妖精を舐めてはいけません

りんご飴

文字の大きさ
8 / 30

悪戯は、甘くてスパイシー。

しおりを挟む
 執務室のドアに張った結界に、何か引っ掛かった。
 誰かがドアを叩いたのだ。誰かはだいたい予想がつく。
 レグルスはため息を吐いてドアに向かった。
 まだ眠っているルリナを起こさないように、静かに部屋を出る。
 ドアを叩いたのは、予想通りだった。

「よう、レグルス。さっきぶりだな」

 自称親友の副騎士団長オスカーだ。

「陛下がお呼びだ」

「…………分かった」

 断る事が出来ないなら、早く終わらせるしかない。
 ルリナが起きる前に、仕事を終わらせて戻る! そう決めて、レグルスは足早に王城へ向かった。





「いつものレグルス……じゃぁないな」

 陛下の呼び出しだと言うのに、思い切り嫌そうな顔をしていた。仕事を淡々とこなすタイプなのに、珍しい。
 いつも冷たい表情のレグルスが、今日は少しおかしい。
 女達も怒鳴られたと言っていた。何か悩みでもあるのだろうか。
 今も。あんなに苛立って急いでいた。
 執務室を離れたくないのか……?

「親友だからな。確かめて、力になってやらないとな」

 レグルスの執務室のドアには結界がある。女達が勝手に入らないようにだ。エリート魔術師の結界だ。通常、無断で入れる者はいない。
 しかし仕事で必要ならば……と、抜け道が用意されている。

 首から下げた自分の騎士プレートをドアに付けると、カチャリと鍵の開く音がした。

「親友特権に感謝……だな」







「ん……っ」

 息苦しさにルリナは目を覚ました。

 目を開けると、目の前に知らない人間がルリナに覆い被さっていた。
 赤茶色の髪をした、大きな男だ。

「えっ? 誰? レグルスは…っ」

 レグルスはどこ、と言う前に、男はルリナの唇をパクりと食べた。
 男の口にふさがれたまま、舌で唇をなぞられる。

「ん………っ、んんん……っ」

 舌の感触にぞくぞくしながら、男の背中をバンバン叩く。少し唇が離された隙に、止めてと言おうとした瞬間。
 男の舌が唇の隙間をこじ開けた。ぬるりと口内に舌が侵入する。
 レグルスより大きくて肉厚な舌が、ルリナの舌を絡めとり、強く吸われる。

「んんぅ!」

 強く吸われた舌に軽く歯をたてられて、恐怖に涙が溢れた。
 男はルリナの髪を撫で、今度は噛んだ舌を男の舌で撫でるように、擦り合わせた。
 レグルスとのキスも、こうされるのが好きだ。舌の感触が気持ちいい。レグルスにされる時と同じく、甘い声が漏れる。

「ふぅん……っん……もっとぉ」

 気持ち良さに頭が痺れ、キスの催促をしてしまう。
 レグルスのキスは甘酸っぱくて、とろけるほど美味しい。
 男のキスは甘いのに少しスパイシーで、悪くない。……癖になりそうな味。

「ヤバいな。お前、可愛すぎる……」

 もう一度深く口付けて大きな舌がルリナの口内を犯す。舌先で歯列をなぞられ、上顎を擽られ、最後に舌を絡めて、ようやく唇が離れた。二人の間に銀の糸がのびる。

「お前、レグルスの恋人か?」

「……恋、人……?」

 聞き返した言葉をどう受け取ったのか分からないが、男はチッと舌打ちした。

「名前は?」

「ルリナ」

 キスの余韻で頭がボーッとする。身体に力が入らない。

「ルリナか……。レグルス以外の男と、こんなキスをして……ルリナは悪い子だな」

 言いながら、何度もルリナの顔中にキスが止まらない。

「レグルスにバレたら、怒られるぞ。お仕置き……じゃあ済まないだろうな」

「……怒る?」

 レグルスに怒られるのは嫌だ。
 怒って、嫌われて、もう魔力をもらえなかったらどうしよう。
 レグルスの美味しいキスを、してもらえなくなる……?

「……やだぁ。そんなの、やだぁ……っ」

 レグルスに嫌われるかと思うと、涙が溢れる。

「……黙っておいてやろうか?」

 耳を啄みながら、男は言った。

「レグルスにバレなければ、怒られないだろ」

 バレなければ、怒られない?
 本当に?
 またキスして魔力をたくさん貰える?

「……い、言わないでぇ。レグルスに、言わないでぇ」

「分かった。言わない。……ただし条件がある」

 男の話に何度も頷いた。内緒にしてくれるなら、何でもする。

「ルリナの身体を触らせてくれ。そしたら、レグルスに内緒にしてやるよ」

 ルリナは何度も頷く。
 身体に触るくらいで内緒にしてくれるなら。
 男の大きな手が、ルリナの胸の膨らみを撫でた。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※

オスカーさんのターン続きます。
悪い男だ。 
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...