神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります

始まり〜シイ村

ここは鍛錬場か

最初に案内されたトイレを見て、彼らは驚くのをやめようと思った。
驚きすぎてショック死するか、驚きすぎ疲れて過労死するかどっちかしかない気がしたからだ。

バカになろう。

村人全員バカだ。
そして俺たちもバカになろう。
それが幸せなんだ。

ギルマス達はアルカイックスマイルを手に入れた！

トイレ。
綺麗でどこからか良い匂いがする。
もちろん私が好きな金木犀の芳香剤です。
トイレといったら金木犀。
日本の小学校の七不思議。

もちろん水洗。
ウォシュレットでビデがある。
初心者は使わない方が安全だよね。

いきなりお尻にお水がかかったら心臓が跳ねますわ。
驚いて立ち上がれば服が濡れますわ。
ちょっと阿鼻叫喚になっちゃったよね。
ギルマスなんて剣の柄に手を置いてめちゃくちゃ警戒しちゃってる。
一応事前に説明はしたけれどもこの有様。

ここに敵はおりませーん！！！

トイレだけで結構時間がかかってしまいましたが、次は大浴場へ。

女湯、男湯、ファミリー個室。

「村に大浴場は普通ないよね」

アルカイックスマイルでギルマススタッフさんが呟き、その声を拾ったみんなは首肯した。

常に稼働している乾燥機は天井から暖かい風が出ている。
初めて見るドライヤー、デカい鏡に綿棒、ヘアゴム。
無料で使いたい放題。
といっても今後来るであろう宿泊者には宿泊費にこういった物の使用料も含まれるよ。
でも全部私が魔法で出してるから無料だ。
仕入れ原価ゼロ円！！！

個人ロッカーも魔力でロック。
コインで使用できるマッサージチェア。
瓶牛乳の自動販売機。

使い心地は後ほどお確かめください。ということで、宿泊施設の案内は食堂やテラス、あとやっぱりこちらにも卓球場を作っちゃいました。
触りたそうにしてたけど、いちいち触ってたら日が暮れそうだし、案内係の彼もマニュアル通りに次はこちらですーってさっさと次へ移っていた。
ナイスやで！

村を知ってもらいたいので、村の裏側も案内。

畑や工作班と、手芸班、それぞれのアトリエ。
手芸班、まだ1人しかいないけどね、アトリエは後のこと考えて広く作ってあるよ。
厩と馬車格納庫。

「立派な馬だな！
　普通の村にいる家畜は馬じゃなくて牛とか羊とかだけどな！」

ははははは

みんなでアルカイックスマイルでの笑い。
ちょっと不気味。

商会長さんは馬車の全く揺れない仕組みが知りたくて馬車を下から覗こうと一所懸命腰を折ってて、挙動不審極まりなかった。

見たいなら見たいって言って堂々と見てくれたら良いのに。
と思うんだけど、そういうのは大概企業秘密だから教えてくださいってお願いしても教えてもらえないんだよね。
だから彼みたいにこっそり覗こうとするんだけど、金払ってくれるなら、教えてもいいんだよ？
でもここまで完璧に揺れを抑えられるのはやっぱり私の魔法なんで、全く同じものは他人には作れませんけど。

喋っちゃいけないので唇をかたくかたーく閉じるのを頑張った。

エンもそうだけど、村人みんなも私のストッパーになっちゃって、私が何かやらかしそうになると良いタイミングでツッコミが入るようになったんだよね。
恐るべし、村人の成長。

「こちら何の変哲もない柵ですが、シイ様の柵ですので、壊れることもありませんし、結界が張られて外部からの攻撃から村全体を守ってくれていますので、安心して生活ができます」

「嘘みたいだけどシイ様なら、うん」

謎の一体感で、妖精ならできるよね、と納得していた。

そしてカラフル遊具へ到着。
すでに子ども達が遊んでいた。

あれ？増えてない？？
増えてて良いんだけど、子ども部屋改造しなきゃダメなんだからそれはちゃんと伝えて欲しいなぁ

部屋改造はあとでやるとして、遊具だ。
もう順応性の高い子ども達は遊具を使いこなして遊んでいる。
楽しそうだ。
やっぱり子どもはたくさん遊んでたくさん笑顔でいてもらいたい。

「ほぉ、あのように使うのですね」
「俺たちもできるだろうか」

「ええ、是非ご自由にお使いください。
　使い方は子ども達に訊くとわかりやすいと思います」

訊いてもいいし、見よう見まねでやってもいいし。

「壊れることはありませんので思いっきりどうぞ」

ブランコ以外は初めての遊具に、大人なのに大興奮のみなさんは、昼食に呼ばれるまでずっと子ども達と競い合うように遊んだ。

ギルマスは高い身体能力を使ってロープウェイの推力を使って前へ飛び出してくるくる回転してかっこよく着地を決めていて、子ども達に喜ばれていた。
兵たちと模擬剣で、飛び石を使って鍛錬したり、通常の遊具とは違う使い方も考えて思い思いに遊具で遊んでいた。

「良い鍛錬場になるな！」

子どもの遊び場なんだけど、鍛錬場として認識されてしまった。