1 / 1
おいしい恋の切り出し方
しおりを挟む
「・・・大人になったのかな」
帰ってきた部屋で呟いたその一言は今日の私を表しているのかもしれない。昔好きだった人。高校の時好きだった人。でも、想いを伝えることは出来ないまま卒業。それでそのまま会うことは無かった。
重ねた年月は少年を男性に、少女を女性に仕立て上げる。
私にとって恋愛を見つめるとき、そのままの形のホールケーキを思い浮かべる。このままでは食べきれない。だからこそピースに切り分ける必要が有る。
「自分の手元に来たピースを、それを私は恋と呼ぶのかもしれない」
仕事でも何でもない。無趣味の私を気遣って会社の同僚が誘ってくれたビリヤード。この時代に・・・と私はあまり乗り気ではなかったものの、付き合いもあったし、何よりも入社以来仲のいい奴だったから誘いに乗った。
までは良かった。
「もしかして」
挨拶をしてくれたとき、気が付いてしまった。彼だ、好きだった人だ。でも向こうは気が付いてない。自己紹介は軽くしたけれどそれ以上の事は聞いてこなかった。
それからそのバーへ行くようになった。何回か繰り返し会う。ビリヤードを教えて貰う。だんだん上達していく私。でも本当はそうじゃない、なんというか上手く言葉に出来ない。
「ホールケーキがピースにならない」
切り分けるべきじゃないのか?目の前のお皿を見つめる私。しばらくすると懐かしい香りがしてきた。
「これ、昔から好きでしょ」
その言葉につられて前を見ると、そこには
高校生の時、購買で売られていて、よく食べていたアップルパイを彼が持ってきてくれた。
「・・・はい、好きでした」
私は黙って出されたアップルパイを食べ始めた。
帰ってきた部屋で呟いたその一言は今日の私を表しているのかもしれない。昔好きだった人。高校の時好きだった人。でも、想いを伝えることは出来ないまま卒業。それでそのまま会うことは無かった。
重ねた年月は少年を男性に、少女を女性に仕立て上げる。
私にとって恋愛を見つめるとき、そのままの形のホールケーキを思い浮かべる。このままでは食べきれない。だからこそピースに切り分ける必要が有る。
「自分の手元に来たピースを、それを私は恋と呼ぶのかもしれない」
仕事でも何でもない。無趣味の私を気遣って会社の同僚が誘ってくれたビリヤード。この時代に・・・と私はあまり乗り気ではなかったものの、付き合いもあったし、何よりも入社以来仲のいい奴だったから誘いに乗った。
までは良かった。
「もしかして」
挨拶をしてくれたとき、気が付いてしまった。彼だ、好きだった人だ。でも向こうは気が付いてない。自己紹介は軽くしたけれどそれ以上の事は聞いてこなかった。
それからそのバーへ行くようになった。何回か繰り返し会う。ビリヤードを教えて貰う。だんだん上達していく私。でも本当はそうじゃない、なんというか上手く言葉に出来ない。
「ホールケーキがピースにならない」
切り分けるべきじゃないのか?目の前のお皿を見つめる私。しばらくすると懐かしい香りがしてきた。
「これ、昔から好きでしょ」
その言葉につられて前を見ると、そこには
高校生の時、購買で売られていて、よく食べていたアップルパイを彼が持ってきてくれた。
「・・・はい、好きでした」
私は黙って出されたアップルパイを食べ始めた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる