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第29話「フレア・サストレ」
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姉ちゃんの誕生日当日。大きな人工プールに来ているが、今はレノンと一緒に幼児用プールでリーサに世話してもらっている。
姉ちゃんと一緒に居ると、同級生達にもみくちゃにされてしまった。
(幼児ならではの特権だが、子供に興味は無い)※姉は除く
と言う事でレノンと親睦を深めているが、何か落ち着かない。レノンにもリーサにも不満は無い。
何かが足りないのだ
ロランを見る。椅子に座って遊んでいる子供たちを眺めている。
(ロランも泳げば良いのに・・)
今は監視員をしているが、使用しているプールはあまり深くない。そして姉ちゃんの関係者ばかりなので、お互いの目もある。
「ちょっとロランのとこいってくる」
そうリーサに言い、ロランの所に行く
「およがないの?」
「監視頼まれてるし?」
「だいじょうぶだと思うよ。浅いし人もおおいし」
「それが油断って物だよエディ」
「そうなの?」
ロランが2人の冒険者の方に指を指す
まず長身サーベルを持つリミエ。プールに入り、ビキニ姿で仁王立ちの状態。
(・・・)
もう一人の新婚冒険者の新妻セティ。スク水みたいなワンピースを着て浮き輪に乗ってぷかぷか浮いている。
(・・・)
ロランを見る
「ね?手を抜けないでしょ?」
うん・・あの二人は今にも子供たちに混ざりそうだ。
しょうがないのでロランの横に座った。するとロランに抱き上げられて膝の上に乗せられた。
(やわらかい・・)
「でも来てくれてありがとね」
やっぱり寂しかったのだろうか・・・俺も寂しかったし
(あれ?)
・・考えない様にしよう
ーーーーー
「「ズドン!」」
ロランにもたれ掛かって遊んでる子供たちを見てると、入り口で破裂音がした
「何!?」
全くの予想外で、さすがにロランも驚く
(あー・・金髪縦巻きロールのお嬢様か。確かフレア?だっけ?)
魔法を使ったのだろうか・・職員が一人臥せっている
(領主様が敵にしかならないと言ったけど、何となく理解できたな)
ロランから飛び降り、職員に向かった
(やばくね?結構な重症じゃね?)
「ふんっ。平民が私に触れようとするからよ」
(ダメだこいつ)
「おねーさん、何しにきたの?」
「泳ぎによ。全員出て」
「はい?」
「平民に肌を晒す事は出来ないでしょ」
「おんなのこばっかだよ?」
「そう言う意味じゃないわよ?」
後ろを見る。護衛の冒険者達は天を仰いでいた
「そんな事より出て」
そう言い杖を俺の目の前に向ける
(マジかよこの人)
「ここはみんなであそぶとこだよ。身分かんけいないよ」
この一言でイラッと来た様だ。杖の先に魔法陣が出る
(やべえ)
そう思った瞬間、目の前を風が通り抜けた
「「え?」」
魔法は発動せずに、魔法陣は消滅した
「あなた、何したの?」
横を見るとリミエが居た。手に持ってるのは銅板の冒険者カード
(銅板で魔法陣を切った?)
