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第14話「指南書」
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食事が終わり、姉ちゃんはパパの横に座り相談を始める
「ねえパパ」
「何だい?」
「ロランさんもお家に住んだらダメ?」
「どうしてだい?」
「近代魔法の指南書ってギルドでしか見れないんだって」
「うむ」
「ロランさんは少しなら指南書が無くても教えられるって」
「なるほど」
「ギルドって図書館とは違うから・・」
どうやら仕事でも無いのにギルドに通うのは気が引けるらしい
「7歳までは待てないのかい?」
姉ちゃんは頷く。パパは思案する
「ダメかな?」
「ダメとは言わないよ。でも勝手に決めるのはいけないからね」
「ロランさんは良いって」
「ギルドにも話を通した方が良いだろう。今はギルドの世話になっているからね。
フェルヴは問題ないだろうけど、後見人だから知らせない訳にはいかないし。
あとジャンもな。ロランの近代魔法には神経質になってるから、管理をこちらでする事も伝えないとな」
「かんりするの?」
なんか嫌だな
「悪い意味じゃないよ。強力な魔法使いが何処に居るのか分からなくなると、領主が心配するのは当然の事だからね」
あーうん。ある意味兵器だしな
「ママは反対しないだろうから、明日ギルドに行ってみるかい?今日はロランも泊って行けばいいだろう」
「そうする!」
姉ちゃんは喜ぶ。ロランが泊っていくのが嬉しそうだ
「ママははんたいしないの?」
「ママは他の領地出身でね、昔は冒険者をしながら居候してたんだよ。老夫婦の家で介護もやっていたんだ」
ママすごいな
「その人はいきてるの?」
「奥さんがね。旦那さんが亡くなってから、ママの出身地で仕事をしている娘夫婦の家に行ったんだ。
ママもロランが仕事をやってエルの勉強も見ると言うなら、文句は言わないと思うよ」
なるほど。確かにママは、前世でよくある学校に行きなさい!とか言うタイプじゃないけど勉強はするようによく言っている。
「あとはろらんのへやだけだね」
「そうだね。エディが3歳になったら部屋をエルと分けようと思ってたけど・・どうしようか」
え?一人で寝るのは嫌ですよ?パパ
ーーーーー
ママとロランは食器を片づけリビングに来る。ロランの事でパパとママが会話をする。
パパの予想通り、ママは反対しなかった。
自分が働きに出ている間、俺と姉の事が心配だった様だ。
平和その物の街ではあるが余所からやってくる人達には、まれに悪い人も居るらしい。
ママが言うにはロラン相手に悪さをするのは難しいのと、姉が自衛のための実力を付けるのは良い事だと。
そして勉強をする事は前々から言ってるが、そこに近代魔法が入ると言う事。
近代魔法は科学その物だ
「アオキの事だから近い将来、近代魔法の技術も必要になると思うのよ」
ママがそう言う
「どういうこと?」
パパとママが説明してくれる
「この国はアオキが残した遺産で動いていると言っても良いぐらいだ。生活必需品から作物までその技術で作られてる」
「なにがあるの?」
「まず魔道具だね。これだけで生活は困らないと言える」
「うん」
(インフラにも使ってるんだっけ)
魔道具に使われる魔石は人工であり、魔力が減ってしまうと交換する。
補充は商会で専門にしている魔法士がやっている為、外す必要がある。
「食べ物は作物の品種改良だな。昔に比べて収穫率が良くなったらしい」
(確かに食べ物で困った事は無い)
「湯あみの時の石鹸や洗剤なんかもかぶれなくなったって聞くわ」
(そう言えば違和感無いな。シャンプー無いけど)
「家もそうよね。この国の建物は世界一長持ちするって言われてるのよ」
(強度計算してるのか)
「他には暖房の効率もよくなったみたいだな」
確かに。冬にトイレに行くのが寒いとか無かったな。断熱材が良いのかな?
