召喚されし者からの溺愛

最下位は一番最後です

ついに、僕の最後の希望である召喚魔法の授業になりました。
僕の順番は一番最後の最下位のローウィズです。


「それでは成績第一位のパトリック・ウェンデル、前へ」

「はい」

金色の眩い髪をゆったりと三つ編みにした長身の人物が魔法陣の中心に立つ。

パトリック・ウェンデル、公爵家の次男で将来は王宮の要職、はたまた王立研究所の所長候補とまで言われている貴族にして成績優秀者だ。
僕とは対局にいる人物で間違いない

ちなみに僕はと言うと、黒目黒髪の珍しいといえばここまで黒いのは珍しいと言える髪と瞳をしている。

ホントに何から何まで対局だ。

ウェンデルは貴族にも平民にも知人友人が多く、教師陣にも覚え目出度い。

僕は仲良くする価値もないのか、誰も声を＿＿＿いや、悪口は言われてるけど＿＿＿かけてくる者はいない。
ここ半年でまともに会話したのは食堂のおばさんに「ありがとう」と言ったことくらいだろう。
担任すら僕を避けてるように感じ＿＿＿いけない、悪い事を考えてたら悪いことが起きる。
これも尊敬するルルーディア様の教えだ。

この召喚魔法はきっと成功する。
それも類を見ない大成功だ。
間違いない、全魔力を掛けたって良い。


僕は魔力を練るイメージを高めていく。

そこへ、完成が湧いた。


「凄いぞっ！！ドラゴンだ！！緑色、グリーン・ドラゴン、A級クラスだ！！」

見るとウェンデルの側にウェンデルよりも一回り大きいサイズの緑色のドラゴンが頭を垂れていた。

艷やかな緑の鱗にウェンデルの金の髪が映える。

召喚された魔物にはEからA、S、SS級とクラスが別れている。
SS級は神話級と呼ばれ召喚されたのはここ数百年無い。
それこそルルーディア様でさえも無いという。

A級は国家単位の討伐隊が結成されるほどの力があるという。
そんな魔物の力を使役できる彼の人生は今後きっと安泰だろう。
家柄、成績、実力、何を取っても敵うことはない。

妬みを通り越して、憧れを抱く。
あんな風になれれば良かったのに、と。
叶わない夢を抱く。


ぼんやりしている間に次々と魔物を召喚していく生徒たち。



そして、ついに僕の番が来た。