「これ以上騒ぎを起こさないでくれる?ロランがブチ切れそうなんだけど?」
お互い母国語なので通じて無いが、そう言いながら親指で後ろを指す。そこには俺が見た事ないロランが居た
「ロラン?ロランですって?」
フレアが共用語で話しかける
「あなたゼフィラムに行ったのじゃないの?」
「何でゼフィラム?」
「・・・」
「それよりデリスに現代魔法は伝わっていないはずよね?」
「・・教えてくれる人はいくらでも居るわ」
「「・・・」」
(あー・・・誘拐か)
護衛のリーダーっぽい人がフレアに話しかける
「これ以上は・・・この地の領主にまた呼ばれますよ?」
「ちっ」
最後に俺を睨みつけて出て行った
(あの人とは仲良く出来そうに無いな)
「まずは治療!」
リミエが叫び、遠巻きに見ていた職員に指示をだす。まず応急処置を始める
(さすが冒険者。慣れたもんだ)
リミエとセティが応急処置をする。
「ここって馬車あったっけ?」
セティが職員に尋ねる
「荷車しか・・」
「じゃあポルに曳いてもらいましょ」
ロランが上着だけ着てポルを呼びに行く。
それを見てリミエが一言つぶやく
「あ~怖かった」
「ん?あのおじょうさま?」
「違う、ロラン。あのままだったら隕石の魔法使ってたね~」
(俺ごと・・いや、街ごと消滅してたな)
ポルに荷車を繋ぎ、怪我をした職員を乗せる。
「じゃあちょっとポルを借りるよ」
そう言ってリミエがポルに乗る。
「私も行こうか?」
セティが尋ねるが、リミエは首を振りプールの方を指さす
「「あ」」
子供たちが心配そうにこちらを見ていた
「せっかく楽しんでるんだから、大事に見せないように」
そう言ってリミエは治療院に向かった。
ーーーーー
時間は4刻半(午後3時)を過ぎ、プールの時間は終わりになる。みんなしっかり日に焼けていた。
職員に頼んでいたアイスクリームを出してもらい、皆で食べる。そして一人ずつ姉ちゃんに誕生日プレゼントを渡していく。
借り切り状態だから出来る事だが、パーティー用の建物も作ってもらった方が良いかも知れない。
皆が帰宅を始める中、リミエが戻ってきた
「あのひと、どうだった?」
「どうも何も、あの新しい先生何者?いつの間にか顔の火傷が無くなってたよ?」
(癒しの魔法使ったのか・・って、もうそんな事できるの?)
「おうとでゆうめいな先生らしいよ?」
「納得だわ~」
「・・ああ、そうそう。ありがとう」
「何?」
「たすけてくれて・」
「ああ。師匠の子だから当然。気にしなくていいよ」
(・・・何ですと?)
「パパのでし?」
「そうよ。魔法陣を切ったのも師匠の技よ」
(こんな若いお姉さんが弟子ってよくママが許してくれたな。やっぱり優しいなママ)
「あ~それとロラン」
「何?」
「明日朝一でギルドに来てって。セティもね」
「「え~」」
「ジャンが外出してるからね。明日事情を聞くって」
セティは早々に諦める
「ま、明日も監視員だけだし、仕方ないわね」
「レミの誕生日で来るから・・まあいいか」
ロランも受け入れる
そうしてお開きになった
ーーーーー
帰宅途中、友達と泳いでいたので事情がよく分からない姉ちゃんに説明した
「そんな怖い人だったの?」
「う~ん・・あたまがおかしい?」
「魔法って人を傷つける物じゃないよね?」
ロランが肯定する
「当然。人を守るための物よ」
意外な言葉を聞いて思わず聞き直す
「ロランってそんな考えだっけ?」
(ロレインが言う様に変わったのかな?)
「私はエディもエルも失いたくないって思ってる。だから二人とも守るよ」
「ロラン・・」
姉ちゃんは感動している
(それじゃあ隕石の魔法は止めてくださいね)
家に着いたら馬車が来ていた。
「りょうしゅ様のばしゃ?」
「みたい」
ポルとリックの世話をして家に入ると、ママが迎えてくれる。
「おかえり。ロレインとセレスが来てるわよ」
中に入ると巨大な肉が目についた
「にく?」
「おかえりエディ。エル、誕生日おめでとう」
「エルお姉ちゃん、おめでとう」
「あ、ありがとう・」
ロレインとセレスが祝って誕生日プレゼントを渡す
「これは?」
「ディフィルバイソンの角の一部。魔装具にしてもらったんだよ」
(おお、また魔装具。じいちゃんと違って出所は怪しくない)
指輪である。角と言ったが琥珀に見える感じだ。早速人差し指にはめる。
「ぴったり。だけど大きくなったらどうしよう?」
「魔力が籠ってるからね。エルに合わせて指輪も大きくなるよ」
「へえー」
ん?もしかして
「このにくは?」
「ディフィルバイソンだよ」
やっぱり。祭りで食べた滅茶苦茶美味い奴だ
「どうしたの?」
「今騎士団が演習に入ってるんだよ。お父さんが出向いて直接買い付けてきたんだ」
(北の大森林へ?)
「そのお裾分け」
もしかして姉ちゃんのため?いや俺の?