「羊毛や羽毛にも困らなくなったのよね」
羊と言われている動物がいるが、どちらかと言えばアルパカだった。図鑑で見た時吹きそうになった。
レヴィネール王国の北西にある山脈に生息し、牛の搾乳と同じく冒険者が刈りに出向く。
卵は昔から生産されていた。
国内に居た魔獣をアオキが狩り尽くした事で、庶民も毎日食べられる様になる。それで牛も羊も増えた。
今は羽毛としても利用されている。業者は食用肉にはしたがらない
「近代魔法の技術を生活に取り入れたら、素敵な未来があるのでしょうね」
ママはそう思っている様だ。
アオキさん、パねえな。絶対学者や研究者とかのレベルだろうな。
※その通りである
俺にもそんな前世の知識はあるのだが、再現する事はどう考えても無理である。
そして今日はロランが泊り、3人で寝る事になった。ベッドでは狭いので床に布団を敷いてもらう。
歯を磨きながら、この歯ブラシと歯磨き粉もアオキなんだろうなあと思っていた。
動物の皮っぽいチューブの中に入ってるが中身は前世そのままで、歯ブラシも馬の毛を使っていた。
「エディは間に入る?」
姉ちゃんにそう言われ間に入った。おやすみのキスを二人にされる。だから姉よ、張り合うのはやめてくれ
ありがたみが減るから
ーーーーー
朝、目が覚める。相変わらず俺は姉ちゃんの抱き枕になってたがロランが居ない。
部屋を出てトイレに行く。顔を洗いリビングへ。
ママは朝食の準備をしていた。
「おはよママ」
「おはよう。今日は早いわね」
「うん」
周囲を見渡す
「パパとろらんは?」
「パパは早くからジャンの所に行ったわ。ロランは馬のとこよ」
ポルを見に行く。が、居ない
(ロランもギルドに戻ったのかな?)
朝日が気持ちよくぼ~っとしてると馬の駆ける音が聞こえてきた。そちらを見る
ロランがワンピースを着たままポルを走らせて来た。朝日に照らされる姿に魅入ってしまう。
「おはようエディ」
「おはよ。どこか行ってたの?」
「違うよ。馬って走らせないとダメなの」
「どう言うこと?」
「馬は走るのが好きな動物なの。だから仕事で移動する時に勝手に走らない様に運動させておくのよ」
(なるほど)
ロランはそう言いながらポルの汗を拭く。ロランって根は真面目なんだなと思いながら・・
目のやり場に困っていた。丈の短いワンピースを着てるので下着がチラチラ見えてしまうのだ。
ロランはポルに水と餌を用意する。俺はリビングに戻ると姉ちゃんも起きていた
「ねえちゃんおはよ」
「おはよう。どこか行ってたの?」
「ポルを見てた」
「あ~」
「どうしたの?」
「馬のお世話もするって決めたのに・・」
姉ちゃんが少し落ち込む
「ひっこししてからで良いんじゃない?」
「そ、そうね」
「ご飯出来たわ。ロランも呼んであげて」
「「はーい」」
二人でロランを呼び、朝食を食べた。そして家を出る。
俺と姉ちゃんがポルに乗り、真っ黒なローブに着替えたロランとママは歩きながら話をしている。
「私もお馬欲しいな」
姉ちゃんがつぶやく
「馬ってたかいの?」
「ううん。そうでも無いらしいけどお世話が大変みたいなの」
確かに、ロランは早朝から世話をしている。昨日ここに来た時もだ。
朝に走らせるのは犬を散歩させるような物かな?
