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第六章 加速する愛
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しおりを挟む目が覚めると、俺は自分の部屋で寝ていて、ゼンとゼルの服を着ていた。
なんか、ところどころ記憶が曖昧だけど、これでもかってくらい甘えてたような……やばい。今回は凄い面倒な奴だった。
「凛くん、起きたんか?? 身体怠かったりせんか??」
「大丈夫……ゼン、俺また迷惑かけた。ごめん」
「迷惑やないで。俺等は楽しかったしな」
「夜中に泣き出した時はびっくりやったけど、新しい服あげたら喜んで巣に持ってったしな」
うぅ……洸と愁にも変なとこ見られた。もう恥ずかしすぎる。
「凛くん、また泣いてるの?? もう服ない……」
「愁、寝ぼけとらんでちゃんと見てみぃ」
「ごめん、愁の服も返さないと」
愁は少しすると覚醒してきたのか、俺が戻っている事に安堵した様子で、俺の額に手を当ててくる。
「熱下がったんだ。良かった……服はまた買えばいいし、暫くはこのままでいいよ。ゼン、俺の貯金全部おろしたよね?? それ使っていいから、俺の服買ってくれる??」
「ええけど、俺が選ぶで。お前のセンスは悪すぎるからな」
「なんかムカつくんだけど」
「凛くんのそばに居る奴に、ダサい格好させる訳ないやろ!!」
ゼンと愁が話している間に、俺は無意識に自分の巣に潜るとゼルに捕まり、洸には何故かぬいぐるみを渡された。
「ゼル、洸、寝ぼけてる??」
「凛……あれ?? 戻ってる。熱下がったの??」
「うん、熱は下がったから、ぬいぐるみは大丈夫だよ」
「そっか、良かった。凛が時々、俺の尻尾に擦り寄って噛んでくるから、ぬいぐるみを噛ませてたんだ」
それは俺が悪い。どれだけ変な行動をしてたんだ……今も、無意識に服に潜ってたし。
「ゼル……ゼル起きて」
「凛……まだ脈はやい。もうちょい寝ような」
ゼルは抱きつきながらも、俺の首と手首に手を当てていて、寝ぼけていた訳ではなかったらしい。
「ゼル、はよ起きろ……確かに、ちょい乱れとるな。凛くん、巣は暫くそのままにしとってええし、服も俺とゼルの着たままでええから、一緒に日光浴でもしよか」
「いいの?? 外に行くのにも、このままがいい。サメも、洸と愁のタオルつけたい」
「ええよ。熱出とった時に、凛くんと約束したんやから」
このままでいいんだ……嬉しい。ここに戻れるなら頑張れる。俺が着てるのも匂いがするし、部活も参加できるかもしれない。でも、今日はファルコンに行きたい。
「凛、落ち着いたか?? 今日は土曜やし、このまま練習行こか」
「え……土曜?? 大学行ったのって水曜だよね??」
「三日も熱出しとったからな。佐良さんと隆二さんも、一回様子見に来てくれたんやで。隆二さんは、凛くんの遊び道具持ってきよって、凛くんの熱上げて帰って行ったわ。むっちゃ佐良さんに怒られとったけど、大丈夫やったんかな」
父さん……何してるんだよ。あの人、俺の心配してそうで、本当は俺をかまいたいだけなんだよな。
ゼルに抱きしめられた状態で、俺はそのままお風呂に連れて行かれ、四人の匂いが消えてしまった事に、少し心拍数が上がってくるが、すぐにゼンとゼルのジャージを着せてもらい、洸と愁のタオルとサメを渡され、俺はゼンに髪の毛を乾かしてもらっている間に、タオルを縛りつけた。
「もう、そのサメ可哀想なんやけど……」
「ええやん。俺が気まぐれで買ったやつが、こんなに使われとるんやで。このサメも幸せやろ」
「あぁ……凛くんが、俺のタオルを……ずっとゼンとゼルが羨ましくて見てるだけだったのに」
「愁さん、その気持ち凄く分かります。凛が俺の物を持って、外に出てくれるのが嬉しすぎる」
その後、ゼンと洸がご飯を作っている間に、俺はゼルを連れて日光浴をしに行き、愁は自分のパソコンを取り出して、耀に教える為の動画を編集していた。
朝の日光浴は気持ちいい。ゼルにキスしてもいいかな……動かないなら、俺が好きなようにキスできる。
「ゼル……動かないでね」
俺はゼルに膝枕をしてもらっていたが、起き上がってゼルの膝に跨がり、首に手を回して軽くキスをすると、ゼルが動きたそうにこっちを見てくる。しかし、俺は無視してチュッチュと何度も触れるだけのキスをしたり、舐めたり噛んだりを暫く繰り返す。
「凛くん、飯出来たで。なんや可愛い事しとるけど、ゼルは大丈夫なんか??」
「ゼン……もうちょっと待って」
「俺はええけど、それ以上やるとゼルの限界くるんやないかな。凛くんが熱出しとる時、セッ○スしとらんし、俺もゼルも結構我慢しとるんやで」
「うぅ……じゃあ、ゼンがあと10分相手して。そしたらご飯食べる」
カイとレイが、早くゼルと代われと言いながらゼンに向かって唸り始めると、ゼンはゼルと代わって俺を膝の上に乗せる。
「はぁ……しんど。可愛いんやけど、こっちが喋れんし動けんっちゅうのは、結構しんどいわ」
「ゼル、ずっと焦らされてた感じだったしな。見てる分には可愛いけど、される方は大変だろうな」
「俺なら獣だから自由だけど、兄さん達は大変だよね。ゼン兄さん、10分も我慢出来るのかな。もうヤバそうだけど……」
10分後、日光浴を終えた俺は、ご飯の前にゼンとゼルのキス攻めにあい、満足したところでご飯を済ませ、少し早めに家を出た。
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