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1章
7、服を買うよ
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ルシーフェに食事をご馳走になり、異世界料理も美味しく食べられる事がわかったコウジは満足して喫茶店を出た。
勿論隣にはルシーフェがいるし、何気にまた肩を抱かれている。
動きにくくて仕方ないのだけれど、なんだか自然に抱かれてしまい、離してもらうタイミングを逸してしまってコウジはどうしようかと思っていた。
「コウジ、これからどうしたい?この街には詳しいから案内するよ」
ルシーフェはそう言いながら耳元で話してくる。
やめて欲しい、切実にやめて欲しい。
何気に声も良いし、顔だけじゃ無いのがイケメンがイケメンたる所以なのかもしれない。
「実はこの街に来て直ぐにお世話になった店があって、そこに行きたいんだけれど」
「そうか、ではまずはそこへ行こう」
俺は商業ギルドのことを教えてくれた店へと向かう。
確か、入町検査から出た建物からそう離れていなかったはずだ。
思い出しながら歩き出す。
もうルシーフェの手が肩を抱いていることは気にしない事にした。
話せと言い出せない自分の勇気の無さにちょっと自己嫌悪と諦めを感じる。
歩いてきた道を戻ると、お目当ての店を見つけたので早速入る。
「こんにちはー」
堂々と店に入る、今度はお金持ってるからな!お客様としてきちんと買い物が出来る。
「おお、おおいらっしゃいませ!・・・って先程の子じゃないか」
店に入ると店主がびっくりした顔で出迎えてくれた。
「さっきはありがとうございました!お陰で商業ギルドで素材を買い取って貰えたんです!それで服を買いたくて来たんですけど」
「そうかい!そりゃ律儀にありがとうな!・・・それでお兄さんたちと戻ってきてくれたのかい?」
「え!あ、この人たちは俺の兄ではなく」
店に一緒に入った隣のルシーフェと付き人や護衛たちを家族だと思ったらしい。
「私はルシーフェというしがない商人で後ろの者たちは私の護衛だ。この彼とは商業ギルドで縁あって親しくなってね、町の案内を買って出た所こちらで世話になったというので是非寄らせてもらおうと」
「ええっ!あの商人のルシーフェ様ですかっ!・・・そんな有名な商人様に寄っていただけるなんて光栄です!」
店主の言葉にコウジは再度納得する。
商業ギルドの対応だけでなく、商店でも名がしれている商人ということは、ルシーフェはかなりの大商人なのだろう。
俺は知っている。
こういうパターンでは大物には関わるとまず間違いなく事件とかに巻き込まれてなし崩しに権力者とかに取り込まれて、勇者様とか大賢者様とか言われて何かと用事を押し付けられるという先の先の先の展開が待っているということを。
なにも勇者と言われたくないとか、大賢者として活躍したくないとか、そういうのではないのだけれど、コウジは自分が頭の良くない人間であることを自覚している自覚があるし、実際そうだ。
政なんて微塵も分からないし、駆け引きなんてさっぱり理解できない。
現代知識も怪しいなんちゃって知識しかないのでそういうチート活動もできない。
能力を使ってうまく物事を運べるとも思えないし、行き当たりばったりが多いのでゲームだって進めて行っていると詰む事がしばしばで投げ出してしまうこともあった。
そんな自分が大事に巻き込まれれてもはっきり言って責任取れないのだ!!いやだ責任取りたくない!!
コウジはこの店を出た後は出来うる限りルシーフェと仲良くならず、無難に時間を潰して商業ギルドに向かい残金を受け取ってさよならするのが一番だと早々に結論づけた。
「ウチはあちらに置いてある既製品の服、そしてこちらの誂えようの生地を置いております。誂えは2パターンあり、既製服を手直しする簡単なパターンと、生地選び一から裁断し仮縫いし体に合わせて作っていく、所謂フルオーダーのものです」
「あ、普通に町で過ごす服が欲しいので、既製品のものを何着かください」
「普段使いするならこの生地の服が丈夫です。細部に装飾が施されていてちょっとした店でも浮かないですよ」
ルシーフェの知り合いという扱いになったのか、店主のおじさんはすっかり俺に対して丁寧に対応し始めた。
うーん、やっぱりファンタジー世界では立場とか身分とかでかなり扱いが変わるものなんだな。
ほぼ平等な世界で生活してきた自分がこの身分社会のありそうな世界で対応していけるのだろうか?
