妖精を舐めてはいけません

りんご飴

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一番美味しい彼。

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「お前の顔、ヤバイぞ」

 オスカーは食後の紅茶を飲みながら、レグルスに言った。
 ここ数日、親友の様子がヤバイ。

 綺麗な顔は日に日に隈が酷くなり、さらさらの金髪はキューティクルが消えて、ちょこんと寝癖までついている。
 仕事にも支障がでているようで、昨日は城の門に結界を張ろうとして、うっかり氷漬けにした。
 以前は完璧主義で堅物なイメージがあったのに、最近のレグルスは隙だらけだ。

「そのバスケット、なんでいつも持ち歩いてんだ? 昨日アルタイルの奴に聞かれたぞ」

 アルタイル第二王子。
 何かと昔から腐れ縁で、王子という立場だというのに、オスカーのマブダチだ。
 アルタイル王子はレグルスに何か信教めいたものを持っていて、絶大の信頼を向けている。
 レグルスは鬱陶しがって、苦手意識を持っているようだが。
 
「バスケットの中、何が入ってんだ」

「私の命だ」

 ヤバイな。
 ついにヤバイことを言うようになってしまったか。

 レグルスがポンコツになった原因は分かっている。
 失恋だ。
 絶世の美少女にフラれてから、おかしくなった。
 あれだけの美少女だ。気持ちは分かる。

 少女に少し悪戯しただけで、オスカーもハマってしまった。
 別れたならモノにしようと少女を探しているが、残念ながら見つからない。







 ルリナは妖精の花の中にいた。

 ぎゅっと身体を丸めて、コロンと寝転がりながら、一生懸命考えていた。

 ルリナの身体は自然に魔力を補給されない。ということは『契約』が成立したということだ。
 契約者はレグルス。
 レグルスから魔力を補給してもらわないと、ルリナの魔力は生命維持に必要な程度しか、自然から吸収されない。

「レグルスは契約のこと、知ってるのかな……」

 レグルスの魔力は美味しいし、魔力量も豊富で、契約者として申し分ない。
 脆弱な生まれたてのルリナの親鳥として、最適な相手だと思う。

「でも、レグルスに嫌われちゃったかも……」

 赤茶色の髪の男とキスをした。
 濃厚なキスは気持ち良くて、魔力は甘くてスパイシー。胸の突起を弄られて……そんなところが気持ちいいなんて、知らなかった。
 それに……。
 自分の下半身に目を向ける。
 ルリナはさらに丸まって、顔を隠した。
 ここを舐められるなんて。
 何だか物凄く恥ずかしい。頭が変になるほどの刺激だった。

「気持ち良かったけど、レグルスに知られたら……嫌われちゃう。
 ……どうしよう。気まずくてレグルスの顔が見れないよぅ」

 レグルス以外の男の人と、キスも気持ちいいこともしてしまった。
 こんな妖精族とは契約破棄すると言われたら……。
 レグルスより美味しい魔力なんてあるのだろうか。
 赤茶色の男も美味しかったけど、レグルスの方が味も量も上だった。

「うぬぬぬぅ~」

 内緒にすると、気まずい。
 内緒にしないと、嫌われちゃう。

 難しい問題だ。


 丸まっていた身体から力を抜いて、ダラリと手足を投げ出す。
 身体が重い。
 魔力を全然使っていないのに、いつの間にか空っぽになっていた。

「レグルスの魔力欲しいな。美味しいの欲しいよ」

 気まずいとか言っていたら、ずっとこのままだ。

「レグルスぅ~~」

 甘酸っぱい魔力が欲しい。
 美味しくて、気持ちいいキスが欲しい。

「……よし。行こう!」

 蕾はゆっくりと開いた。




 蕾が開くと、真っ暗だった。
 レグルスの匂いがするから、レグルスの部屋だろうか。
 キョロキョロと見回すと、近くにベッドがあった。誰か寝ているようだ。
 見えないけれど、いい匂いがするから分かる。
 レグルスだ。

 ルリナはふらふらと飛んで、枕元に下りた。
 さらさらの髪を一束すくって口付けようとした時、ルリナは捕まった。
 気がつくと手のひらの中にいた。

「ルリナ!」

 ぎゅっと優しく閉じ込められ、ルリナの身体は、レグルスの頬に押し付けられる。
 甘酸っぱい、いい匂いがする。

「レグルス落ち着いて? ね?」

 デジャヴを感じながら、レグルスの頬を撫でて落ち着かせようとする。

「ルリナ!ルリナ!ルリナ!
 本当にルリナだよね? 夢じゃないよね?」

「……夢じゃないと思うよ」

 夢じゃないことを確かめる為か、指先でペタペタと身体を触ってくる。擽ったくて身体をよじると、髪を撫でることに切り替えてくれた。

「…………ルリナは、私が嫌いになった?」

 急に、生暖かい水滴が降って来た。

「え? レグルス、泣いてるの?」

 レグルスの瞳から、涙が流れている。ワンピースに涙がしみて、すぐにびちょびちょになってしまった。

「私が勝手に契約したから、怒って嫌われたかと……。だから10日も花から出て来なかったのかと……」

「10日?」

 ……あれ。そんなに花の中にいたっけ?
 通りで魔力空っぽになるわけだ。

「考え事をしてたの。そんなに時間たってるなんて、知らなかった……」

「私と契約したこと、嫌じゃないの?」

 嫌じゃないよ。
 ずっと考えてたこと、言わないと。気まずいも、嫌われるのも、嫌だから。

「あのね。……私、レグルスに内緒のことがあるよ。……そんな妖精族と契約なんて、レグルスこそ嫌じゃない?」

「ルリナが側にいてくれるなら、何だっていい。
 ルリナが大好きなんだ」

 内緒があってもレグルスは嫌いにならない……。
 10日も悩んだのに。
 何だか可笑しくなって笑った。
 レグルスの目元の涙をペロリと舐める。

「ねぇ、レグルス。魔力ちょうだい」

 レグルスの大きな舌が頬を舐める。その舌先に吸い付いて、魔力をもらった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※

次はラブえっち?

読んでくれる方が増えて感謝です!
あと半分くらいなので、お付き合い下さい!

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