姉と一緒なら出来るかも?だが、ようやく3歳になる俺には荷が重い
そして冒険者ギルドに着く。ママは当たり前の様に中に入る。俺達もついていった。
「おはよ・あ、エルザさん」
椅子に座ってたティアさんが立ち上がる。他に居た冒険者達もこちらを見て頭を下げた
さすがご意見番のママ
「おはよう。ドクさんは居る?」
「居ますよ。魔獣の事で朝から大変です」
ティアさんと目が合う
「おはよ」
「エディ、やっと帰ってきたのね」
「どう言う事?」
ママが聞く
「私の息子なの」
(まだ続けるか)
「あらエディ、いつの間に養子に行ったの?」
(ママも本気にしないで)
ロランが俺を引き寄せる
「じゃあティアもママになるの?」
(・・・)
ロラン、どういう意味ですか?
3人はかみ合わない話を進める。姉ちゃんはついてこれない
そしてドク爺が来た
「おや?エルザじゃないか」
「おはよう。ロランの事で少し話したい事があるの」
「じゃあ中で聞こうか」
ギルド長の部屋に入り、昨夜家族で話した事をドク爺に伝える
「いいぞ。やっとロランも居候先が決まったか」
「どゆこと?」
「ギルドでも宿舎を用意しとるが部屋数に限度がある。独り身にはなるべく何処かで部屋を借りる様に勧めとるんじゃ」
「そうなんだ」
「ロランは皆が怖がっての・・」
「こわくないよ?」
「いや、近代魔法じゃ。下手すれば家ごと吹き飛ぶ」
そっちか
「いそーろーって、いやがる人はいないの?」
「この街は全員と言えるぐらいが冒険者か経験者じゃよ」
この街って10万人以上いたよね?
「そんなにおおいの?」
「殆どがアオキ・セイジの生前から居た者の子孫か、本を読んでやって来た者だ」
「どく爺は?」
「親父がアンガスと共にここへ来た。そしてアオキの子達を支える為にこの街に永住したんじゃ」
(なるほど)
今度は姉ちゃんが聞く
「ドクさんはアンガスさんを知ってるの?」
「いいや。ワシが生まれたのはアオキ亡き後じゃ」
ドク爺はロランを見る
「フェルヴにはギルドから伝えておく。ロランはジャンに会っておけ」
「え~」
「え~じゃない、ただでさえ忙しい奴じゃ。あまり心労はかけさせるな」
「は~い」
「ジャンには今朝早くにエディットが向かったから話は通してると思うわよ」
とママ。
「ああ、ここにも来とった。今は地龍が出た場所に行っておる。昼までには戻ると思うぞ」
「あなた達どうする?お母さんは仕事に向かうけど」
どうしようかと思ってると姉ちゃんが口を開く
「近代魔法の指南書見てみたい・・」
「いいぞ」
ドク爺は立ち上がり机から鍵を出す
「じゃあお母さんは行くわね」
ママはそそくさと出て行った。見たくないのかな?
階段を上がり4階まで行く。外からは気付かなかったが4階建てだった。
そして端の部屋に行き鍵を開け、中に入る。
そこには分厚い辞書の様な本が本棚に沢山あった
「これらが近代魔法の指南書じゃよ。162冊ある」
「「・・・」」
一冊と思い込んでいた俺がバカだった
母国で天才少女と呼ばれたロランが、6歳から10年近く費やして覚えた近代魔法。甘くは無かった
姉ちゃんもビビる
「近代魔法ってそんなに沢山あるの?」
「それもあるが、物によっては一つ覚えるのに20ページ程かかるらしい」
ドク爺は一冊を手に取り開く。読めない字だ。共用語って奴か?
なんかママが逃げる様に仕事に行った理由が分かった気がする
(精霊魔法のエルフの言葉は理解できたけど、文字は無理か)
初っ端なからハードルが高かった
ーーーーー
3人で本を見つめる
「しょうかいの人もこれでべんきょうしたの?」
ドク爺は頷くが・・
「殆どがマジックバックを作れる様になった所で止めておるの。全て使えるのは世界を見渡してもロランぐらいじゃろう」
「ろらん、きんだいまほうって何があるの?」
「何って?」
「ほかのまほうでできない事」
「いっぱいあるよ?」
「おもしろそうなのは?」
「例えば?」
「う~ん・・空をとんだり?」
「複合魔法になるわね。飛ぶのは2つの複合魔法陣を使うわ」
(できるんだ)
「どんななの?」
「回転翼陣に気圧魔法の魔法陣を加えるの。もう一つは反動防止の回転翼陣に軽量化ね。これらを重ねるの」
前世の航空機を思い出す
(回転?ヘリかな?って、魔法陣にも反動があるんだ。いや気圧が関係するから?)
