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1章
6、仮婚約の儀
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俺はルシーフェ、この国では名のしれた商人の一人だ。
扱う商品は雑貨から食料品、その他軍事関連の物資など幅広く取り扱っている。
大商店を構えているのではなく、個人商売だ。
それを可能にしているのは俺の保有している特大マジックバックとスキルである亜空間収納スキル。
特大マジックバッグも珍しいが、さらに珍しいのは亜空間収納スキルで、これは1000万人に一人と言われるくらいのレアスキル。
王室お抱えの商人になれるくらいのスキルだ。
まあ、俺はある意味王室お抱えの商人なんだが・・・
しかし、俺は一部の人間にしかそのレアスキルのことを公表していない。
商人としては特大マジックバッグがあれば事足りるからだし、手の内というのは無闇矢鱈にひけらかすものではないと思っている。
念の為の護衛と、身の回りの世話をする従者を連れ俺は頼まれた塩の買付にこの町の商業ギルドを訪れたのだが、立ち止まっている少年がおり後ろ姿からは想像していなかったが、珍しい黒髪だったので声をかけた。
おどろいた
見上げる瞳は黒檀よりも黒く、艶めいて輝きを放っている。
ここまでの漆黒、黒は見たことがない。
普通黒に近い焦げ茶はまあいる。
それでも希少価値があるとして貴族が囲うほどなのだけれど・・・
彼は貴族の使い?いや黒髪黒目でしかもこの容貌なのだ、使いに出すなどありえないだろう。
出せば拐われるのが目に見えているのだから。
人目につかないように囲う。
しかも、彼を囲えるような大貴族がこの地に居るとは聞いたことがない。
なら彼は何者なのか・・・
不信感を与えないように話しかける。
普通の商人として見えるように。
話を聞けば素材を売りに来たというので、商品の査定をしてやる。
一般的に査定をするとなると費用がかかる。
鑑定費だ。それを聞かずに商品を差し出すところを見ると、一般の商人ではないと解る。
タダより易いものは無いと、商人なら子供でも知っているからだ。
拾ったものかと思って鑑定をすると、それは珍しい金色メルメ゙の黄金毛だった。しかも超上質の素材で、あらゆる魔法道具の補助媒体として重宝し王室に差し出せばかなりの金額が約束されるだろう一品だ。
しかも大人の握りこぶし1個分の大きさだ、はっきり言って珍しいを通り越す。
どうやってこれを!と叫びそうになり彼を見る。
この毛の価値が分かっていないのか、彼はこちらを不安げに見ている。
彼にこの毛のおおよその相場、金貨1000枚を提示する。
本当なら自分が買い取りたい、しかし金貨1000枚以上をここのギルドマスターなら提示するだろう。
お金を欲して商業ギルドに来た彼にはその方がいいだろうし、さらに言えば俺が欲しいのは素材ではない。
ここで値のわからぬ相手に、彼相手に安く買い叩くのは得策ではない。
俺が彼から勝ち得るのは搦め手得る彼の信用だ。
彼を逃さぬようにギルドマスターとの商談の場へと同席させる。
そこで彼がコウジという名であると知る。
ギルドマスターとの商談が終わり、コウジの商談だ。
コウジは懐から金色メルメの黄金毛を取り出す。
マスターの目の色が変わる。
そして、金貨1800枚という値で取引は終わった。
それには俺も驚いた、金貨1800枚ではかなり損をするからだ。
おそらく王宮に卸しても1200枚が最高値だろう。
品質が良くてもだ。
ギルドマスターもコウジとの縁を結びたがっているのかと勘ぐる。
これはマスターがお金の用意をする間になんとしてもコウジを取り込まないと・・・
俺は少し強引な手を使うことにした。
コウジを逃さないように捕まえたまま、この町でよく使う喫茶店へと足を向ける。
最低限の人員で席を確保し、コウジについて尋ねる。
驚いたことに一人旅だという。
その割には旅慣れてはいないし、会話や仕草で判るように擦れてもいない。
教養もありそうだが、なぜだか常識ははっきりと欠如しているように感じる。
貴族のボンボン、の理由がないな作法はなってないし出された料理を迷いなく手づかみで食べたのだから一般に近しいはずだ。
しかし、この容姿で貴族でなくただの旅人?
先程抱いた肩は年頃にしては少し薄く、旅人にしては筋肉がない。
囲われていた魔道士が出奔したのか?
