちょっとだけ違和感を抱いた。
津島さんは仕事を頑張っている和馬さんを褒めたのではなくて、彼が『日本最大手の文具メーカーで社長第一秘書』であることを喜んでいるように感じたのだ。
それは私の気のせいかもしれない。散々嫌味な言葉を向けられているので、彼女に対してうがった見方をしてしまっているのかもしれない。
例えそうだとしても深く追求する気はないし、それよりも早く津島さんから離れたかった。
「それで、津島さんは何の用ですか? 言ったとおり、和馬さんは遅くならないと社に戻って来ませんよ」
素っ気ない私の事を気にした様子もなく、
「和馬に会いたかったけど、仕方ないわね。機会を改めるわ」
と、ヒョイと華奢な肩を竦めて見せる。
「和馬さんに会って、どうするつもりですか?」
私の言葉に、口角を上げる津島さん。
「どうするって、そんなの決まっているじゃない。私と付き合うように話をするのよ。それが和馬にとっても良いはずだもの」
自信たっぷりに言ってのける様子に、私は唖然とした。
驚いて固まっている私に、津島さんはニッコリと微笑む。
「昼間も言ったけれど、和馬にお似合いなのはあなたのようなお子様じゃないわ。彼のような大人の男性には、大人の女性が似合うと思うのよ。誰が見たって、その方がしっくりくるに決まっているもの」
畳みかけるように言われ、私は即座に言い返す言葉が見つからなかった。そんな私に優越感を感じたのか、ますます艶やかに笑みを深める津島さん。
「だから、早く和馬と別れて。……いいえ、その必要はないわね。私に会えば和馬は私を選ぶだろうから、あなたはなにもしなくていいわ。だって男性だったら野に咲くタンポポよりも、艶やかに香りを放つバラに惹かれるものだもの」
夕闇の中でも津島さんの笑顔は綺麗だったけれど、毒を含むその表情は安らぎよりも恐怖を覚えた。
力なく歩きながら家へと向かう。
――どうしたらいいのかな……
誰から見ても和馬さんに似合う津島さんに、彼の隣を譲るべきなのだろうか。『お似合い』なら、幸せになれるはずだから。
なのに、心の奥では『和馬さんと離れたくない』と泣きじゃくる私がいる。
沈んだ気分では夕ご飯を食べたいとも思わず、シャワーを浴びたらモソモソとベッドに潜り込んだ。
翌日、目を覚ました私はメールが届いていることに気付く。
送り主は和馬さん。着信時間は二十二時過ぎ。こんなに遅くまでしごとをしていたようだ。
『このメールが届くころには、ユウカは眠っているのでしょうか。あなたの愛らしい寝顔を見ることが出来なくて、とても残念です』
という文面で始まっている彼からのメール。和馬さんの人柄を表す温かくて甘い文面に、フワリと心が軽くなる。
『今夜はユウカと過ごす時間がなかったことが、寂しくてたまりません。立派な料亭や格式の高いホテルで出される食事よりも、ユウカが作ってくれた食事が、私にとってなによりのご馳走です。そして、あなたと過ごす時間が、私にとってなによりの宝物です』
私の作る料理が一番美味しいと笑顔で言ってくれる。
そして、なによりも、誰よりも、私のことを大切にしてくれる。穏やかなまなざしで、優しい笑顔で、いつだって私を見守ってくれているのだ。
最後に、
『早くユウカに会いたいです。会ったら、抱き締めさせてください。そしてキスをさせてください』
とあり、いつだってブレることのない彼の様子に小さく吹き出す。
「もう、和馬さんは……」
苦笑いを浮かべた後、私はベッドから抜け出して寝室のカーテンを開けた。とたんに部屋が明るい日差しに包まれる。輝くような日の光を浴びて、少しずつ心が元気を取り戻す。
「さ、支度しよう」
気持ちを切り替えるように自分に言い聞かせ、私は寝室を後にした。
食事をとり、着替えを済ませる。火の元を確認し、バッグを持って玄関へと向かった。
シューズボックスの上に置いてある鏡で自分を映すと、髪型を確認した後に襟元に手をやる。
淡い若草色のブラウスの襟から覗いているのは、和馬さんからもらったペリドットのネックレス。誕生日プレゼントにと、まだ付き合ってもいないのにこんなに素敵なプレゼントをしてくれた。
次に私は左の薬指へと視線を向ける。キラキラと輝くダイヤが付いた指輪。
付き合うことになったその日に婚約指輪を渡されるなんて、ビックリするほどの速い展開だ。
だけど、和馬さんが私に向ける想いはそこまで真剣だったのだ。
はじめは照れくさかったけれど、ネックレスも指輪も今ではかなり馴染んでいる。
それだけ、和馬さんと一緒に時を過ごしてきたという事。和馬さんに愛されてきたという事。
私は右の人差し指の先でソッと指輪に触れる。
津島さんのように面と向かって和馬さんの事を奪おうとしてきた人は初めてだから、本当はすごく怖かった。
でも、私はそれから逃げたらいけないんだ。
彼女を納得させるために何を言えばいいのか、今でも言葉が見つからない。
それでも、私は和馬さんが大好きだから。彼が笑顔でいてくれるために、彼の笑顔を守るために、私にだって何かできるはず。
「……よし」
私は小さく気合を入れ、玄関の扉を開けた。
仕事がひと段落したところで、デスク上の内線電話が鳴った。
