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第二章 新しい生活

21☆

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「先生、俺も練習したい。ミーティングの時じゃダメなんですか?」


「お前、気づいてて言わない事多いだろ。だからこうやって練習中に聞いて、纏めておくんだ。この前のゼルの兄貴、お前がなんかアドバイスしたんじゃないのか?」


 先生、あの試合見たのか。確かに気づいた事は書いてたけど、それを活かしたのは母さんだし、頑張ったのはゼンだ。


「それとな、ゼルの調子が上がってる気ぃするんだよなあ」


「俺はただ、一週間ファルコンの練習にお邪魔して、ゼンのプレーだけ見て、気づいた事を書いてくれって頼まれてただけです。あとは母さんとゼンがやった事だし、ゼルにも覚えてる範囲ですけど、気になってる事を少し書いてあげただけです」


「それが重要なんだろうが。どの範囲で書いてるのかは知らんが、まずはゼルでその次は誰でもいい。一応全員の見てやってくれよ」


 ゼルを見るのはいいんだけど、俺も練習したいのに……あ、いい事思いついた!!


「先生、インハイっていつでしたっけ?」


「来月の頭だな。それがどうしたんだ?」


「レシーブなら喜んで教えます。あとは新田を控えリベロにして欲しいです。俺が何かしらの理由で出れなかった時の控えで。ゼルには一週間、新田には大会まで、俺が教えます。そしたら一週間後から、ちゃんとみんなのも見てメモします。どうですか??」


 先生は俺の提案に、固まって新田の方を見る。


「なんで新田なのか聞いてもいいか?」


「新田が一番下手だから……悪口じゃないですよ。変な癖がまだついてないから、教えるなら今なんですよ。それにボールへの執着心が強いのがいいですね」


「分かった。なら今日から一週間頼むわ」


 それから一週間後、ゼルと新田と先生が……何故か泣きそうだった。


「やっとや!! やっとあの難解な説明から解放される!!」


「ゼルさんはいいですね。俺なんか……強制的にリベロ……凛さんの、あの独特な説明に加えて、俺だけきっついメニュー……いつも俺等に優しい凛さんが……」


「新田、お前は凛の指名だ。頑張るしかない。それにお前等はまだいいだろ。俺は解読するのに必死だってのに。まあ一週間で二人が、ここまで上手くなるとは思わなかったがな」


 むっ……あれでも頑張ったんだぞ。絵使ったり、スマホのスロー機能、わざわざ使って動画撮ったり。


「まだ二人はええやろ!! 俺なんか貴重な、土曜の夜と日曜、俺放置で兄貴とのセッ……イタッ!! 凛何すんねん!!」


「何って聞きたいのはこっちだ!! ナニ話そうとしてんだよ!!」


 とんでもない事を、大きい声で話そうとするゼルに、持ってたぬいぐるみを叩きつけて黙らせると、ゼルはシュンっとして俺に抱きついてくる。


「ゼル、あれはゼンの提案だったんだよ。でもさ、頑張ったらご褒美欲しいって、前にゼルが言ってたじゃんか」


 俺はゼルに耳打ちすると、ゼルは嬉しそうにして、抱きつく腕に力が入る。


「あー、二人とも今イチャイチャすんな。つうか凛は普通に聞こえてるからな!? 耳打ち下手くそか。まったく、今日からゼルはスパイク練習に戻れ、新田は凛の代わりにレシーブ。凛にはこのパソコンとノート渡しとくから、好きに使え。そんじゃ凛以外、練習開始」


 俺も練習したい。というか、ノートパソコン渡されたけど、生徒にこんな簡単に渡すか? 普通。


「先生、パソコンだと邪魔なんですけど。というか俺毎日一人づつで、少しだけ見たら練習する気だったんですけど」


「仕方ないだろ。タブレット持ってないし、紙だとあとで纏め直すの面倒だし。つうか、ぬいぐるみ離せばいいだろうが」


 それは無理。バレーできないのに、ぬいぐるみまで奪わないでくれ。話も逸らされちゃったし。


 その後、俺はちゃんと自分の仕事をして、一人一人のファイルを作り、そこにどんどん追加していく。ノートの方も活用していて、ちゃんとコースの打ち分け、ボールの軌道を書いていくが、流石に何人も見るのは大変だった。


「先生、ちょっと俺の記憶が、追いつかなくなってきた。スピードダウンさせるか、三人ずつとかにして欲しい」


「なら3vs3でもやるか? こっちから見て右コートにきたチームを、順に見てけばいいだろ?」


 簡単に言うなよ。俺もやりたい。


「よしお前等!! 3vs3やるぞ。トシ、山田、野沢のチーム。ゼル、静流、横山のチーム。向井、圭人、新田のチームだ」


 そうして始まった3vs3は、一人一人の範囲が広いため、その人の能力が見やすい。


「先生は野沢を来年のセッターにするんですか?」


「……お前ほんと……そうだよ。一応野沢と、向井には話してある。不満か?」


「なんで? 俺もセッターは、野沢かなって思ってました。横山はMBにおいて、新田は人数が足りなかったら、セッター対角でレシーブ専門においてもいい。次がどのくらいの人数、入部してくれるかにもよりますけど」


「奇遇だな。俺も同じ考えだ」


 まあ、俺が学校にちゃんと来れるか、今の状態じゃ分からないけど。


 その後も俺はひたすら見て、打ち込んで、描き込んでの繰り返しで、休む暇なんかなく家に帰った。


「ゼル~。疲れた。目痛い。眠い。ちゅうして」


「珍しいやんか。凛からそんなに甘えてくるなんか。ええで、ソファ行こか」


 俺はゼルに抱きあげられてソファまで行き、ゼルの膝の上に跨るように座ってキスをする。


「んんンッ……はぁ、ンッ」


「なんや積極的やな。どうしたん??」


「……俺もバレーしたかった。今日話してたんだ。来年の事。ゼル居ないじゃん。今のうちに一緒にバレーしたい」


「……俺留年しよかなあ」


「それは駄目……でも寂しい」


「やば。可愛すぎる!! 土日お預けくらった俺からしたら、もう我慢の限界なんやけど」


 そうだった。俺の教え方が下手なのもあるけど、ゼルに早く上手くなってほしくて、ゼンに相談したら……まあ、ゼンは楽しんでたなあ。俺はそれどころじゃなかったけど。


「お風呂で一回だけなら……うわっ」


 ゼルは俺を抱き上げると、すぐにお風呂へ行き、服もあっという間に脱がされて、背中を壁に押しつけられる。


「凛、俺にしっかり捕まっとき。早めに済ますから」


 ゼルは俺の両足を持ち上げると、まだ解されていない、俺の中へ無理矢理入ってくる。


「キッツ……解す余裕ないんは、カッコ悪いな」


「だい、じょうぶ……ゼル、ちゅうして。そしたら入る」


 ゼルは抑えが効かないとばかりに、俺の唇にくらいつくと、緩んだところを見逃さず、ズンッと奥まで入ってくる。


「あー、気持ちえぇなぁ。凛動くで。はよするから、意識飛ばさんでな?」


「あッあっ……やッ……ん、ふかッ」


 慣らす事なく、奥の方で激しく突かれたせいか、いつもよりゾクゾクして、目がチカチカとしてくる。


「はぁ、はぁ……あー、クッソもうちょいやりたいけど……はぁ、休みやないし……凛、一緒にイこか」


 俺が必死で頷くと、ゼルが俺の耳に噛みつき、二人で一緒に達した。


「まだ……たりない」
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