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最悪な日
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落ち着いたカフェ。テーブルとテーブルは客のプライベートを守るためかある程度離れておかれている。
ストローを口に含んで、都子はアイスティーを飲んだ。あれから道の真ん中で押し問答を続けていたら、案の定通行人からじろじろ見られやむなくここへやってきたのだ。都子にとっては不本意この上ないが、千彰に解放してくれる気配がまったくないので仕方がない。
「都子ちゃん」
呼ばれてじぶじぶと顔を上げる。関わりたくないのなら無視するのが一番なのにそうできない自分が恨めしい。
「何」
「どーして俺と付き合うの嫌なの?」
さっきから、こればかりだ。
「だから、あなたのこと何も知らないし。嫌、とかいう以前に理由も存在しないの」
「……なんだよ。それ、なんか納得できないな」
目の前の彼はふてくされたような表情を作った。
……うーん、やっぱり顔がいいとどんな顔してもかっこいいんだよねえ……。
じっと千彰を見つめながら、都子は場の雰囲気にまったくそぐわないことを考えていた。
すらっと背が高く、男らしい、きれいでたくましい体付き。茶色にそめた髪は彼の容姿によく似合っている。
「分かった」
「え?」
初めて都子が肯定的な言葉を発したからだろうか、千彰はぱっと都子を見て表情を明るくした。
「理由言ってあげる」
「ああ……」
予想していた言葉が違ったのか、千彰は幾分不満そうな表情を作ったが、すぐに気を取り直したようで黙ったまま都子の言葉を待った。
「わたし、頭悪い人って好きじゃないの。せめて普通はあってくれないとね」
「ふーん……じゃ、勉強頑張ればいい? それで解決でしょ?」
のほほんと答えを返してきた千彰は、「ついでに都子ちゃんが教えてよ」とずうずうしいことまで言ってくる。
「違う、そうじゃなくて、ああ、もう……」
これで千彰を諦めさせようとしたのに、どうやら逆効果だったようだ。
「今まで勉強嫌いだったからしてなかったけど、都子ちゃんのためならする」
「いいよ、別にしてくれなくても。だいたい勉強って自分のためにするものでしょ? 人のためにしても意味ないじゃない」
「いや、自分のためだよ。だって都子ちゃん、俺が頭よくなったら付き合ってくれるんでしょ?」
いやいや違う違う。
慌てて都子は首を振った。そう言ったのはあまりにも千彰がしつこいからで、千彰が頭がよくなったからといって付き合うとかそういうつもりは毛頭ない。
「なんだよ、約束が違うじゃん」
「約束なんかしてないってば……」
疲れる。千彰といると、心から疲れる。
大きくため息をついて前に座る男を見つめた。これだけは言わないでおこうと思っていたが、どうやら何を言っても引いてくれる気配はない。
「わたし、顔のいい男って嫌いなの」
そして、都子は最後のダメだしを千彰に向かって言い放った。
ストローを口に含んで、都子はアイスティーを飲んだ。あれから道の真ん中で押し問答を続けていたら、案の定通行人からじろじろ見られやむなくここへやってきたのだ。都子にとっては不本意この上ないが、千彰に解放してくれる気配がまったくないので仕方がない。
「都子ちゃん」
呼ばれてじぶじぶと顔を上げる。関わりたくないのなら無視するのが一番なのにそうできない自分が恨めしい。
「何」
「どーして俺と付き合うの嫌なの?」
さっきから、こればかりだ。
「だから、あなたのこと何も知らないし。嫌、とかいう以前に理由も存在しないの」
「……なんだよ。それ、なんか納得できないな」
目の前の彼はふてくされたような表情を作った。
……うーん、やっぱり顔がいいとどんな顔してもかっこいいんだよねえ……。
じっと千彰を見つめながら、都子は場の雰囲気にまったくそぐわないことを考えていた。
すらっと背が高く、男らしい、きれいでたくましい体付き。茶色にそめた髪は彼の容姿によく似合っている。
「分かった」
「え?」
初めて都子が肯定的な言葉を発したからだろうか、千彰はぱっと都子を見て表情を明るくした。
「理由言ってあげる」
「ああ……」
予想していた言葉が違ったのか、千彰は幾分不満そうな表情を作ったが、すぐに気を取り直したようで黙ったまま都子の言葉を待った。
「わたし、頭悪い人って好きじゃないの。せめて普通はあってくれないとね」
「ふーん……じゃ、勉強頑張ればいい? それで解決でしょ?」
のほほんと答えを返してきた千彰は、「ついでに都子ちゃんが教えてよ」とずうずうしいことまで言ってくる。
「違う、そうじゃなくて、ああ、もう……」
これで千彰を諦めさせようとしたのに、どうやら逆効果だったようだ。
「今まで勉強嫌いだったからしてなかったけど、都子ちゃんのためならする」
「いいよ、別にしてくれなくても。だいたい勉強って自分のためにするものでしょ? 人のためにしても意味ないじゃない」
「いや、自分のためだよ。だって都子ちゃん、俺が頭よくなったら付き合ってくれるんでしょ?」
いやいや違う違う。
慌てて都子は首を振った。そう言ったのはあまりにも千彰がしつこいからで、千彰が頭がよくなったからといって付き合うとかそういうつもりは毛頭ない。
「なんだよ、約束が違うじゃん」
「約束なんかしてないってば……」
疲れる。千彰といると、心から疲れる。
大きくため息をついて前に座る男を見つめた。これだけは言わないでおこうと思っていたが、どうやら何を言っても引いてくれる気配はない。
「わたし、顔のいい男って嫌いなの」
そして、都子は最後のダメだしを千彰に向かって言い放った。
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