(空と言えば・・)
「水にももぐれるの?」
「潜るのは3つの支援魔法ね。色素支援と疲労回復に体温維持ね」
「しきそ?」
「水に潜る動物が持つタンパク質。ミオグロビンが酸素を沢山貯めるの。対象者の魔力がミオグロビンだと魔法陣で勘違いさせるのよ」
確かクジラとかそうだっけ?
「エルとエディの魔力だと・・飛ばせるのはこのゴミ箱ぐらいで数十秒?水には3分ぐらい潜れるね」
どうせ俺の魔力はゴミですよ。そう言えばロランは秒とか分とか使うな
「さんふんって?」
「時間ね。時計を持っていれば分かるけど、私は感覚で覚えてるよ」
(時計あるのか)
「見たことないよ」
ドク爺が続ける
「持ってるのは貴族や王族と会う必要がある連中ぐらいじゃよ。商会も持ってるがマジックバッグの為と言えるの」
(時間停止か)
確かにこの世界の住民は時間にアバウトである。ほぼ太陽の位置で行動を決めてる感じだ。
姉ちゃんはロランに訊ねる
「ロランさんはこれを全部覚えたの?」
首を縦に振るロラン
「ロランでいいよ」
「じゃあ4月になったら私もする!」
「やるなら今すぐの方が良いよ?」
「そうなの?」
「やる気がある内にね。私も逃げ出したいって思ったから」
・・そうだった
ロランは自分の意思と関係無く、近代魔法を無理やり覚えさせられたのだ
「ねえパパ」
「何だい?」
「ロランさんもお家に住んだらダメ?」
「どうしてだい?」
「近代魔法の指南書ってギルドでしか見れないんだって」
「うむ」
「ロランさんは少しなら指南書が無くても教えられるって」
「なるほど」
「ギルドって図書館とは違うから・・」
どうやら仕事でも無いのにギルドに通うのは気が引けるらしい
「7歳までは待てないのかい?」
姉ちゃんは頷く。パパは思案する
「ダメかな?」
「ダメとは言わないよ。でも勝手に決めるのはいけないからね」
「ロランさんは良いって」
「ギルドにも話を通した方が良いだろう。今はギルドの世話になっているからね。
フェルヴは問題ないだろうけど、後見人だから知らせない訳にはいかないし。
あとジャンもな。ロランの近代魔法には神経質になってるから、管理をこちらでする事も伝えないとな」
「かんりするの?」
なんか嫌だな
「悪い意味じゃないよ。強力な魔法使いが何処に居るのか分からなくなると、領主が心配するのは当然の事だからね」
あーうん。ある意味兵器だしな
「ママは反対しないだろうから、明日ギルドに行ってみるかい?今日はロランも泊って行けばいいだろう」
「そうする!」
姉ちゃんは喜ぶ。ロランが泊っていくのが嬉しそうだ
「ママははんたいしないの?」
「ママは他の領地出身でね、昔は冒険者をしながら居候してたんだよ。老夫婦の家で介護もやっていたんだ」
ママすごいな
「その人はいきてるの?」
「奥さんがね。旦那さんが亡くなってから、ママの出身地で仕事をしている娘夫婦の家に行ったんだ。
ママもロランが仕事をやってエルの勉強も見ると言うなら、文句は言わないと思うよ」
なるほど。確かにママは、前世でよくある学校に行きなさい!とか言うタイプじゃないけど勉強はするようによく言っている。
「あとはろらんのへやだけだね」
「そうだね。エディが3歳になったら部屋をエルと分けようと思ってたけど・・どうしようか」
え?一人で寝るのは嫌ですよ?パパ
ーーーーー
