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16歳、やり直し
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「かえっ…た…?
ちゃんとお引止めしたのよね?」
コンスタンスに尋ねられた門番は、緊張した面持ちで大きく頷いた。
「はい、はっきりとお伝え致しました。
しかし侯爵様は『ご遠慮申し上げる』とおっしゃられて…」
「…そう…。帰ってしまったの…」
コンスタンスはそう呟くと、視線を下に落とした。
花が届かなくなって一週間。
だがオレリアンは毎日遠回りして、ルーデル公爵邸の前を通って帰宅していた。
だからそこで引止めてコンスタンスが会いたがっていると門番に告げさせたのに、オレリアンは寄らずに帰ってしまったと言う。
(謝りたかったのに…)
漸く周りが見え始めたコンスタンスは、ここ2ヶ月余りの自分の言動があまりにも酷いものに思えた。
だからせめて、今までお礼の言葉をかけなかったことだけでも謝罪したいと思ったのだが。
(明日も声をかけてもらおう)
そう思ったのだが、翌日からオレリアンは公爵邸前を通ることさえやめてしまった。
仕事を終えると真っ直ぐヒース侯爵邸に帰るようになったのである。
(まぁ、それはそうよね…)
コンスタンスは誰に言うでもなく、独り言ちた。
2ヶ月もの間花を贈り続けた夫の存在を無視していたのに、花が届かなくなった途端に思い出したように『会いたい』だなんて、我ながら虫が良すぎると思う。
見限られても仕方がない。
リアは、オレリアンはそんな人間ではないと言うが、それではあまりにも人が良すぎるだろう。
思えば、婚約解消になった令嬢などキズモノ同然なのに、それをヒース侯爵はもらってくれたのだ。
王命で嫁を充てがわれたなんて、なんて気の毒な方なのだろう。
一方王宮から自邸に直帰する主人を、ダレルは胡乱な目で眺めていた。
花を贈らなくなって10日、ルーデル公爵邸に寄らなくなってすでに3日過ぎている。
あの日オレリアンは、
『コニーは俺の名前を聞いた後、頭痛を起こしたらしい。
しばらく花を贈るのはやめるよ』
と淋しそうに笑った。
それでも少しでも近くに居たかったのか、仕事帰りに公爵邸の前を通るのはやめなかったが、門番に声をかけられて以来、それさえもやめてしまった。
やっとコンスタンスが会う気になってくれたというのに、今度はオレリアンが尻込みしたのだ。
『俺が贈ったリボンの話題だけで頭痛を起こしたんだぞ?
俺の顔を見て倒れたりしたらどうする?』
それがオレリアンなりの会わない理由だ。
本当に難儀な主人だと、ダレルは思う。
『コニーが俺を忘れているならまた一からやり直せばいいと思っていた。
だが…、そう簡単に行くものではないな』
そう付け加えた主人の顔が忘れられない。
彼はきっと怖いのだ。
自分を忘れてしまった妻と会って現実と向き合うのが。
そして、自分を見て妻が壊れてしまうかもしれないということが。
(臆病な人だ…)
ダレルは気の毒そうに主人を見た。
騎士としては勇猛で、武功を挙げて出世してきた主人だが、こと妻のことになると途端に臆病になる。
そのくらい、彼にとっては大事な人なのだろう。
なんとかしてやりたいが、こればかりは夫婦の問題だ。
ダレルは主人の後ろ姿を見ながらため息をついた。
ちゃんとお引止めしたのよね?」
コンスタンスに尋ねられた門番は、緊張した面持ちで大きく頷いた。
「はい、はっきりとお伝え致しました。
しかし侯爵様は『ご遠慮申し上げる』とおっしゃられて…」
「…そう…。帰ってしまったの…」
コンスタンスはそう呟くと、視線を下に落とした。
花が届かなくなって一週間。
だがオレリアンは毎日遠回りして、ルーデル公爵邸の前を通って帰宅していた。
だからそこで引止めてコンスタンスが会いたがっていると門番に告げさせたのに、オレリアンは寄らずに帰ってしまったと言う。
(謝りたかったのに…)
漸く周りが見え始めたコンスタンスは、ここ2ヶ月余りの自分の言動があまりにも酷いものに思えた。
だからせめて、今までお礼の言葉をかけなかったことだけでも謝罪したいと思ったのだが。
(明日も声をかけてもらおう)
そう思ったのだが、翌日からオレリアンは公爵邸前を通ることさえやめてしまった。
仕事を終えると真っ直ぐヒース侯爵邸に帰るようになったのである。
(まぁ、それはそうよね…)
コンスタンスは誰に言うでもなく、独り言ちた。
2ヶ月もの間花を贈り続けた夫の存在を無視していたのに、花が届かなくなった途端に思い出したように『会いたい』だなんて、我ながら虫が良すぎると思う。
見限られても仕方がない。
リアは、オレリアンはそんな人間ではないと言うが、それではあまりにも人が良すぎるだろう。
思えば、婚約解消になった令嬢などキズモノ同然なのに、それをヒース侯爵はもらってくれたのだ。
王命で嫁を充てがわれたなんて、なんて気の毒な方なのだろう。
一方王宮から自邸に直帰する主人を、ダレルは胡乱な目で眺めていた。
花を贈らなくなって10日、ルーデル公爵邸に寄らなくなってすでに3日過ぎている。
あの日オレリアンは、
『コニーは俺の名前を聞いた後、頭痛を起こしたらしい。
しばらく花を贈るのはやめるよ』
と淋しそうに笑った。
それでも少しでも近くに居たかったのか、仕事帰りに公爵邸の前を通るのはやめなかったが、門番に声をかけられて以来、それさえもやめてしまった。
やっとコンスタンスが会う気になってくれたというのに、今度はオレリアンが尻込みしたのだ。
『俺が贈ったリボンの話題だけで頭痛を起こしたんだぞ?
俺の顔を見て倒れたりしたらどうする?』
それがオレリアンなりの会わない理由だ。
本当に難儀な主人だと、ダレルは思う。
『コニーが俺を忘れているならまた一からやり直せばいいと思っていた。
だが…、そう簡単に行くものではないな』
そう付け加えた主人の顔が忘れられない。
彼はきっと怖いのだ。
自分を忘れてしまった妻と会って現実と向き合うのが。
そして、自分を見て妻が壊れてしまうかもしれないということが。
(臆病な人だ…)
ダレルは気の毒そうに主人を見た。
騎士としては勇猛で、武功を挙げて出世してきた主人だが、こと妻のことになると途端に臆病になる。
そのくらい、彼にとっては大事な人なのだろう。
なんとかしてやりたいが、こればかりは夫婦の問題だ。
ダレルは主人の後ろ姿を見ながらため息をついた。
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