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お仕置きの続きを。
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生後二日目。
蕾の中でルリナは途方にくれていた。
通常、魔力は空気中から勝手に補充され、一日で満タンになるはずだ。
しかし、蕾の中で一日中大人しくしていたのに、少量の補充しかされなかったのだ。
「なんで、どうして~?」
レグルスからたっぷり貰った魔力は、一度の転移ですっかり無くなってしまった。
生まれたてだと、魔力の容量が少ないらしい。
容量が少ないと困る。すぐ満タン、すぐ空っぽ…じゃあ、燃費が悪すぎる。
ある程度育たないと、魔力容量も増えないらしい。
「妖精族って、脆弱すぎだわ。私が育つまで、守ってくれる親鳥が必要じゃない」
ルリナの頭の中に、金髪の人間の姿が浮かんだ。生まれてから、レグルス以外の生物を見ていないのだから仕方ない。
空気中から充分な魔力を補充出来ないなら、親鳥を探すしかない。
レグルスの魔力はとても美味しかった。
……でも。
あんなに恥ずかしい気分になるのは何故だろう。
唇を触れ合うだけのキスは美味しかった。舌を絡ませて擦り合わせて、お互いの唾液を交換するキスは、もっと美味しかった。
美味しかったのに、濡れた音も恥ずかしかったし、足を開くなんて恥ずかしい。
あの時、足を開いてたら、ジンジンしびれたようにウズく秘所が見えてしまっただろう。
ルリナにはよく分からないが、本能的に見られて恥ずかしい場所があるようだ。
「恥ずかしいけど、美味しかったし、気持ち良かったし……。
レグルスに魔力貰うしかないかな」
ルリナが決心すると、蕾だった花はゆっくりと開いた。
花から出ようとして、ルリナは驚いて転がり落ちそうになった。
「池のほとりじゃない……。ここはどこ?」
どこかの建物の中なのは分かる。でもそれ以外は全く分からない。
花は鉢植えに植え替えられていた。池から移動して、この部屋におかれているのか。
鉢植えの横に、無造作に置かれたジャケットが目についた。
このジャケットは知っている。ジャケットについた香りも、知っている。
「レグルスの匂いがする……」
魔力が空っぽのルリナに、レグルスの美味しい魔力の香りは、よだれが出てしまいそう。
ふらふら飛んで、ジャケットの上に降りた。
ジャケットに顔を埋めて、甘酸っぱい香りを吸い込む。
「ん~~、足りないよぅ」
香りだけでは空腹は満たされない。
ジャケットに顔を擦り付けていると、部屋のドアが開く音がした。
ドアに目を向ける前に、ルリナの身体は温かい物に包まれていた。
「ルリナ、ルリナ、ルリナ!」
ジャケットと同じ香りがする。
レグルスの手に持っていた本が、床に落ちた。レグルスは気にすることなく、ルリナに頬をスリスリしている。
「レ、レグルス、お、落ち着いて」
レグルスの頬に身体をくっ付けるような体勢になって、少し苦しい。
金色の髪がルリナの側にあるのに気付いて、一束掴んで唇を寄せた。
甘酸っぱい魔力の味が、身体に入ってくる。
まだ、まだ、もっと足りない!
軽く髪を引っ張ると、気付いたレグルスは身体を離した。変わらず、手の平に包まれているけれど。
「魔力が欲しいんだね。たくさんあげるけど、その前にお仕置きの続きね」
「お仕置きの続き!?」
「そうだよ。まだ途中だったのに、ルリナは逃げちゃったよね。
可愛いルリナが消えてしまって、私は悲しかったよ」
しょんぼりと悲しそうな顔をするレグルスを見ると、なんだか自分が意地悪をしたような気持ちになってきた。
確かに、レグルスは魔力をたくさんくれた。親切にしてくれたのに、お礼も言わずに逃げ出したのはルリナだ。
「ごめんなさい。お仕置き……頑張るから、また魔力ください」
「ルリナはまだ初心者なのに、少し急ぎすぎた私もいけなかったね。
たくさん魔力をあげる前に、今日のお仕置きは軽めにしようね」
レグルスが怒っていないようでホッとした。魔力あげないと言われたら、困るし。
「後ろ向いて。ワンピース、上にめくるよ」
「え!……服で隠れないと、恥ずかしいよ?」
服で隠れているところは見られたら恥ずかしい……ルリナの基本知識では。
「私からは背中しか見えないから大丈夫だよ。ね?」
背中なら問題ないのかな……。
レグルスを悲しませた罪悪感から、素直に後ろを向いた。
「羽が透き通ってて可愛いね」
繊細な見た目の羽は、一見透明で、光に透けると薄ピンク色だ。
触れると、ルリナの身体がビクリと震える。感覚があるらしい。固そうに見えて意外と柔らかく、シナリがある。
指先で撫でてから、美しい羽に唇を寄せた。
「ん……っ」
小さく声が漏れる。
これは………ルリナの可愛い姿をたくさん見られそうだ。
レグルスは期待に胸を高鳴らせ、ペロリと舌を出した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
次回、羽! 羽!