ママとロランは食器を片づけリビングに来る。ロランの事でパパとママが会話をする。
パパの予想通り、ママは反対しなかった。
自分が働きに出ている間、俺と姉の事が心配だった様だ。
平和その物の街ではあるが余所からやってくる人達には、まれに悪い人も居るらしい。
ママが言うにはロラン相手に悪さをするのは難しいのと、姉が自衛のための実力を付けるのは良い事だと。
そして勉強をする事は前々から言ってるが、そこに近代魔法が入ると言う事。
近代魔法は科学その物だ
「アオキの事だから近い将来、近代魔法の技術も必要になると思うのよ」
ママがそう言う
「どういうこと?」
パパとママが説明してくれる
「この国はアオキが残した遺産で動いていると言っても良いぐらいだ。生活必需品から作物までその技術で作られてる」
「なにがあるの?」
「まず魔道具だね。これだけで生活は困らないと言える」
「うん」
(インフラにも使ってるんだっけ)
魔道具に使われる魔石は人工であり、魔力が減ってしまうと交換する。
補充は商会で専門にしている魔法士がやっている為、外す必要がある。
「食べ物は作物の品種改良だな。昔に比べて収穫率が良くなったらしい」
(確かに食べ物で困った事は無い)
「湯あみの時の石鹸や洗剤なんかもかぶれなくなったって聞くわ」
(そう言えば違和感無いな。シャンプー無いけど)
「家もそうよね。この国の建物は世界一長持ちするって言われてるのよ」
(強度計算してるのか)
「他には暖房の効率もよくなったみたいだな」
確かに。冬にトイレに行くのが寒いとか無かったな。断熱材が良いのかな?
「羊毛や羽毛にも困らなくなったのよね」
羊と言われている動物がいるが、どちらかと言えばアルパカだった。図鑑で見た時吹きそうになった。
レヴィネール王国の北西にある山脈に生息し、牛の搾乳と同じく冒険者が刈りに出向く。
卵は昔から生産されていた。
国内に居た魔獣をアオキが狩り尽くした事で、庶民も毎日食べられる様になる。それで牛も羊も増えた。
今は羽毛としても利用されている。業者は食用肉にはしたがらない
「近代魔法の技術を生活に取り入れたら、素敵な未来があるのでしょうね」
ママはそう思っている様だ。
アオキさん、パねえな。絶対学者や研究者とかのレベルだろうな。
※その通りである
俺にもそんな前世の知識はあるのだが、再現する事はどう考えても無理である。
そして今日はロランが泊り、3人で寝る事になった。ベッドでは狭いので床に布団を敷いてもらう。
歯を磨きながら、この歯ブラシと歯磨き粉もアオキなんだろうなあと思っていた。
動物の皮っぽいチューブの中に入ってるが中身は前世そのままで、歯ブラシも馬の毛を使っていた。
「エディは間に入る?」
姉ちゃんにそう言われ間に入った。おやすみのキスを二人にされる。だから姉よ、張り合うのはやめてくれ
ありがたみが減るから
ーーーーー
朝、目が覚める。相変わらず俺は姉ちゃんの抱き枕になってたがロランが居ない。
部屋を出てトイレに行く。顔を洗いリビングへ。
ママは朝食の準備をしていた。
「おはよママ」
「おはよう。今日は早いわね」
「うん」
周囲を見渡す
「パパとろらんは?」
「パパは早くからジャンの所に行ったわ。ロランは馬のとこよ」
ポルを見に行く。が、居ない
(ロランもギルドに戻ったのかな?)
