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第二章 新しい生活
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しおりを挟む「お待たせ!! 凛ちゃん、これ買ってきておいたらから、お義母さんからのプレゼント!! 多分サイズは合う筈よ。それとこっちの試作品は、家に帰ってから着てみて、ゼン達に写真撮ってもらって。二人は試作品なんだから、絶対に送るのよ」
そう言ってゼルに渡された紙袋と、大きめの段ボール。中には沢山入ってるようで、ガムテープでガッチリ閉められている。
「ありがとうございます。写真と動画の方がいいですか??」
「動画!! そうね!! 動画もあったほうが助かるわ!! 凛ちゃんに私の連絡先教えておくから、凛ちゃんも暇な時連絡してちょうだい!!」
そう言って俺のスマホに、お義母さんとお義父さんの連絡先を追加される。
「凛はスマホほとんど使わんから、連絡せんと思うで」
「ちゅーか、これからこんなん続くんやろ?? ここに凛くんが来る事も増えるやろうし、せめてオフィス組には、凛くんの事伝えといてや。さっき叔父さんが普通に触ろうとしとったで」
「あら、アレクには伝えておいた筈なんだけど……あ、そっちの事は伝え忘れてたかもしれないわ。アレクは涼子の旦那が好きだから……恋人がゼンとゼルって事は伝えておいたんだけど。そこだけは念をおしておかないとと思ってね。後でちゃんと伝えておくわ」
え……俺聞いたらいけない事聞いてないか??
「うわ……それはオカンの判断が正解やわ。叔父さん、美人好きやもんなあ。凛はまだ幼さが……ないな。寧ろどんどん色気増しとるし」
「凛くん、さっきの人はオカンの弟で、アレクっちゅうんやけど……まさか隆二さんとこ好きとは思わんかったわ」
「俺……聞いて大丈夫だったのかな。ちょっと複雑なんだけど」
「大丈夫や。叔父さん結婚しとるから。凛のパパさん……隆二さんには手ぇ出さんよ」
「いや……でも美琴さんって、確か佐良さんとこ好きやったよなあ?? うちがこっちで練習しとった時は、佐良さんがオフィス来ると、ベッタリやった気ぃする」
なんか凄いな。そこで分かち合って結婚したのか??
「陣くん連れてきたら、叔父さんみたいに、美琴さんもなるんやろか」
俺聞かなかった事にしたい。今日眠れる気がしないんだけど。
ゼンとゼルは通い目をして、お義母さんは何故かさっきから、真剣な表情で俺の髪を弄っている。何をしてるのか分からないが、メモをとりながら、写真も撮っている為、おそらく仕事関連なのだろう。
「オカン、タクシー呼んだから、俺等もう帰るけど……凛くんの髪直してや」
「この噛み痕……うちの息子達は、よく分かってるじゃない!! いいものも見れたし、凛ちゃんくらいサラサラな髪だと、このピンがとまらない事も分かったから満足だわ。凛ちゃん、服の方もよろしくね」
「あ、はい。ありがとうございました」
俺はまたゼンに横抱きされて、注目されながらも、さっさとホテルに帰って、早めに寝る事にした。
翌日、朝早くに起きると、何故か俺だけ全裸になっていた。
「なんで……ゼン、ゼル、起きて」
二人を起こすように揺すると、ゼンが先に起きて俺の身体をマジマジと見てくる。
「おはよう凛くん。朝から刺激的な格好やな」
「おはよう。ゼンじゃないの?? 俺脱いだ覚えないんだけど」
「俺とゼルで脱がしたで。凛くんの身体のサイズ測る為に脱がしたんやけど、なんで服着せとらんのや??」
いや、それは俺が聞きたい。
「凛の肌気持ちええなあ。多分俺が寝ぼけて脱がせたんやと思うわ。最近凛のシャツん中に潜ると、暑くて息しづらいんよ」
「ゼルがやったんか。朝から刺激強すぎるんやけど……今日は二日分の食べ物買って、はよ帰ろうなあ」
その瞬間、ゼンとゼルの目がギラついて、俺の背中がゾワッとする。
その後はさっさと支度して、必要最低限のもの以外は、ホテルから荷物を送ってもらう事にし、チェックアウトを済ませる。
「夕方には届くって。その前に帰らんとな。凛くん、こっから大学まで少し歩くんやけど、腰なんともない??」
「大丈夫だけど、ここから近いの??」
「まあまあやな。凛は絶対にはぐれんでな。兄貴の手ぇ話さんでよ。俺も後ろから見とるけど、大学付近は人通り多いからな」
俺はゼンと手を繋いで、後ろからはゼルに服を掴まれながら、大学へ向かって行くと、確かに人が多くて体育会系の大学生が多かった。そして、大学に着くと、かなり広い敷地に、白雷虎高校と白雷虎大学のキャンパスがいくつかあり、寮も高校と大学になっていた。そして凄いのが体育館四つにグラウンド二つ、キャンパス内にはトレーニングルームなどもいろいろ揃っているらしい。
「俺、迷子確定だ」
「あ……確かにこんだけ広いと、凛くんやばいかもなあ。陣くん……はダメか。ゼルと一緒に居ってもらうしかないな」
「俺は絶対離れんから大丈夫や!!」
大学側の門に着くと、監督さんが居て、守衛さんと何か話していた。
「監督、おはようございます。どうしました??」
『おはようございます』
「おう、来たね。今ちょうど俺も来たところだったから、すれ違いになってないか確認してたんだ。ゼンなら許可証持ってそうだったからな」
「いや、俺そこまではせんから。それやったら、防犯の意味ないやろ」
「まあそうなんだけど……おや、凛は今日イヌなのか?? そのカメラ……ゼン、お前いるのに何で付けてるんだ」
「これにGPS入っとるからに決まっとるやん」
「……凛、本当にこいつ等でいいのか??」
何が?? 寧ろ俺は二人じゃないとダメなんだけど。みんな聞いてくるけど、そんなにGPSとか監視カメラって悪い物なのか??
俺が首を傾げると、ゼンはニヤリと笑い、監督さんは溜息を吐いて、軽く俺の頭をポンポンしてくる。
「監督さん、もっと面白いもん見せます?? 知っといて損はないと思うんやけど」
ゼルが悪い顔で言うと、監督さんは好きにしろと言いたげだ。
「凛、寝ててええよ。おやすみ」
その瞬間俺の身体はガクンと力無く崩れ、ゼンが俺の事横抱きして、ギュッと抱きしめる。
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