俺に取り憑いた幽霊が同級生を求めて困る

ことりさん

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呑気に通学していたら事故に遭った

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 午前八時十分ちょい過ぎ、いつもと変わらない朝だった。
 高校二年生の土岐暁生土岐暁生ときあきおは、シャンプーしたての髪の毛を風に靡かせながら、自転車を走らせていた。
 
 次の角を曲がれば、校門が遠くに見えてくる。
 ホームルームにはまだ時間に余裕があったから、スピードを緩め蛇行運転ぎみになる。暁夫は、頭上の桜並木が蕾を付け始めたことを呑気に観察したりしている。

(春の匂い、だなあ)

 
 
 暁生の乗る自転車は、すらりと伸びた手足が操作するには小さすぎる代物だった。それも仕方ない。この自転車は、去年同校を卒業した姉のお下がりだ。ブレーキの効きが悪くなっている不良品だったが、暁生は、足で止めるから、と気にもせずに乗っている。
 レモン色のフレームにバスケットの付いたラブリーな自転車は、立てば百八十センチはある長身の暁生が乗るには無理があった。とはいえ、顔だけは可愛い男子学生の暁夫がガニ股で自転車を漕ぐ姿を周囲は放っておくはずがない。


「キャー、なにアレ~めちゃ可愛いんだけど」


「えええ、ウケる! 土岐くんじゃん」


「土岐くーん、乗っけてー」


 通学路で追い越す女子から気さくに声を掛けられる。声を掛けてくれるならまだ反応できるが、中には通り過ぎた後に爆笑されることもあり、このときはさすがの暁生も気恥かしい。



 暁生の、オトガイをくい、と上に向けたときの首筋のラインが、繊細である。

(今日も平和だなあ)
 欠伸を一つして、角を曲がる。

 そのまま校門を通り、先生やクラスメイトに挨拶をして今日も一日、退屈な授業を受けるはずだった。
 しかし、この日、暁生には普通の一日がやって来なかった。



「ププーーーーーー!!!」

――キュキーーーーーッ。

「ッ!」




 車のクラクションの音だと、認識はできた。
 突然のことで、完全に油断し切った暁生の体は瞬時になど反応できなかった。全身がびくつき、思わず自転車を足で止めようとしたことだけは覚えている。

 次の瞬間、目の前が真っ白になった。
 暁生はそのまま意識を失った――。






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