ネイビーブルー・カタストロフィ――誰が○○○を×したか――

４ エロ魔王に訊いてみな（その１）

「すいませーん」
　体育館の鉄扉を開いた静刻は、いきなり投げかけられた女生徒の声へと目を向ける。
　朝練が終わって後始末をしている一年生部員の手元から転がり落ちたバレーボールがてんてんと転がってきていた。
　静刻は拾い上げたボールをボーリングのように転がして返すと、続いて入ってきたギィアとともに普通教室棟へと足を向ける。
「とはいうものの……どうやって探すんだ」
　もちろん“ブルマに対してエロ妄想を持つ男子生徒”を、である。
　ギィアが“へへへ”と照れたように笑いながら答える。
「そこまでは……考えてないのです」
「なんだそりゃ」
　釣られて苦笑する静刻に赤い顔で口をとがらせる。
「つい、勢いっていうか発作的に出てきてしまったのです」
　静刻もさっきのオペレーションルームで見せたギィアの気迫に満ちた表情を思い出す。
　そして、率直な感想をギィアに伝えるでもなく、つぶやいてみる。
「アンドロイドってもっとクールなもんだと思ってた」
　独り言のつもりだったがギィアには聞こえていたらしい。
「あたしは情熱系なのです。あたしの半分は絶滅したブルマの怨念で作られているのです」
「……そうか」