「他にも沢山配っているから気にしないで食べてよ」
(それで領主が居ないのか)
夕食の用意をしていたママが戻ってくる
「ロレイン達も食べてく?」
「はい。ご馳走になります」
「ご馳走になるのはこっちだけどね」
そう言いママが肉を持って行った
ーーーーー
香ばしい肉の香りがする中、皆で談笑する
「でふぃるばいそんってどんななの?」
「う~ん・・肩の高さまでは3m以上。重さは6トンの魔牛」
「「・・・」」
「足が速いから、走って逃げられる生物は少ないかな?」
「「・・・」」
「角は伸縮自在。鋼鉄の盾も突き破るね」
「「・・・」」
「頑丈な肉体で、大岩に体当たりしても平気なぐらい」
「どうやってたおすの?」
「騎士団は強いだけじゃなくて装備が良いからね。魔剣に魔装具は当たり前」
(なるほど)
「でも装備抜きなら、この地の冒険者の方が強いかな?」
「へえー。ふろすとさんとか?」
「模擬戦の名簿に彼の名前があったら、騎士団員も仮病を使うって言われるぐらいだよ」
(そんなすごいのか、あの人)
「ふろすとさん、強いんだ」
「う~ん・・・強いだけじゃないけどね」
「そうなの?」
「一部には騎士団虐めと言ってる人もいるぐらい」
「いじめ?」
「一撃で気絶させるとかじゃなくて、時間ギリギリまでダメージを与え続ける?」
(やらしいな、それ)
模擬戦の話題で盛り上がる事になる。王都の祭りで、年一回行われるらしい。
指定された装備で単純な強さを競う競技でもあり、各領地から代表3名(内魔法使い1名)が参加するらしい。
ロバルデューでは4年連続でフロストが代表に選ばれており、現在の王都では悪名が高い。
騎士団員は女性にモテるのだ。
ちなみに他2名の代表は若手・新人から選ばれている
(もしかしたら、姉ちゃんにもチャンスがあるかも?)
盛り上がってると夕食ができた。久しぶりにあの美味い肉を堪能する。
やはり食事が美味いと皆笑顔だ。アオキが来る以前から食が発展していたのも頷ける。
アオキの功績は、この笑顔が庶民にも浸透した事だろう
ーーーーー
夕食が終わり寛いだ後にロレインとセレスは帰宅した。
ロランと姉ちゃんとお風呂に入り、寝室に行く。今日も3人で寝る事になった。
「そうそう、ねえちゃんにたんじょうびプレゼント」
「え?プールじゃないの?」
「プールはまちの財産だから」
ウエストバッグから青紫の帽子を取り出す。前世の物語では魔法使い必須アイテム。
中央の三角部分は折れ曲がるほど長く、肩まで日除けになる広い鍔を持つ帽子。
今の姉ちゃんにはまだ大きいが、成長すれば良い感じになるだろう。
「変な形。これは?」
「なんとなく、こんなのいいなって思って」
ロランに付けてもらう。ローブを着て帽子を被る
「可愛い!」
姉ちゃんは気に入ってくれた
(う~ん、何か足りない。杖?ロランは杖使わないし)
ほうきを持ってきてロランに渡す
(これだよ、これ!)
ロランはジト目でこっちを見てくる
「ロランのもあるよっ」
笑顔になった
ロランのは黒っぽい紫。ローブが真っ黒だし、黒だと味気が無いと思ったからだ。
素材は型崩れしないように魔獣の皮を使い、肌触りの良い繊維で編んでもらった。
魔獣の皮は、領主様に相談したら余っていたのをくれたのだ。
ーーーーー
領主side
夜遅くにロバルデューの領主、ジャン・シルヴェストセイジは帰宅する
「お帰りなさいませ」
執事のロバートが迎えた
「食事の方は?」
「何処に行っても色々出されたよ。もう食えん」
「はっは。ディフィルバイソンの肉は人気ですからなあ」
「留守の間どうだった?」
