あの日、答えはもらえなかったー納得できなかった記憶達へー

撫子

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幼少期編「理不尽をまだ知らなかった頃」

あの夜、なぜ怒りは姉へと向かったのか

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ある日、母は姉をどこかへ連れて出かけていた。
夜遅くまで戻らず、帰宅した時には父の表情が変わっていた。

私はまだ幼かったが、その空気の重さと、父の怒りだけは明確に覚えている。

深夜、父が眠る姉の布団を勢いよく剥ぎ取った。
驚いた母が止めに入ったが、その手を振り払うようにして父は母の首を絞めた。
私は怖さと混乱の中で、父を叩き、必死で止めた。泣きながら、声を振り絞って。

――あの時、父はなぜあそこまで怒っていたのだろう?

当時は分からなかったが、大人になった今、ふと疑念がよぎる。
母は姉を夜遅くまで連れ歩き、どこに行っていたのか――
もしかして、母は姉に……そんなことまでしていたのではないか。

だからこそ、父は怒ったのではないか。
だとしても、首を絞めるなど決して許される行為ではないのに、当時の私はただただ怯えるしかなかった。

その夜、母は電話をかけた。父の実家へ。
そして、私に電話口でこう言わせた。

「お父さんが、お母さんの首を絞めていたの」

幼い私は、何が正しくて何が間違いなのかも分からないまま、母の震えるような声に従った。
兄弟たちの泣き声、混乱、怒号……
あの家の中に、安心できる居場所はどこにもなかった。
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