異世界転生(仮タイトル)

きこり

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第07話「アオキ・セイジ」

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ママも一緒に帰宅し、食後は再びママが出かけた。

姉が本を取り出す

「読んでみよっか?」

「うん」

自力でも読めそうだが、姉ちゃんに勉強させるのが第一目的なので読んでもらう。
他に2冊、国語辞典と歴史書を借りてきた。これが役に立った。

「序章、アオキ・セイジ。
これは祖父になるアオキ・セイジがこの国に来た時から始まる。何処の国から来たのか誰も知らない。
未知の知識を持ち、見た事無い文字を書く。以前のじいさんを知る手掛かりは、謎の文字で書かれた手記にしか無いだろう」

(お孫さんが書いた話なのかな?)

「改革前の世界は一部の権力者と奴隷だけの世界であった。当時を知る物は皆同じ事を言う。
職を得られない者の最後の救いである冒険者も、実情は貴族の犬でしか無かった」

「犬って犬獣人?」

と姉ちゃん

(まあ良い意味じゃ無いよな。と言うか犬って見た事無いな)

国語辞典の出番である

「愛玩動物・・ペット?あっ、命令に忠実で守ってもくれるのね」

(物は言い様だな)

「お国の審査を受けないと飼育できないのね」

前世でも迷惑な飼い主が居た事を思い出した。次は獣人を調べてみる

「獣人。寿命約150年。魔法の神グリモアの手で生まれた人種の一つ。既存の他生物を参考にしたと言われ、魔族の次に文明を築いた。
魔力は少ないが強靭な肉体を持ち、あらゆる土地に適応できる」

「まぞく?」

(見た事無いな・・)

※シルヴェール街にも居ます

「魔族・・あった。寿命約500年。この地で最初に文明を築いた人種。魔法の神グリモアと同種では無いかと言われる。グリモアを崇める唯一の存在。
とても温厚で、古代魔法と呼ばれる強力な魔法を使いこなす。廃魔戦争で人族に追いやられ、現在はルーシア大陸にしか存在しない」

イメージと全然違った。エルフも調べてもらう

「エルフ。寿命約1000年。神とは違う存在の精霊が導いたとされる、最も長寿な人種。魔力を持たない代わりに精霊の力を借りる。
長寿なのは精霊に近い人種だからと言われる。とても思慮深く、どの人種も彼らには敬意を払う」

(ある意味、前世のイメージに最も近いのかな?)


分からない言葉は調べながら読み進んだ

ーーーーー

「1章、シルヴェール・ロバルデュー
この国は北の大森林と接している。夏の暑い日に数十年に一度のスタンピードが起こった。
銅板、銀板の冒険者は全て前線で戦いぬく事になる。国軍も領軍もそこには居ない。
私の祖母、シルヴェール・ロバルデューは貧しい貴族の長女であるが鉄板の冒険者だ」

(シルヴェール街の由来なのか?)

「だが前線には出る事は無かった。シルヴェールを11番目の妻にしようとしていた領主が止めていた。
銅板を餌にシルヴェールを狙っていたレイモンド子爵。彼は普段通りの生活を満喫している。
祖母が言うには、この時は絶望でしか無かった。その場で食われた者、咥えて連れて行かれた冒険者が500人居た」

「国から有力な冒険者が居なくなり、貴族たちは鉄板の冒険者から候補を集める。
誰がどの冒険者を有するか、貴族同士のお金のやり取りで決まっていた。祖母はレイモンド子爵の物と決められていた」

「・・・」

(お孫さん・・重いよ。姉ちゃん黙っちゃったよ)

とりあえず歴史書でスタンピードを調べる。

「あった」

姉ちゃんも見る

「最後のスタンピード。法歴805年」

「ほうれきって?」

「魔法歴って聞いてる。今は1012年」

(200年前かよ。て、アオキ・セイジさんって200年前に来たの?)

※実はエディが転生するのが遅れた。その話はまだ先です。

「まほうれきって変なの」

「神様が魔法の神様だかららしいわ」

姉ちゃんが調べてみる

「魔法歴・・魔法の神グリモアが人族の為に作ったと言われる人族最初の国家、グリモワールの建国から始まる。
魔法国家グリモワール、魔法歴1年~418年」

(400年しか持たなかったのか・・てか前世で聞いた事ある名だな、関係あるのかな?)

※あります

「廃魔戦争で法歴418年に滅び、魔法と魔法歴は途切れる。後に魔法を求める国が後を絶たず、魔法国家の言語と共に魔法歴も復活した」

うん、人ってのはそうだ。自分達の都合で世の中を動かす・・・だからこそ文明が進化したのだろうけど。

「はいませんそうって?」

「あった。法歴416年~418年。各国の王が魔族は邪悪な存在と定義し、アメジア大陸から追放した事件。
魔族と同じ古代魔法を操る魔法使いが存在していたグリモワールも、同様に進行された。
グリモワールの魔法使い達は人に向けて魔法を使う事も無く、斬首されたと伝えられている」

(・・・)

意外と歴史書が面白い。一度魔法は失われた様だ。

ーーーーー

アオキ・セイジ・ロバルデューに戻る

「強制的に銅板にされる冒険者達。祖母も知らぬ間に銅板の冒険者となっていた。
その事でレイモンド子爵はロバルデュー家にシルヴェールを渡すように迫ってくる」

「家に居ても辛かったシルヴェールは、冒険者ギルドに入り浸っていた。
ギルド長も貴族の犬だが、職員達は親身になってくれる。覚悟を決めようとした時、見知らぬ青年が入ってきた」

「黒髪、黒目。不吉とされる姿だった」

(あれ?転生じゃなくて転移なの?でもパパも黒髪だし・・)