「あのお嬢さんがまたやらかした様です」
ロバートが書類をジャンに渡す
「はぁ~・・デリスではどんな教育をしているんだ?」
「明日の朝、リミエ達が事情を説明してくれる様ですよ」
「職員の方は?」
「ジェフリー医師が癒しの魔法を使った様です。火傷の跡は綺麗に無くなりましたよ」
「凄まじいな、あの人は」
「ええ。恐怖を感じるレベルですね。どんな詠唱になっているのか興味があります」
「医師だからこそ出来る詠唱なんだろう。初代は専門では無かったしな」
「それにしてもあのお嬢さん、軟禁した方がよろしいのでは?」
「そうなるとデリスに伝えなきゃならん。ややこしい事になるぞ?」
「ふむ。では監視を付けましょう」
「さっさと帰国してくれたら良いのだが・・明日彼女を見て変わっていないならそうするか」
翌朝。ジャンは冒険者ギルドで説明を受けるが、フレアは顔を出さず、宿屋にも不在だった。
姉ちゃんと一緒に居ると、同級生達にもみくちゃにされてしまった。
(幼児ならではの特権だが、子供に興味は無い)※姉は除く
と言う事でレノンと親睦を深めているが、何か落ち着かない。レノンにもリーサにも不満は無い。
何かが足りないのだ
ロランを見る。椅子に座って遊んでいる子供たちを眺めている。
(ロランも泳げば良いのに・・)
今は監視員をしているが、使用しているプールはあまり深くない。そして姉ちゃんの関係者ばかりなので、お互いの目もある。
「ちょっとロランのとこいってくる」
そうリーサに言い、ロランの所に行く
「およがないの?」
「監視頼まれてるし?」
「だいじょうぶだと思うよ。浅いし人もおおいし」
「それが油断って物だよエディ」
「そうなの?」
ロランが2人の冒険者の方に指を指す
まず長身サーベルを持つリミエ。プールに入り、ビキニ姿で仁王立ちの状態。
(・・・)
もう一人の新婚冒険者の新妻セティ。スク水みたいなワンピースを着て浮き輪に乗ってぷかぷか浮いている。
(・・・)
ロランを見る
「ね?手を抜けないでしょ?」
うん・・あの二人は今にも子供たちに混ざりそうだ。
しょうがないのでロランの横に座った。するとロランに抱き上げられて膝の上に乗せられた。
(やわらかい・・)
「でも来てくれてありがとね」
やっぱり寂しかったのだろうか・・・俺も寂しかったし
(あれ?)
・・考えない様にしよう
ーーーーー
「「ズドン!」」
ロランにもたれ掛かって遊んでる子供たちを見てると、入り口で破裂音がした
「何!?」
全くの予想外で、さすがにロランも驚く
(あー・・金髪縦巻きロールのお嬢様か。確かフレア?だっけ?)
魔法を使ったのだろうか・・職員が一人臥せっている
(領主様が敵にしかならないと言ったけど、何となく理解できたな)
ロランから飛び降り、職員に向かった
(やばくね?結構な重症じゃね?)
「ふんっ。平民が私に触れようとするからよ」
(ダメだこいつ)
「おねーさん、何しにきたの?」
「泳ぎによ。全員出て」
「はい?」
「平民に肌を晒す事は出来ないでしょ」
「おんなのこばっかだよ?」
「そう言う意味じゃないわよ?」
後ろを見る。護衛の冒険者達は天を仰いでいた
「そんな事より出て」
そう言い杖を俺の目の前に向ける
(マジかよこの人)
「ここはみんなであそぶとこだよ。身分かんけいないよ」
この一言でイラッと来た様だ。杖の先に魔法陣が出る
(やべえ)
そう思った瞬間、目の前を風が通り抜けた
「「え?」」
魔法は発動せずに、魔法陣は消滅した
「あなた、何したの?」
横を見るとリミエが居た。手に持ってるのは銅板の冒険者カード
(銅板で魔法陣を切った?)