ちょっと不安になる。
・・・分かれる前にルシーフェに聞けることは聞いておこうか?
最低限やっちゃまずい事とか聞くのは、親しくなる行動枠には当てはまらないだろう。
勝手にそう結論づけてコウジは言った。
「その服を試着してもいいですか?」
店主はコウジのサイズを測ると、一着取り出し試着スペースへと案内した。
試着してみると悪くなく、そのまま着ても問題ない感じだったので着たまま出る。
「素晴らしく赤がお似合いですよ。サイズも手直し無しで大丈夫そうです。実はこの刺繍柄は妻が考えた図案でして「良い出会い」があればと思いながら考えたと話していました。人もですが、良い品に出会うのは日常を潤わせるものですからね」
「へぇ、そうなんですか。良いですね!良い品か・・・じゃあ、早速出会いましたね。この服を色違いであるだけください」
「おお!ありがとうございます!色違いは全部で4色です」
図案も気に入り、俺は赤、緑、黒、青色の4着とそれに合わせたズボンを購入した。
お金には余裕があるので気前よくぽんっと支払う。
会計を済ませ、荷物を受け取るときに俺はちょっとした失敗をしてしまった。
俺はアイテムボックスの能力を隠す為にわざわざあの金色毛のときは懐に忍ばせたふりをして出していた。
つまりは入れるものが無いという体だったのだ。
たった今服4着を購入しました。
荷物を入れる袋はありません。
店主に聞くも、大量買いの客は滅多におらず4着も入る袋は無いとのこと。
さて、問題ですどこに仕舞ったらいいでしょうか?
勿論隣にはルシーフェがいるし、何気にまた肩を抱かれている。
動きにくくて仕方ないのだけれど、なんだか自然に抱かれてしまい、離してもらうタイミングを逸してしまってコウジはどうしようかと思っていた。
「コウジ、これからどうしたい?この街には詳しいから案内するよ」
ルシーフェはそう言いながら耳元で話してくる。
やめて欲しい、切実にやめて欲しい。
何気に声も良いし、顔だけじゃ無いのがイケメンがイケメンたる所以なのかもしれない。
「実はこの街に来て直ぐにお世話になった店があって、そこに行きたいんだけれど」
「そうか、ではまずはそこへ行こう」
俺は商業ギルドのことを教えてくれた店へと向かう。
確か、入町検査から出た建物からそう離れていなかったはずだ。
思い出しながら歩き出す。
もうルシーフェの手が肩を抱いていることは気にしない事にした。
話せと言い出せない自分の勇気の無さにちょっと自己嫌悪と諦めを感じる。
歩いてきた道を戻ると、お目当ての店を見つけたので早速入る。
「こんにちはー」
堂々と店に入る、今度はお金持ってるからな!お客様としてきちんと買い物が出来る。
「おお、おおいらっしゃいませ!・・・って先程の子じゃないか」
店に入ると店主がびっくりした顔で出迎えてくれた。
「さっきはありがとうございました!お陰で商業ギルドで素材を買い取って貰えたんです!それで服を買いたくて来たんですけど」
「そうかい!そりゃ律儀にありがとうな!・・・それでお兄さんたちと戻ってきてくれたのかい?」
「え!あ、この人たちは俺の兄ではなく」
店に一緒に入った隣のルシーフェと付き人や護衛たちを家族だと思ったらしい。
「私はルシーフェというしがない商人で後ろの者たちは私の護衛だ。この彼とは商業ギルドで縁あって親しくなってね、町の案内を買って出た所こちらで世話になったというので是非寄らせてもらおうと」
「ええっ!あの商人のルシーフェ様ですかっ!・・・そんな有名な商人様に寄っていただけるなんて光栄です!」
店主の言葉にコウジは再度納得する。
商業ギルドの対応だけでなく、商店でも名がしれている商人ということは、ルシーフェはかなりの大商人なのだろう。