「依頼ボードの前で仕事を探している彼。この国の冒険者には無い、堂々とした出で立ちだ。
受付を済ませた彼は、シルヴェールの前に歩み寄り話しかけた。
「この国の冒険者かな?手が空いてる様なら道案内を頼みたいけど。報酬はこれで」
流暢に言葉を話しながら1銀貨を置く。あまりに高いので沢山持つ依頼を見せてもらうと魔獣の討伐だった」

※当時は鉄貨が存在し、現在のレヴィネール王国では1金の価値です。

「ありえない・・魔獣は魔法が通じ難く、1体に10人がかりでも犠牲が出る程強い。
そう思いながら最後は冒険者として死ぬのも良いかも知れないと思った」

「そして彼が所持している冒険者カードを聞くと、4枚の銀カードを見せた。4カ国の銀板?何故?」

「続けてこう言う。「僕はアオキ・セイジ。この国でも欲しいと思ってるんだ。後見人になってくれる人がいると良いんだけど」」
「そう言って屈託なく笑う。そんな不思議な青年の道案内を受けた」

「馬車を借り、2日かけて向かった。シルヴェールは貴族で15歳だ。異性との関係も理解はしている。
気にはしていたが、アオキと名乗る青年は常に手記の様な物を書いていた。読めない文字だった」

「北の大森林の手前の森に近づくと、いきなり4頭のワイバーンが襲ってくる。何も出来ずに死ぬ・・そう思った瞬間、ワイバーンが地面に落とされた。
そして彼がファイアーボール1発で全てを吹き飛ばす。しかも彼はバラバラになったワイバーンを全てバッグに入れた」

「見た事が無い魔法の威力。シルヴェールが問いただすと彼はこう言った」
「この世界の魔法があまりに弱くてね。古代魔法もあるけど、自分で作る方が威力が上がるんだよ」

「この時シルヴェールは希望を目にしていた。全てを打破する古代魔法をも超える圧倒的な魔法。
私にも出来るのか?と聞くと、学べば出来るよと言ってくれた。」

そして彼はシルヴェールに魔法講座をしながら魔獣を狩って行く。敵になる魔獣は存在していなかった」

「・・・」

姉ちゃんがまた黙っている。今度は興奮してるのだ

「ねえちゃんちょっと休もう」

「そ、そうね」

そう言いながら本をチラチラ見る。借りて貰って正解だった。

代わりに俺が少し落ち込む。何だろう・・・俺とのこの差は?


ーーーーー


冒険者Side

5日目。搾乳もほぼ終わり、ノルマより多く集める事が出来た。
牛の渡りを確認に行っていたフェルヴが馬に乗って帰ってくる。

ーーーーー
フェルヴ。とても面倒見の良いエルフ。珍しい存在だ。
ほとんどのエルフは伴侶や知人を看取るたびに、他の種族との関係を無くしていく。

だがフェルヴはそれを乗り越えて、他種族と関わっていた。
アオキ・セイジと共に改革を成し得た事をいまだ誇りに思っている。

彼がロランを気にかけるのもその為だ。
アオキ・セイジが残した技術書や指南書の作成にずいぶんと協力した。

近代魔法を自在に操るロランを、アオキ・セイジの娘の様に見えてしまうのだ。
ちなみに現在、4人目の奥さんが居る。人族の女性も大好きだった。
ーーーーー

「移動を確認できたぞ。立ち往生してた集団が新たな集団に混ざって来てる」

「次の組とすれ違うだろうから良い報告が出来るな」

エディットもほっとする

「400頭は確認した」

「あら?次の組は私達より多く集めてもらわないとね」

レリーナはそう言うが、手作業で搾乳するのは大変である。

「ウルフも一緒に来てるが、4~5頭ぐらいの群れが3つだな」

「その程度なら問題ないだろ。新人の教育に使えてちょうど良いかもな」

ガルべスも安心する
次の組の事はもう知っている。銅板ベテラン2人、銅板の中堅1人、鉄板の新人2人だ。

「さ、食事にしましょう。残りで豪勢にやっちゃうわね」

レリーナが腕を振るう。大貴族の二女として生まれたが料理はかなり得意である。

ーーーーー
レリーナ。まだ貴族の娘である頃、料理は出来ないが美人なだけに何度も求婚されている。その度に殴り倒してきた。
冒険者まで始めて、ロバルデュー領に行く。彼女を知る者は嫁の貰い手は無いだろうと思っていた。

冒険者を始めてから靴屋に行った時、まだ見習いだった青年に足を大切にする様に諭される。
褒められる事は多かったが、靴だけでダメだしされるとは思っていなかった。

いつしか彼に足のサイズを測ってもらうのが好きになる。小言も気持ち良くなる。そう、ちょろかったのだ。

貴族たちは扱いを間違えただけ。
男を落とすなら胃袋から。そう教わった彼女は忠実に実践した。

結婚して家名を捨てたが家族との関係は良好。今でも付き合いがある。
その付き合いの延長でロランの話を耳にしたのだった。
ーーーーー


食事も済み、後片付けをする。馬を呼んで馬車と繋ぐ。
子牛達は遊び足りない様に馬に纏わりつく。

「さすがに5日も居れば懐くか」

エディットは目を細めながら子牛を見つめる。
エルとエディが居たら喜ぶだろうと思ってそうだ。

「さあ行くぜ」

ガルべスに続いて皆が御者台に乗りこの地を去る。もう一度は来る機会があるかも知れない。
この仕事は独占しない。彼らは春~秋の間に3度来られれば多い方だ。

銀板、銅板の冒険者は他の領地でも仕事を得られる。
なるべく鉄板の冒険者に教え、何度か来られる様に配慮されていた。


牛達が名残惜しそうに見つめる中、2台の馬車は帰路に就く。
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