「これ以上騒ぎを起こさないでくれる?ロランがブチ切れそうなんだけど?」
お互い母国語なので通じて無いが、そう言いながら親指で後ろを指す。そこには俺が見た事ないロランが居た
「ロラン?ロランですって?」
フレアが共用語で話しかける
「あなたゼフィラムに行ったのじゃないの?」
「何でゼフィラム?」
「・・・」
「それよりデリスに現代魔法は伝わっていないはずよね?」
「・・教えてくれる人はいくらでも居るわ」
「「・・・」」
(あー・・・誘拐か)
護衛のリーダーっぽい人がフレアに話しかける
「これ以上は・・・この地の領主にまた呼ばれますよ?」
「ちっ」
最後に俺を睨みつけて出て行った
(あの人とは仲良く出来そうに無いな)
「まずは治療!」
リミエが叫び、遠巻きに見ていた職員に指示をだす。まず応急処置を始める
(さすが冒険者。慣れたもんだ)
リミエとセティが応急処置をする。
「ここって馬車あったっけ?」
セティが職員に尋ねる
「荷車しか・・」
「じゃあポルに曳いてもらいましょ」
ロランが上着だけ着てポルを呼びに行く。
それを見てリミエが一言つぶやく
「あ~怖かった」
「ん?あのおじょうさま?」
「違う、ロラン。あのままだったら隕石の魔法使ってたね~」
(俺ごと・・いや、街ごと消滅してたな)
ポルに荷車を繋ぎ、怪我をした職員を乗せる。
「じゃあちょっとポルを借りるよ」
そう言ってリミエがポルに乗る。
「私も行こうか?」
セティが尋ねるが、リミエは首を振りプールの方を指さす
「「あ」」
子供たちが心配そうにこちらを見ていた
「せっかく楽しんでるんだから、大事に見せないように」
そう言ってリミエは治療院に向かった。
ーーーーー
時間は4刻半(午後3時)を過ぎ、プールの時間は終わりになる。みんなしっかり日に焼けていた。
職員に頼んでいたアイスクリームを出してもらい、皆で食べる。そして一人ずつ姉ちゃんに誕生日プレゼントを渡していく。
借り切り状態だから出来る事だが、パーティー用の建物も作ってもらった方が良いかも知れない。
皆が帰宅を始める中、リミエが戻ってきた
「あのひと、どうだった?」
「どうも何も、あの新しい先生何者?いつの間にか顔の火傷が無くなってたよ?」
(癒しの魔法使ったのか・・って、もうそんな事できるの?)
「おうとでゆうめいな先生らしいよ?」
「納得だわ~」
「・・ああ、そうそう。ありがとう」
「何?」
「たすけてくれて・」
「ああ。師匠の子だから当然。気にしなくていいよ」
(・・・何ですと?)
「パパのでし?」
「そうよ。魔法陣を切ったのも師匠の技よ」
(こんな若いお姉さんが弟子ってよくママが許してくれたな。やっぱり優しいなママ)
「あ~それとロラン」
「何?」
「明日朝一でギルドに来てって。セティもね」
「「え~」」
「ジャンが外出してるからね。明日事情を聞くって」
セティは早々に諦める
「ま、明日も監視員だけだし、仕方ないわね」
「レミの誕生日で来るから・・まあいいか」
ロランも受け入れる
そうしてお開きになった
ーーーーー
帰宅途中、友達と泳いでいたので事情がよく分からない姉ちゃんに説明した
「そんな怖い人だったの?」
「う~ん・・あたまがおかしい?」
「魔法って人を傷つける物じゃないよね?」
ロランが肯定する
「当然。人を守るための物よ」
意外な言葉を聞いて思わず聞き直す
「ロランってそんな考えだっけ?」
(ロレインが言う様に変わったのかな?)
「私はエディもエルも失いたくないって思ってる。だから二人とも守るよ」
「ロラン・・」
姉ちゃんは感動している
(それじゃあ隕石の魔法は止めてくださいね)
家に着いたら馬車が来ていた。
「りょうしゅ様のばしゃ?」
「みたい」
ポルとリックの世話をして家に入ると、ママが迎えてくれる。
「おかえり。ロレインとセレスが来てるわよ」
中に入ると巨大な肉が目についた
「にく?」
「おかえりエディ。エル、誕生日おめでとう」
「エルお姉ちゃん、おめでとう」
「あ、ありがとう・」
ロレインとセレスが祝って誕生日プレゼントを渡す
「これは?」
「ディフィルバイソンの角の一部。魔装具にしてもらったんだよ」
(おお、また魔装具。じいちゃんと違って出所は怪しくない)
指輪である。角と言ったが琥珀に見える感じだ。早速人差し指にはめる。
「ぴったり。だけど大きくなったらどうしよう?」
「魔力が籠ってるからね。エルに合わせて指輪も大きくなるよ」
「へえー」
ん?もしかして
「このにくは?」
「ディフィルバイソンだよ」
やっぱり。祭りで食べた滅茶苦茶美味い奴だ
「どうしたの?」
「今騎士団が演習に入ってるんだよ。お父さんが出向いて直接買い付けてきたんだ」
(北の大森林へ?)
「そのお裾分け」
もしかして姉ちゃんのため?いや俺の?
