見合い相手が女装した男だった。しかも僕のストーカーらしい。

一一(カズイチ)

文字の大きさ
9 / 39
脅迫状編

2度あることは ※

しおりを挟む
 項垂れるセシルを、シグルドはドン引きした顔で見下ろした。
 間を空けず呼び出された時点で、薄々嫌な予感がしたが案の定。

「君は馬鹿か? 学習能力が無いにも程があるだろう」

 シグルドの言う通りだ。辛辣だが彼が正しい。
 セシルは薬を塗ると言って相手を油断させて、結局また襲った。
 前回とは別の意味で悪質だ。

「2回会って、2回共襲うとか正気とは思えない」
「本当に! 最初は純粋に薬を塗ってたんだ! でもラインハルト様の痴態に我慢が――」
「よくある性犯罪者の言い訳だな。それ絶対に本人には言うなよ」

 最初がどうであろうと、同意なく挿入した時点でアウトだ。
 しかも言い訳の内容が「被害者がエロ過ぎるのが悪い」ときた。情状酌量の余地無しである。

「今度こそ! 絶対に襲う事なくお詫びしてみせる!」
「……期待しないでおくよ。俺は犯罪者の友人になるつもりはないから、逮捕されたら縁切るからな」

 止むに止まれぬ事情があってなら兎も角、衝動的な性犯罪である。
 今までは奔放なシグルドをセシルが見捨てない形の友情だったが、一気に立場が逆転した。



**



 3度目の顔合わせは、マクガーデン邸ではなかった。
 会う度に襲われるという嬉しくない皆勤賞状態なので、ラインハルトは気が進まなかったが前回身分証を彼の部屋で紛失した為渋々会う事にした。
 郵送事故が不安であれば、マクガーデン家ともなれば使いの者に持たせれば良い。
 しかし「大事な物だから直接渡したい」と言われたら、断ることはできなかった。
 心当たりは一ヶ所しか無いので、何の弾みで落としたかは考えない事とする。
 今回は外で会うので、いくら彼でも無体な事はしないだろう。

(流石金持ち。貸切って凄いな)

 指定された場所は、大学からほど近い美術館の一角だった。
 ラインハルトの研究にも関わっているので度々訪問している場所だが、何時もは研究者用パスを使用している。一般客として入るのは学生時代ぶりだ。

 マクガーデン家としては人目を避けたいのか、貸切状態でデート(仮)する事になった。
 この美術館には以前から多額の寄付をしているようだが、それでも中々できる事ではない。
 おそらく追加で金を出したのだろう。

(部屋が物置な割に、服とか貸切とか金は掛けてるんだよな)

 ラインハルトは眉を顰めた。
 表に出せない子供への対応としては、どうにも違和感を感じる。



「重ね重ね申し訳ありませんでした」

 素直に身分証を差し出すと、またもや彼は地面に跪いた。
 立っているラインハルトは完全に見下ろす形になる。
 それだけの事をされているのだが、正直居心地が悪い。

「ラインハルト様に触れると、頭の片隅が痺れて何も考えられなくなるんです。駄目だとわかっているのに、自分の欲望が抑えられなくなる……」

 聞いてもいない自白が始まった。

「お恥ずかしながら、以前から俺は貴方をお慕いしています」
「……僕には覚えが無いのですが、」
「きっと貴方にとっては些細な事だったのでしょう。記憶に残っていなくても無理ありません」

 訥々と語られる内容に、ラインハルトは首をかしげた。

(いや。君のような男の娘、一度会ったら忘れないぞ)

 すっぴんのゴスロリみたいなものだ。
 慕われるだけのやり取りがあったなら尚更、記憶に残っているはずだ。
 ラインハルトは女の顔は覚えられないが、一定以上の顔面偏差値の男に対する記憶力は良い。

「謝罪は受け入れますから、立ってください」
「いいえ。誠意を見せなければ。自分の欲を完全に抑え込んで、ラインハルト様だけを気持ち良くしてみせます!」
「待て待て待て!!」

 ラインハルトの敬語が吹っ飛んだ。
 今までのやり取りを全て無駄にする発言。
 ラインハルトが止める間も無く、彼はチャックを降ろすと、躊躇なく顔を寄せた。

 急所を握り込まれて、ラインハルトは身動きができない。
 彼の頭を掴んで引き剥がしたいが、弾みで噛み切られそうだ。
 後ろの次は、前に擦過傷とか面白くもなんとも無い。



 ワザとなのか天然なのか不明だが、派手に水音を立てて舐められる。
 彼の顔は完全に蕩けきっており、自分の欲全開である。
 これが二次元なら、効果音だけではなく目にも♡が入っているだろう。

 一心不乱にラインハルトに奉仕していたが、興奮を隠せなくなったのか彼は自らスカートを捲り上げた。
 下着は普通に男物だった。
 布で隠されていても、彼の雄が反応しているのは一目瞭然だ。

「ラインハルト様……足で……」

 彼は口淫を続行したまま、とんでもない事を要求した。

「自分の欲を封印するんですよね」
「だって……」

(快楽に弱過ぎだろ。足コキとか絶対に嫌だ!)

 靴履いたままは流石にマズイ。
 じゃあ靴を脱いだらどうなるかと言うと、事後に汚れた靴下の始末に困る事になる。

「我慢できないならもう終わりです」
「嫌です! ――我慢します」

 よく分からない流れで、あたかも合意の上の行為のようになってしまった。

 これだけ欲に忠実で図太いのだ。
 彼が一方的に生家で虐げられているとは思えない。

 ラインハルトは、これ以上関わるのを止めようと心に決めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

率先して自宅警備員してたら宅配業者に両思い判定されてた話

西を向いたらね
BL
[配達員×実家暮らしニート] ・高梨悠斗 (受け) 実家住みのニート。常に家にいるため、荷物の受け取りはお手の物。 ・水嶋涼 (攻め) 宅急便の配達員。いつ荷物を届けても必ず出てくれる受けに対して、「もしかして俺のこと好きなのでは…?」となり、そのままズルズル受けの事が好きになる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...