明日は8時と17時、二回更新予定です。
蕾の中でルリナは途方にくれていた。
通常、魔力は空気中から勝手に補充され、一日で満タンになるはずだ。
しかし、蕾の中で一日中大人しくしていたのに、少量の補充しかされなかったのだ。
「なんで、どうして~?」
レグルスからたっぷり貰った魔力は、一度の転移ですっかり無くなってしまった。
生まれたてだと、魔力の容量が少ないらしい。
容量が少ないと困る。すぐ満タン、すぐ空っぽ…じゃあ、燃費が悪すぎる。
ある程度育たないと、魔力容量も増えないらしい。
「妖精族って、脆弱すぎだわ。私が育つまで、守ってくれる親鳥が必要じゃない」
ルリナの頭の中に、金髪の人間の姿が浮かんだ。生まれてから、レグルス以外の生物を見ていないのだから仕方ない。
空気中から充分な魔力を補充出来ないなら、親鳥を探すしかない。
レグルスの魔力はとても美味しかった。
……でも。
あんなに恥ずかしい気分になるのは何故だろう。
唇を触れ合うだけのキスは美味しかった。舌を絡ませて擦り合わせて、お互いの唾液を交換するキスは、もっと美味しかった。
美味しかったのに、濡れた音も恥ずかしかったし、足を開くなんて恥ずかしい。
あの時、足を開いてたら、ジンジンしびれたようにウズく秘所が見えてしまっただろう。
ルリナにはよく分からないが、本能的に見られて恥ずかしい場所があるようだ。
「恥ずかしいけど、美味しかったし、気持ち良かったし……。
レグルスに魔力貰うしかないかな」
ルリナが決心すると、蕾だった花はゆっくりと開いた。
花から出ようとして、ルリナは驚いて転がり落ちそうになった。
「池のほとりじゃない……。ここはどこ?」
どこかの建物の中なのは分かる。でもそれ以外は全く分からない。
花は鉢植えに植え替えられていた。池から移動して、この部屋におかれているのか。
鉢植えの横に、無造作に置かれたジャケットが目についた。
このジャケットは知っている。ジャケットについた香りも、知っている。
「レグルスの匂いがする……」
魔力が空っぽのルリナに、レグルスの美味しい魔力の香りは、よだれが出てしまいそう。
ふらふら飛んで、ジャケットの上に降りた。
ジャケットに顔を埋めて、甘酸っぱい香りを吸い込む。
「ん~~、足りないよぅ」
香りだけでは空腹は満たされない。
ジャケットに顔を擦り付けていると、部屋のドアが開く音がした。
ドアに目を向ける前に、ルリナの身体は温かい物に包まれていた。
「ルリナ、ルリナ、ルリナ!」
ジャケットと同じ香りがする。
レグルスの手に持っていた本が、床に落ちた。レグルスは気にすることなく、ルリナに頬をスリスリしている。
「レ、レグルス、お、落ち着いて」
レグルスの頬に身体をくっ付けるような体勢になって、少し苦しい。
金色の髪がルリナの側にあるのに気付いて、一束掴んで唇を寄せた。
甘酸っぱい魔力の味が、身体に入ってくる。
まだ、まだ、もっと足りない!
軽く髪を引っ張ると、気付いたレグルスは身体を離した。変わらず、手の平に包まれているけれど。
「魔力が欲しいんだね。たくさんあげるけど、その前にお仕置きの続きね」
「お仕置きの続き!?」
「そうだよ。まだ途中だったのに、ルリナは逃げちゃったよね。
可愛いルリナが消えてしまって、私は悲しかったよ」
しょんぼりと悲しそうな顔をするレグルスを見ると、なんだか自分が意地悪をしたような気持ちになってきた。
確かに、レグルスは魔力をたくさんくれた。親切にしてくれたのに、お礼も言わずに逃げ出したのはルリナだ。
「ごめんなさい。お仕置き……頑張るから、また魔力ください」
「ルリナはまだ初心者なのに、少し急ぎすぎた私もいけなかったね。
たくさん魔力をあげる前に、今日のお仕置きは軽めにしようね」
レグルスが怒っていないようでホッとした。魔力あげないと言われたら、困るし。
「後ろ向いて。ワンピース、上にめくるよ」
「え!……服で隠れないと、恥ずかしいよ?」
服で隠れているところは見られたら恥ずかしい……ルリナの基本知識では。
「私からは背中しか見えないから大丈夫だよ。ね?」
背中なら問題ないのかな……。
レグルスを悲しませた罪悪感から、素直に後ろを向いた。
「羽が透き通ってて可愛いね」
繊細な見た目の羽は、一見透明で、光に透けると薄ピンク色だ。
触れると、ルリナの身体がビクリと震える。感覚があるらしい。固そうに見えて意外と柔らかく、シナリがある。
指先で撫でてから、美しい羽に唇を寄せた。
「ん……っ」
小さく声が漏れる。
これは………ルリナの可愛い姿をたくさん見られそうだ。
レグルスは期待に胸を高鳴らせ、ペロリと舌を出した。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※
次回、羽! 羽!
明日は8時と17時、二回更新予定です。
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