それなら少しは説得力で出てくる、魔道士たちは総じて筋肉がつきにくい。
でも、なら金色毛の価値は鑑定せずとも分かっていそうなものだけれど・・・
赤は好きでも嫌いでもないか・・・
そこは焦らずに行こう。
そして、俺はわざと黒と赤の食材を使った料理を出させた。
黒はコウジの色、赤は俺の色だ。
この国では互いの色を合わせて食べると、相手との仮婚約を認めたこととなる。
そして、食べ終え握手をし「契約成立」と言えば、俺も仮婚約を認め、お互いがお互い契約成立したこととなる。
証人に従者のマルクと護衛隊長のリトアニがなり、これで家族に紹介すれば正式な婚約がなされる。
この料理をなんの疑問も抱かず食べたコウジはおそらく他国か、事情でどこかしらで囲われていたのを逃げ出してきた・・・のだろう。
彼のことはこれから知っていけばいい。
俺は一先ずは上手くいったと安堵する。
そしてコウジの黒髪を一房持ち上げると口づけを贈る。
「美しい黒髪だね、コウジ」
離しはしないよ
俺はニコリと微笑んでみせた。
扱う商品は雑貨から食料品、その他軍事関連の物資など幅広く取り扱っている。
大商店を構えているのではなく、個人商売だ。
それを可能にしているのは俺の保有している特大マジックバックとスキルである亜空間収納スキル。
特大マジックバッグも珍しいが、さらに珍しいのは亜空間収納スキルで、これは1000万人に一人と言われるくらいのレアスキル。
王室お抱えの商人になれるくらいのスキルだ。
まあ、俺はある意味王室お抱えの商人なんだが・・・
しかし、俺は一部の人間にしかそのレアスキルのことを公表していない。
商人としては特大マジックバッグがあれば事足りるからだし、手の内というのは無闇矢鱈にひけらかすものではないと思っている。
念の為の護衛と、身の回りの世話をする従者を連れ俺は頼まれた塩の買付にこの町の商業ギルドを訪れたのだが、立ち止まっている少年がおり後ろ姿からは想像していなかったが、珍しい黒髪だったので声をかけた。
おどろいた
見上げる瞳は黒檀よりも黒く、艶めいて輝きを放っている。
ここまでの漆黒、黒は見たことがない。
普通黒に近い焦げ茶はまあいる。
それでも希少価値があるとして貴族が囲うほどなのだけれど・・・
彼は貴族の使い?いや黒髪黒目でしかもこの容貌なのだ、使いに出すなどありえないだろう。
出せば拐われるのが目に見えているのだから。
人目につかないように囲う。
しかも、彼を囲えるような大貴族がこの地に居るとは聞いたことがない。
なら彼は何者なのか・・・
不信感を与えないように話しかける。
普通の商人として見えるように。
話を聞けば素材を売りに来たというので、商品の査定をしてやる。
一般的に査定をするとなると費用がかかる。
鑑定費だ。それを聞かずに商品を差し出すところを見ると、一般の商人ではないと解る。
タダより易いものは無いと、商人なら子供でも知っているからだ。
拾ったものかと思って鑑定をすると、それは珍しい金色メルメ゙の黄金毛だった。しかも超上質の素材で、あらゆる魔法道具の補助媒体として重宝し王室に差し出せばかなりの金額が約束されるだろう一品だ。
しかも大人の握りこぶし1個分の大きさだ、はっきり言って珍しいを通り越す。
どうやってこれを!と叫びそうになり彼を見る。
この毛の価値が分かっていないのか、彼はこちらを不安げに見ている。
彼にこの毛のおおよその相場、金貨1000枚を提示する。
本当なら自分が買い取りたい、しかし金貨1000枚以上をここのギルドマスターなら提示するだろう。
お金を欲して商業ギルドに来た彼にはその方がいいだろうし、さらに言えば俺が欲しいのは素材ではない。
ここで値のわからぬ相手に、彼相手に安く買い叩くのは得策ではない。
俺が彼から勝ち得るのは搦め手得る彼の信用だ。
彼を逃さぬようにギルドマスターとの商談の場へと同席させる。
そこで彼がコウジという名であると知る。
ギルドマスターとの商談が終わり、コウジの商談だ。
コウジは懐から金色メルメの黄金毛を取り出す。
マスターの目の色が変わる。
そして、金貨1800枚という値で取引は終わった。
それには俺も驚いた、金貨1800枚ではかなり損をするからだ。
おそらく王宮に卸しても1200枚が最高値だろう。
品質が良くてもだ。
ギルドマスターもコウジとの縁を結びたがっているのかと勘ぐる。
これはマスターがお金の用意をする間になんとしてもコウジを取り込まないと・・・
俺は少し強引な手を使うことにした。
コウジを逃さないように捕まえたまま、この町でよく使う喫茶店へと足を向ける。
最低限の人員で席を確保し、コウジについて尋ねる。
驚いたことに一人旅だという。
その割には旅慣れてはいないし、会話や仕草で判るように擦れてもいない。
教養もありそうだが、なぜだか常識ははっきりと欠如しているように感じる。
貴族のボンボン、の理由がないな作法はなってないし出された料理を迷いなく手づかみで食べたのだから一般に近しいはずだ。
しかし、この容姿で貴族でなくただの旅人?
先程抱いた肩は年頃にしては少し薄く、旅人にしては筋肉がない。
囲われていた魔道士が出奔したのか?
それなら少しは説得力で出てくる、魔道士たちは総じて筋肉がつきにくい。
でも、なら金色毛の価値は鑑定せずとも分かっていそうなものだけれど・・・
赤は好きでも嫌いでもないか・・・
そこは焦らずに行こう。
そして、俺はわざと黒と赤の食材を使った料理を出させた。
黒はコウジの色、赤は俺の色だ。
この国では互いの色を合わせて食べると、相手との仮婚約を認めたこととなる。
そして、食べ終え握手をし「契約成立」と言えば、俺も仮婚約を認め、お互いがお互い契約成立したこととなる。
証人に従者のマルクと護衛隊長のリトアニがなり、これで家族に紹介すれば正式な婚約がなされる。
この料理をなんの疑問も抱かず食べたコウジはおそらく他国か、事情でどこかしらで囲われていたのを逃げ出してきた・・・のだろう。
彼のことはこれから知っていけばいい。
俺は一先ずは上手くいったと安堵する。
そしてコウジの黒髪を一房持ち上げると口づけを贈る。
「美しい黒髪だね、コウジ」
離しはしないよ
俺はニコリと微笑んでみせた。
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