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第四章 縛りと役目

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 俺が寝室に連れて行かれると、二人に痛いくらい抱きしめられる。


「凛くん、良かった……ほんまにごめん。俺等、一番やったらいけん事した」


「凛……許さんくてええから……そばに居らせて。抱きしめさせて」


 確かにショックだったし、今思い出しても悪夢みたいな光景で、考えれば考える程、どんどん自分が消えてく気がする。けど一番傷ついてるのは、ゼンとゼルでしょ。俺にした事実は変わらないし、言った言葉は取り消せない。その証拠に……


「凛くん!! 嫌や!! なんで消えるんや!!」


「やっと抱きしめられたのに、なんで!!」


 俺の身体が、あの瞬間を思い出すだけで消えそうになる。自分の意思に反して、透けていく身体が怖い。きっとこれは、俺の存在が番に否定された証だ。


「ごめん。消えたくないんだけど、思い出すとダメみたいだ。嫌でも思い出しちゃうのに、どうしたらいいんだろう……一人は怖いな」


「凛くん……凛くんは嫌かもしれんけど、抱かせてほしい。じゃないと、消えてまう」


「俺等がリュカに連れられて、迎えに行った時はもっと酷かった。俺等しか凛の魂は触れんから……凛は起きんし、抱くのが一番安定するんやって……せやから、ごめん。凛が起きんかったこの1ヶ月、殆ど抱いとった」


「俺等は、どうしても凛くんを繋ぎ止めたかった。ごめん、凛くんが嫌がっても離してやれん。絶対に無理なんや。俺等には凛くんしか居らん」


 あぁ……俺は本当に弱いな。一人じゃ何も出来ない。俺は二人に生かしてもらってる。こんなにも、生きるのは大変なんだな。知らなかった。


 俺は二人にフワッと抱きついて、フェロモンを出せるか分からないけど、それでも意識してみたら、ちゃんとフェロモンが出せたようで、それに反応した二人が中に入ってくる。


「凛くん……凛くん、ごめん。ごめん」


「ゼン、泣かないで。もう謝らなくていい。俺の存在を否定しないで……そしたら、ちゃんとここに居れるから。ゼルも俺を愛して。そばにいて。嘘でもいいから言葉にして……俺はどんな二人でも……ゼンとゼルを愛してる」


「あぁ……俺も愛してる。凛、大事な番。俺等の宝物」


「凛くん……俺等の白猫。愛してる」


 そこからは、何度も何度も愛を伝えてくれる。俺を優しく抱きながら、繋ぎ止めようと俺の名前を呼んでくれた。


「良かった。凛くんの身体……抱きしめられる。凛くん……好き。大好き」


「凛……大好き。俺等だけの綺麗な白猫。まだ抱かせて。ちゃんと抱かせて欲しい」


「ゼン、ゼル……大好き。噛んで……印つけて」


 俺の頸に二人が噛みつくと、魂を噛まれたような気がして、それと同時に首輪をつけられたような苦しさと、痛みが襲ってくる。


「うッ……はぁ、イッ……はぁ、はぁ……く、くるし……イタイ」


「凛くん、もう逃がさん……」


「どこまでも追いかけてやる。凛が嫌がっても……」


『離れるのは許さん。命令や』


 あぁ……もう、消えられない。首輪があったら、逃げられない。絶対に捕まる。けど……良かった。


 俺が気を失う寸前、二人が笑ったような気がした。その時の目は、多分周りから見たら怖いと思うけど、俺はもっと怖い目を知っている。あの虫を見るような目……存在を否定されてるような目……あれに比べたら可愛いものだ。


ーーーーーーーーーーーー


(sideゼンとゼル)


 凛が気を失っても尚、狂ったように抱き続ける二人は、確実に凛を繋ぎ止められるように、中へ熱を吐き出し続けた。


「凛くん……はぁ、綺麗。新しい首輪、気に入ってくれたか??」


「凛……鈴鳴らして。綺麗な音聞かせて」


 すると二人に応えるように、凛の鈴の音が鳴る。それは家中に響いているようで、チリリンと綺麗な音に反応するカイとレイが、遠吠えをあげた。


「綺麗やな……気に入ったみたいや」


「凛、大好き……はあ、はあ……可愛い」


 二人が激しく突き始めると、気を失ってる筈の凛が乱れ始めて、いつもなら抑えている甘い声が、二人の耳に入ってくる。


「んアッ……アッ、あッ……アんッ、ンッ……はあ、アッ」


(可愛い。凛くん……もっと、もっと乱れて。あんな事忘れてしまえ)


(凛……上書きしたるから、もっと乱れて。もっと、もっと)


『愛してる』


 二人が凛の中で達すると、自分達の髪が真っ白になっている事に気がついた。


「ゼル、お前髪色変わっとるで」


「兄貴こそ変わっとるやんか。真っ白やぞ」


(チッ……鏡見たいけど、抜きたくないわ)


(兄貴の奴、抜く気ないやろ)


 ゼンが凛にキスをして舌を絡めると、ゼルも負けじと無理矢理引き剥がしてキスをする。


「おい、奪うなや。お前はさっさと出ろや」


「兄貴こそ出ていけや」


「俺はまだ抱くんや。お前はフェロモンなかったら、もう出んやろ」


「フェロモン無しでも、まだまだできるわ」


 凛が気を失ってる事をいい事に、二人が喧嘩を始めると、いつの間にか帰ってきていたスイセンが、凛のお腹に入って行く。


「カカ様眠い。僕も寝る」


「……お前、まさかそこで寝る気やないよな??」


「凛の腹ん中で寝るなんか……羨ましい!!」


「トト達うるさい!! 出て行って!!」


 スイセンによって、中から強制的に押し出されると、ゼンとゼルは仕方なく凛を抱えて、お風呂に連れて行った。


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