「他にも沢山配っているから気にしないで食べてよ」
(それで領主が居ないのか)
夕食の用意をしていたママが戻ってくる
「ロレイン達も食べてく?」
「はい。ご馳走になります」
「ご馳走になるのはこっちだけどね」
そう言いママが肉を持って行った
ーーーーー
香ばしい肉の香りがする中、皆で談笑する
「でふぃるばいそんってどんななの?」
「う~ん・・肩の高さまでは3m以上。重さは6トンの魔牛」
「「・・・」」
「足が速いから、走って逃げられる生物は少ないかな?」
「「・・・」」
「角は伸縮自在。鋼鉄の盾も突き破るね」
「「・・・」」
「頑丈な肉体で、大岩に体当たりしても平気なぐらい」
「どうやってたおすの?」
「騎士団は強いだけじゃなくて装備が良いからね。魔剣に魔装具は当たり前」
(なるほど)
「でも装備抜きなら、この地の冒険者の方が強いかな?」
「へえー。ふろすとさんとか?」
「模擬戦の名簿に彼の名前があったら、騎士団員も仮病を使うって言われるぐらいだよ」
(そんなすごいのか、あの人)
「ふろすとさん、強いんだ」
「う~ん・・・強いだけじゃないけどね」
「そうなの?」
「一部には騎士団虐めと言ってる人もいるぐらい」
「いじめ?」
「一撃で気絶させるとかじゃなくて、時間ギリギリまでダメージを与え続ける?」
(やらしいな、それ)
模擬戦の話題で盛り上がる事になる。王都の祭りで、年一回行われるらしい。
指定された装備で単純な強さを競う競技でもあり、各領地から代表3名(内魔法使い1名)が参加するらしい。
ロバルデューでは4年連続でフロストが代表に選ばれており、現在の王都では悪名が高い。
騎士団員は女性にモテるのだ。
ちなみに他2名の代表は若手・新人から選ばれている
(もしかしたら、姉ちゃんにもチャンスがあるかも?)
盛り上がってると夕食ができた。久しぶりにあの美味い肉を堪能する。
やはり食事が美味いと皆笑顔だ。アオキが来る以前から食が発展していたのも頷ける。
アオキの功績は、この笑顔が庶民にも浸透した事だろう
ーーーーー
夕食が終わり寛いだ後にロレインとセレスは帰宅した。
ロランと姉ちゃんとお風呂に入り、寝室に行く。今日も3人で寝る事になった。
「そうそう、ねえちゃんにたんじょうびプレゼント」
「え?プールじゃないの?」
「プールはまちの財産だから」
ウエストバッグから青紫の帽子を取り出す。前世の物語では魔法使い必須アイテム。
中央の三角部分は折れ曲がるほど長く、肩まで日除けになる広い鍔を持つ帽子。
今の姉ちゃんにはまだ大きいが、成長すれば良い感じになるだろう。
「変な形。これは?」
「なんとなく、こんなのいいなって思って」
ロランに付けてもらう。ローブを着て帽子を被る
「可愛い!」
姉ちゃんは気に入ってくれた
(う~ん、何か足りない。杖?ロランは杖使わないし)
ほうきを持ってきてロランに渡す
(これだよ、これ!)
ロランはジト目でこっちを見てくる
「ロランのもあるよっ」
笑顔になった
ロランのは黒っぽい紫。ローブが真っ黒だし、黒だと味気が無いと思ったからだ。
素材は型崩れしないように魔獣の皮を使い、肌触りの良い繊維で編んでもらった。
魔獣の皮は、領主様に相談したら余っていたのをくれたのだ。
ーーーーー
領主side
夜遅くにロバルデューの領主、ジャン・シルヴェストセイジは帰宅する
「お帰りなさいませ」
執事のロバートが迎えた
「食事の方は?」
「何処に行っても色々出されたよ。もう食えん」
「はっは。ディフィルバイソンの肉は人気ですからなあ」
「留守の間どうだった?」
「あのお嬢さんがまたやらかした様です」
ロバートが書類をジャンに渡す
「はぁ~・・デリスではどんな教育をしているんだ?」
「明日の朝、リミエ達が事情を説明してくれる様ですよ」
「職員の方は?」
「ジェフリー医師が癒しの魔法を使った様です。火傷の跡は綺麗に無くなりましたよ」
「凄まじいな、あの人は」
「ええ。恐怖を感じるレベルですね。どんな詠唱になっているのか興味があります」
「医師だからこそ出来る詠唱なんだろう。初代は専門では無かったしな」
「それにしてもあのお嬢さん、軟禁した方がよろしいのでは?」
「そうなるとデリスに伝えなきゃならん。ややこしい事になるぞ?」
「ふむ。では監視を付けましょう」
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【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
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しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
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公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
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