追放されたクズ勇者の死に戻り ~「オマエはクビだ」からやり直したオレは、破滅フラグを折りまくる~

テツみン

文字の大きさ
6 / 84
第一話 クズ勇者、改心する

その三

しおりを挟む
 人類滅亡の日から『死に戻り』したオレは、破滅を回避するため、マルタをパーティに引き留めた。
 その翌日――

 いつもの店で朝食を取り、冒険者ギルドに向かうと、すでにパーティのメンバーが揃っていた。

「なんだ? いつもより早いじゃないか?」
 そうたずねたのだが、誰ひとり返答しない。重い雰囲気がひしひしと伝わる。

「全員揃いましたね。それでは勇者パーティのみなさん、こちらへ」
 ギルドの受付嬢がそう言う。

 こちらへ――って、どちらへ?

「ギルドマスターが呼んでいるそうだよ」そう、ロゼルは説明してくれた。

 ギルドマスターが呼んでいる? こんな朝っぱらから? 全員、受付嬢のうしろをついて行こうとすると――

「マルタさんはここに残ってください」
「――えっ?」
 マルタだけ、ここに残る?

「ギルドマスターからの指示です」

 いったい、なんだっていうんだ?
 オレたちは言われたとおり、マルタを残して、ギルドマスター執務室に入った。
 中には坊主頭にヒゲを生やした屈強な男がムッとした顔でソファーに座っていた。冒険者ギルドマスターのマコーミックである。全員、向かいの席に座ると――

「おい、グエル。どういうことだ?」
 挨拶もなく、不躾にマコーミックは質問してきた。
 どういうこと――って?

「オマエ、昨日は運び屋をクビにするって言っていただろ?」
「ああ……」

 思い出した。マルタをクビにした日――その前にマコーミックから呼び出され、「マルタをクビにしろ」と言われたんだ。
 あの時は、役立たずの運び屋なんて勇者パーティに不要だとオレも思っていたから、コイツの指示にふたつ返事で従ったんだっけ?

 オレは頭を掻きながら――
「まあ――気が変わった」そう、素っ気なく応える。

「なっ!?」
 オレの回答で、マコーミックの顔がのように真っ赤になった。
 その勢いで前のテーブルを両手でドンッと叩く。

「ふざけるな! 非戦闘職の運び屋なんてこのギルドに必要ない! 昨日はキサマも同意しただろ!」

 ああ、そうそう。そんな話をしていた。戦わないくせに、報酬だけ一人前にもらっているマルタにオレも不満を持っていたんだよなぁ。だから、マコーミックの考えに同意したんだ。

「そう思ったんだけど、運び屋がいるといろいろ助かるんですよ。重い荷物を持たなくてイイし、道案内もしてくれる。料理だって作るしな」
 そんなふうに言いわけしてみる。

 まさか、『マルタは将来、人類を滅ぼすほどの能力を手にする』なんて言うわけにいかないもんなぁ。

 それに、今から思い直せば、運び屋としてのマルタもけっこう役に立っていた。アイツをクビにしてからの惨状を知ってれば一目瞭然だ。

『運び屋は戦わずにラクして報酬をもらう、冒険者の面汚し――』そういう風潮が冒険者の仲間ウチでは昔からあったし、オレもそんなふうに考えていた。
 しかし、非戦闘員がサポートしてくれるから、戦闘員は戦いに集中できる。今ならそれがわかる。前の人生では、気づくのに遅すぎた。
 だが、こうして『死に戻り』したのなら、運び屋に対する間違った見識は改めるべきだろう。

「オマエ……本気でそんなことを言っているのか?」
 マコーミックが威圧的な態度でそう声にしてきた。

「ああ、もちろんだ」と応える。

「――わかった。それでは勇者パーティを冒険者ギルドから除名する」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...