「はい、小向日葵です」
『受付の白倉です。先程、小向日葵さん宛に来客がありまして』
落ち着いた女性の声が告げたのは、津島さんの名前だった。
――とうとう乗り込んできたんだ。
名前を聞かされた途端、心臓がギュッと縮まった。ドキドキしながら津島さんが残したメッセージを聞けば、彼女は終業後にあの公園で待っているという。
とにかく、津島さんから逃げる事だけはしたくない。漠然と、だけど、密かに決意を固めた。
和馬さんは今日も忙しく、出先で事故渋滞にはまり、帰社の予定時間が遅くなりそうだとメールが来た。
これならば彼に下手な言い訳することなく、待ち合わせの公園に行けるだろう。
夕暮れ時の公園は静まり返っている。
バッグの取っ手をギュッと握り締めて足を進めれば、ベンチのそばに遠目で見ても抜群のスタイルを示している髪の長い女性が立っていた。
「私の伝言なんて無視するかと思ったのに、よく逃げ出さずに来たわね」
「ここに私が来なかったら、また呼び出すんですよね? だったら、来るしかないじゃないですか」
震えてしまいそうになる声を必死に抑え、私は真っ直ぐに津島さんを見据えた。
「だって、あなたが和馬と別れるって言ってくれないと、横から奪いとった泥棒猫呼ばわりされちゃうじゃない。そんなの嫌だもの」
体の前で腕を組み、クスクスと笑う津島さん。
顔立ちはとても整っているのに、今は羨ましいとは思えなかった。彼女の瞳の奥に、和馬さんに向ける愛情があまり感じられなかったから。
――津島さんは、本当に和馬さんが好きなのかな?
その疑問がムクムクと胸の中で広がり、思わず訊いてしまった。
「あの……、どうして和馬さんなんですか? いったんは別れたんでしょう? それなのに、今頃どうして?」
私の問いかけに、津島さんは僅かに目を瞠った後、静かに視線を伏せた。
「和馬はいつだって感情を露わにすることがなかった。そんな彼を嫉妬させたくて、わざと彼以外の男性と親しげに話していても、恋人であるはずの和馬は仕方ないといった表情をするのがせいぜいといったところだったわ。でも、それが大人の恋愛だと思っていたの。子どもっぽく感情むき出しにして騒ぎ立てるのは、彼に相応しくなかったから。私もそれはそれで納得していたわ。和馬は私に独占欲を見せないけれど、私以外の人間にもそういった執着を見せなかったから」
過去を思い出しながらポツポツと話していた津島さんの視線がふいに上がった。
「それなのに、今はなんなの? 和馬のあんな優しい表情、見たことがないわ! あんなに甘い声、聞いたことがないわ! どうして!? どうしてあなたには、私には向けられなかった笑顔を向けるのよ! 自分から進んで手を繋ごうとするのよ! 私のなにがあなたに劣っているというの! どうしてよ!?」
噴き出す感情のままに口を開いた津島さんは、私の肩を勢い良く掴んだ。肩が痛みを訴える。
思わずバッグを落として顔を顰める私に構わず、津島さんは更に話を続けた。
「あの頃より努力して、私はもっと綺麗になったわ。今の和馬にふさわしいはずよ! だから、和馬の隣には私がいるべきなのよ! あなたなんかじゃなくて、この私が!」
津島さんの一方的な話を聞いているうちに、どうして私が彼女を和馬さんに会わせたくなかったのかが、ボンヤリと浮き彫りになってきた気がする。
よりはっきりさせるために、私は思い切って口を開いた。
「私は和馬さんの学生時代を知りませんし、彼から聞いたこともありません。ですので、これは私の勝手な想像なんですけど……」
私はコクンと息を呑み、再び口を開いた。
「和馬さんは、あなたが本当に自分の事が好きだったのかどうか、疑問に思っていたのではないでしょうか? あなたの前に付き合っていたという二人の女性に対しても」
「どういうことよ?」
怪訝な顔の彼女を見上げ、私は話を続ける。
「和馬さんは見て通り、素敵な人です。外見もそうですし、その仕草も。社長秘書を務めているくらいですから、かなり優秀な人なんだと思います。そんな彼に引き寄せられる女性は多かったのでしょうね。……『あなた』のように」
「なんなの、その言い方は」
目の前の瞳が苛立ちの色を濃くする。強い視線は怖いけれど、それでも私は自分が思ったことを最後まで話すことをやめるわけにはいかない。
「つまり、あなたは和馬さんの外見に引き寄せられて、彼が持っているステータスだけを好きになったのではないですか?」
今はもう、津島さんに対する恐怖心はなかった。あるのは、沸々と静かに湧き上がる怒り。
私のセリフを聞いて、津島さんは一瞬言葉を詰まらせた。だけど、すぐに鋭い視線で私を見返してきた。
「それがなんだっていうの?」
全く悪びれた様子もなく、彼女はユルリと口角を上げる。
「あなたはお子様だから分からないでしょうけれど、人間はね、自分に釣り合う相手を求めているものなのよ。自分の隣にいる相手がこちらを引き立ててくれるのでれば、なおのこと。どうせ恋愛するなら、見た目も含めてそういった相手を探すものでしょ?『お似合い』っていうのは、そういうものよ」
―――『お似合い』って、そういうものなの? 本当に?