俺は知っている。
こういうパターンでは大物には関わるとまず間違いなく事件とかに巻き込まれてなし崩しに権力者とかに取り込まれて、勇者様とか大賢者様とか言われて何かと用事を押し付けられるという先の先の先の展開が待っているということを。
なにも勇者と言われたくないとか、大賢者として活躍したくないとか、そういうのではないのだけれど、コウジは自分が頭の良くない人間であることを自覚している自覚があるし、実際そうだ。
政なんて微塵も分からないし、駆け引きなんてさっぱり理解できない。
現代知識も怪しいなんちゃって知識しかないのでそういうチート活動もできない。
能力を使ってうまく物事を運べるとも思えないし、行き当たりばったりが多いのでゲームだって進めて行っていると詰む事がしばしばで投げ出してしまうこともあった。
そんな自分が大事に巻き込まれれてもはっきり言って責任取れないのだ!!いやだ責任取りたくない!!
コウジはこの店を出た後は出来うる限りルシーフェと仲良くならず、無難に時間を潰して商業ギルドに向かい残金を受け取ってさよならするのが一番だと早々に結論づけた。
「ウチはあちらに置いてある既製品の服、そしてこちらの誂えようの生地を置いております。誂えは2パターンあり、既製服を手直しする簡単なパターンと、生地選び一から裁断し仮縫いし体に合わせて作っていく、所謂フルオーダーのものです」
「あ、普通に町で過ごす服が欲しいので、既製品のものを何着かください」
「普段使いするならこの生地の服が丈夫です。細部に装飾が施されていてちょっとした店でも浮かないですよ」
ルシーフェの知り合いという扱いになったのか、店主のおじさんはすっかり俺に対して丁寧に対応し始めた。
うーん、やっぱりファンタジー世界では立場とか身分とかでかなり扱いが変わるものなんだな。
ほぼ平等な世界で生活してきた自分がこの身分社会のありそうな世界で対応していけるのだろうか?
ちょっと不安になる。
・・・分かれる前にルシーフェに聞けることは聞いておこうか?
最低限やっちゃまずい事とか聞くのは、親しくなる行動枠には当てはまらないだろう。
勝手にそう結論づけてコウジは言った。
「その服を試着してもいいですか?」
店主はコウジのサイズを測ると、一着取り出し試着スペースへと案内した。
試着してみると悪くなく、そのまま着ても問題ない感じだったので着たまま出る。
「素晴らしく赤がお似合いですよ。サイズも手直し無しで大丈夫そうです。実はこの刺繍柄は妻が考えた図案でして「良い出会い」があればと思いながら考えたと話していました。人もですが、良い品に出会うのは日常を潤わせるものですからね」
「へぇ、そうなんですか。良いですね!良い品か・・・じゃあ、早速出会いましたね。この服を色違いであるだけください」
「おお!ありがとうございます!色違いは全部で4色です」
図案も気に入り、俺は赤、緑、黒、青色の4着とそれに合わせたズボンを購入した。
お金には余裕があるので気前よくぽんっと支払う。
会計を済ませ、荷物を受け取るときに俺はちょっとした失敗をしてしまった。
俺はアイテムボックスの能力を隠す為にわざわざあの金色毛のときは懐に忍ばせたふりをして出していた。
つまりは入れるものが無いという体だったのだ。
たった今服4着を購入しました。
荷物を入れる袋はありません。
店主に聞くも、大量買いの客は滅多におらず4着も入る袋は無いとのこと。
さて、問題ですどこに仕舞ったらいいでしょうか?
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