朝日が気持ちよくぼ~っとしてると馬の駆ける音が聞こえてきた。そちらを見る
ロランがワンピースを着たままポルを走らせて来た。朝日に照らされる姿に魅入ってしまう。
「おはようエディ」
「おはよ。どこか行ってたの?」
「違うよ。馬って走らせないとダメなの」
「どう言うこと?」
「馬は走るのが好きな動物なの。だから仕事で移動する時に勝手に走らない様に運動させておくのよ」
(なるほど)
ロランはそう言いながらポルの汗を拭く。ロランって根は真面目なんだなと思いながら・・
目のやり場に困っていた。丈の短いワンピースを着てるので下着がチラチラ見えてしまうのだ。
ロランはポルに水と餌を用意する。俺はリビングに戻ると姉ちゃんも起きていた
「ねえちゃんおはよ」
「おはよう。どこか行ってたの?」
「ポルを見てた」
「あ~」
「どうしたの?」
「馬のお世話もするって決めたのに・・」
姉ちゃんが少し落ち込む
「ひっこししてからで良いんじゃない?」
「そ、そうね」
「ご飯出来たわ。ロランも呼んであげて」
「「はーい」」
二人でロランを呼び、朝食を食べた。そして家を出る。
俺と姉ちゃんがポルに乗り、真っ黒なローブに着替えたロランとママは歩きながら話をしている。
「私もお馬欲しいな」
姉ちゃんがつぶやく
「馬ってたかいの?」
「ううん。そうでも無いらしいけどお世話が大変みたいなの」
確かに、ロランは早朝から世話をしている。昨日ここに来た時もだ。
朝に走らせるのは犬を散歩させるような物かな?
姉と一緒なら出来るかも?だが、ようやく3歳になる俺には荷が重い
そして冒険者ギルドに着く。ママは当たり前の様に中に入る。俺達もついていった。
「おはよ・あ、エルザさん」
椅子に座ってたティアさんが立ち上がる。他に居た冒険者達もこちらを見て頭を下げた
さすがご意見番のママ
「おはよう。ドクさんは居る?」
「居ますよ。魔獣の事で朝から大変です」
ティアさんと目が合う
「おはよ」
「エディ、やっと帰ってきたのね」
「どう言う事?」
ママが聞く
「私の息子なの」
(まだ続けるか)
「あらエディ、いつの間に養子に行ったの?」
(ママも本気にしないで)
ロランが俺を引き寄せる
「じゃあティアもママになるの?」
(・・・)
ロラン、どういう意味ですか?
3人はかみ合わない話を進める。姉ちゃんはついてこれない
そしてドク爺が来た
「おや?エルザじゃないか」
「おはよう。ロランの事で少し話したい事があるの」
「じゃあ中で聞こうか」
ギルド長の部屋に入り、昨夜家族で話した事をドク爺に伝える
「いいぞ。やっとロランも居候先が決まったか」
「どゆこと?」
「ギルドでも宿舎を用意しとるが部屋数に限度がある。独り身にはなるべく何処かで部屋を借りる様に勧めとるんじゃ」
「そうなんだ」
「ロランは皆が怖がっての・・」
「こわくないよ?」
「いや、近代魔法じゃ。下手すれば家ごと吹き飛ぶ」
そっちか
「いそーろーって、いやがる人はいないの?」
「この街は全員と言えるぐらいが冒険者か経験者じゃよ」
この街って10万人以上いたよね?
「そんなにおおいの?」
「殆どがアオキ・セイジの生前から居た者の子孫か、本を読んでやって来た者だ」
「どく爺は?」
「親父がアンガスと共にここへ来た。そしてアオキの子達を支える為にこの街に永住したんじゃ」
(なるほど)
今度は姉ちゃんが聞く
「ドクさんはアンガスさんを知ってるの?」
「いいや。ワシが生まれたのはアオキ亡き後じゃ」
ドク爺はロランを見る
「フェルヴにはギルドから伝えておく。ロランはジャンに会っておけ」
「え~」
「え~じゃない、ただでさえ忙しい奴じゃ。あまり心労はかけさせるな」
「は~い」
「ジャンには今朝早くにエディットが向かったから話は通してると思うわよ」
とママ。
「ああ、ここにも来とった。今は地龍が出た場所に行っておる。昼までには戻ると思うぞ」
「あなた達どうする?お母さんは仕事に向かうけど」
どうしようかと思ってると姉ちゃんが口を開く
「近代魔法の指南書見てみたい・・」
「いいぞ」
ドク爺は立ち上がり机から鍵を出す
「じゃあお母さんは行くわね」
ママはそそくさと出て行った。見たくないのかな?