違う。違う、違う! 留美先輩が私に出した宿題の答えは、これじゃない。
今、分かった。私がどうして津島さんには和馬さんを譲りたくないと思ったのか。
この人は和馬さんの事を、本当の意味で好きではないからだ。和馬さんが持っている見た目とか、能力とか、そういう部分にしか目を向けていないからだ。
まるで自分を飾りたてるアクセサリーのように、和馬さんのことを見ているからだ。
――そんなの、許せない。
お腹の底の怒りが更に熱を持った。
そんな風に思われた和馬さんがどれほど心を痛めるのか、それを考えたら、絶対、絶対、津島さんには大好きな和馬さんを譲れない。和馬さんが悲しむ顔なんて、悲しいのを我慢する顔なんて、もう見たくないんだもん!
「あなたは和馬さんのことを、なんにも分かってない!」
私は叫ぶと当時に、肩を掴んでくる津島さんの手を勢いよく振り払った。
「あなたは和馬さんを馬鹿にしているんですか! 和馬さんの隣にはあなたが相応しい? 和馬さんならあなたを選ぶはず? あなたの言い種だと、和馬さんは見た目だけで女性を選んでいるということと一緒です。つまりあなたが言いたいのは、和馬さんが上辺だけで人を判断する薄っぺらい男性ということなんですよ! 彼は見えた一面だけで、見える外面だけで人を選ぶような、懐の浅い人間なんかじゃないです! 見くびらないでください!」
声を荒げると、ボロリと大粒の涙が零れた。それを拭うこともなく、私は津島さんに向き合う。
「彼は本当に本当に素敵な人です。その彼を、引き立て役のために使うなんて許さない!優しい彼を、私の大切な恋人を、これ以上傷つけるなんて絶対に許さない!」
あまりに腹が立って、本格的に涙が出てきた。ボロボロと溢れる涙は止めることが出来ず、次々に頬を濡らしてゆく。
和馬さんはいつだってかっこよく私を守ってくれるのに、私はどうしてこんなにかっこ悪いんだろう。
目を真っ赤にして、顔を涙でグシャグシャにしている私に、津島さんは完全に呆れている。
「みっともないわね」
漏らされた言葉に反論できない私は、グッと唇を噛みしめる。
その時、
「そんなはずはありません。私の愛するユウカは、どんな時でも可愛いのですから」
私と津島さんの間に割って入った声は、蕩けそうに甘くて、だけど、少しだけ厳しいものだった。
突然響いた第三者の声に私はハッと顔を上げ、津島さんはパッと振り返った。
私たちの視線の先には、いつ見てもカッコいい和馬さんが立っている。
ただ、いつもと少し違うのは、きちんと整えられているはずの髪がやや乱れていて、ネクタイもちょっと緩んでいる所。急いで駆け付けたという感じが一目で分かった。
艶やかな黒髪とダークカラーのスーツ姿の和馬さんに私はもちろんのこと、津島さんも目を奪われていたけれど、いち早く立ち直り、
「和馬、会いたかった!」
と、感極まった声を上げて和馬さんへと駆け出した。
それを、
「私は会いたくなかったですがね」
冷たい声と眼差しで一蹴。
ビクリと肩を跳ね上げた津島さんは、その場で足を止める。
「か、和馬? や、やだ。そんな怖い顔をしないで。あ、あのね、私、あなたに話があって会いに来たのよ」
そう言って、津島さんは声を震わせながらも和馬さんに話しかける。
「ずっと和馬が好きだったの。別れてからも忘れられなくて……。お願い、私ともう一度付き合って。和馬に似合うのは、私のような大人の女性だと思うの」
少し離れたところに立つ和馬さんを見上げ、津島さんは私に向けていた声とは全く違う色でそう言った。
その話を聞きながら和馬さんは盛大な溜息を洩らすと、私の方へと足を進めて長い腕で私を抱きしめた。
「私が愛して止まないのは、この先もずっと、腕の中にいる彼女だけです。彼女以外の女性は一切必要ありません。そして、大切な彼女を傷つけるあなたのような人に情けをかけるほど、私は優しくはないですよ。まだ人生を楽しみたいのであれば、二度と彼女と私に関わらないでくださいね」
口調は穏やかなのに、そこに含まれるのは鋭い威嚇。
声もなく立ちつくしている津島さんに、和馬さんはダメ押しのように言葉を放つ。
「今すぐに消えなさい」
その切れるような声音にヒッと引き攣れた悲鳴を上げ、津島さんは慌てて駆け去っていった。
夜の始まりを告げる、やや湿った風がゆっくりと吹き抜ける。
さっきまでの喧騒がまるで嘘のように、公園内は静けさを取り戻したのだった。
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