階段を上がり4階まで行く。外からは気付かなかったが4階建てだった。
そして端の部屋に行き鍵を開け、中に入る。
そこには分厚い辞書の様な本が本棚に沢山あった
「これらが近代魔法の指南書じゃよ。162冊ある」
「「・・・」」
一冊と思い込んでいた俺がバカだった
母国で天才少女と呼ばれたロランが、6歳から10年近く費やして覚えた近代魔法。甘くは無かった
姉ちゃんもビビる
「近代魔法ってそんなに沢山あるの?」
「それもあるが、物によっては一つ覚えるのに20ページ程かかるらしい」
ドク爺は一冊を手に取り開く。読めない字だ。共用語って奴か?
なんかママが逃げる様に仕事に行った理由が分かった気がする
(精霊魔法のエルフの言葉は理解できたけど、文字は無理か)
初っ端なからハードルが高かった
ーーーーー
3人で本を見つめる
「しょうかいの人もこれでべんきょうしたの?」
ドク爺は頷くが・・
「殆どがマジックバックを作れる様になった所で止めておるの。全て使えるのは世界を見渡してもロランぐらいじゃろう」
「ろらん、きんだいまほうって何があるの?」
「何って?」
「ほかのまほうでできない事」
「いっぱいあるよ?」
「おもしろそうなのは?」
「例えば?」
「う~ん・・空をとんだり?」
「複合魔法になるわね。飛ぶのは2つの複合魔法陣を使うわ」
(できるんだ)
「どんななの?」
「回転翼陣に気圧魔法の魔法陣を加えるの。もう一つは反動防止の回転翼陣に軽量化ね。これらを重ねるの」
前世の航空機を思い出す
(回転?ヘリかな?って、魔法陣にも反動があるんだ。いや気圧が関係するから?)
(空と言えば・・)
「水にももぐれるの?」
「潜るのは3つの支援魔法ね。色素支援と疲労回復に体温維持ね」
「しきそ?」
「水に潜る動物が持つタンパク質。ミオグロビンが酸素を沢山貯めるの。対象者の魔力がミオグロビンだと魔法陣で勘違いさせるのよ」
確かクジラとかそうだっけ?
「エルとエディの魔力だと・・飛ばせるのはこのゴミ箱ぐらいで数十秒?水には3分ぐらい潜れるね」
どうせ俺の魔力はゴミですよ。そう言えばロランは秒とか分とか使うな
「さんふんって?」
「時間ね。時計を持っていれば分かるけど、私は感覚で覚えてるよ」
(時計あるのか)
「見たことないよ」
ドク爺が続ける
「持ってるのは貴族や王族と会う必要がある連中ぐらいじゃよ。商会も持ってるがマジックバッグの為と言えるの」
(時間停止か)
確かにこの世界の住民は時間にアバウトである。ほぼ太陽の位置で行動を決めてる感じだ。
姉ちゃんはロランに訊ねる
「ロランさんはこれを全部覚えたの?」
首を縦に振るロラン
「ロランでいいよ」
「じゃあ4月になったら私もする!」
「やるなら今すぐの方が良いよ?」
「そうなの?」
「やる気がある内にね。私も逃げ出したいって思ったから」
・・そうだった
ロランは自分の意思と関係無く、近代魔法を無理やり覚えさせられたのだ
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農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
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