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……ある
しおりを挟む乙姫が奥深くまで肉を沈めたオナホが、どぷんどぷんと震えた。これまたゾッとする勢いだった。
いよいよ太ももにも力を入れていられなくなり、タコが、乙姫の精液がたっぷり詰まったオナホを持ってどこかへ泳ぎ去る。同時にうしろから海松人が俺を抱き留め、乙姫から引きはがした。
「おい、勝手に抜いてんじゃねえ」
「隼(シュン)さまはもう限界です。本当に殺してしまうおつもりですか」
演技などするまでもなく、俺は息も絶え絶えで、海松人に寄りかかるのが精一杯だった。
海松人はそんな俺をチラッと見て、声に怒りを滲ませた。
「命の恩人をこのような形で失うわけにはまいりません。あとは、タイやヒラメと遊んでください」
「……ちっ、仕方ねえな」
乙姫の移動と共に水も引いていく。体がぐんと重くなったけど、海松人は危なげなく俺を抱き留め、クッションの上に横たえた。
そのまま疲れて眠れたらどれほどよかったか。
股間が張り詰めてそうはさせてくれなかった。
あれだけ怖い目に遭ったのだ。萎えていいんだよ?
なんで、ギンギンなんだ……。
相当決まりは悪いが、出してしまわなければ治まりそうもない。
別室からは歓声が聞こえてくる。乙姫はガチムチたちと楽しんでいるようだ。だったら、最初からそっちでやってくれ。
ため息交じりに自分のモノに手を伸ばしたのだが、その前に海松人の長い指がそれを握りこんだ。
「ちょっ、海松人さん!」
「いいえ、隼さま。やらせてください。大丈夫、乙姫様と違って優しくしますよ」
海松人はもう、念話を使わなかった。
乙姫はすでに狂乱のさなかだ。必要ないと思ったのだろう。
またオモチャが出てくるのかと思ったら、海松人はそのまま素手で俺のモノをしごいた。そうしながら俺に柔らかなキスをくれた。
唇はすぐに離れてしまった。俺の反応を確かめるように。心配そうにこちらをのぞき込んでいる。
黒目勝ちの瞳が、潤んでいてすごくきれいだった。
なんとかこっちがファーストキスだったってことになんないかな。
乙姫は直(チョク)、舌だったわけだし。
あんなん忘れて、この人とのキスが初めてっていうことに。
思考がまた、だだ漏れになってしまったのか海松人は顔を火照らせた。
それを見ていたい気もするけど、キスもしてほしい。
願いはすぐに叶えられた。
柔らかく噛むようなキスも。少し角度を変えて、わざと音を立てるようなキスも。いたずらに舌先でつつかれるのも。全部良い。
気づけば俺はうっとりと彼女に身をまかせ、導かれるままに射精していた。
「めっちゃいいよ、海松人さん……」
彼女はどこか勝ち誇ったような、男前な笑みを浮かべた。
うわあ、そういう顔もいい……。
それはともかく困ったことが。
なんでまだ萎えてない!
「嘘だろ。俺にそんなポテンシャルはないはずだ!」
「乙姫の、神通力の影響です。言っちゃあなんですが、彼、魔羅(まら)ばかりが自慢で肝心の行為は下手でしょう? だからそれをごまかすため、部屋ごと媚薬のようなもので包んでしまうんです」
「エロ漫画みたいなことあった!」
「はい?」
「俺、やっぱ盛られてた。すげえ感じるんだもん、変だよ思ったよ」
わっと顔を覆って嘆くと、彼女は苦笑しつつも俺の頭を撫でてくれた。
「神々相手ならそれでいいのですが、人間はもっと繊細なのに……。本当に申し訳ありません」
「海松人さんが、謝ることじゃないよ」
あのとき、逃げ遅れた自分ののろまを呪うとしても、カメを助けたことを後悔しないと思う。
漁網が絡まる、痛々しいウミガメ。
あれを無視するなんて、俺にはできない。また同じようなことがあったら、懲りずにまた助けるだろう。
「隼さま……」
海松人がハッとしたようにこちらを見た。
「今のも聞こえて……」
「本当に、困った人ですね。――惚れてしまいそうです」
耳元でささやくようにそう言われ、俺の股間がますます熱くなった。
「必ず隼さまを助けます。だから、今だけはどうか耐えてください。あとでどれだけ罵ってくださっても構いません」
そう言いながら、海松人は服をはだけた。
驚きつつもついついガン見してしまった俺は、すぐに違和感に気がついて固まった。
胸がない。いや、華奢だからかも。
肌はすんごく綺麗だよ。白く滑らかで、胸は控えめだけど垣間見えた乳首は綺麗なピンク色だし。
けれど視線を下げれば期待はあっけなく散っていく。
「……ある」
そう、布越しでもハッキリわかる。彼の股間はいまや、立派にそそり立っていた。
「海松人さん……。男だったのか。美女とか言ってごめんなさい」
「そこで謝っちゃうんですね」
海松人はここにきて、迷いを見せた。ため息をついてすっと目をそらした。
「隼さまのそれは、もう中から絞り出すしかないと思うんです。男茎(おはせ)ばかり刺激してはすりむけてしまいそうですし」
「おは……、なんでさっきからちょいちょい言いかた変えるの? ちんことかじゃダメなの」
気になってしょうがないんだけど……。
いや、それより今すりむけるとか言った?
おそるおそる自分のものを見下ろす。確かに、ちょっとヒリヒリしてるかも。
にしても、海松人はなんで黙ってるんだ?
視線をやると、彼はぷるぷる震えていた。
ひょっとして怒らせた?
「隼さまいけません。隼さまのようなお可愛らしい方が、そのような言葉を使っては、――正直興奮します」
「ほんとヒドイな!」
あの乙姫に、見た目だけなら美しいとか言われちゃうわけだよ。あと、可愛いってなんだ。竜宮の人の美的感覚って変。
「あの、コレがどうしてもお嫌でしたら、オモチャのほうにいたしましょうか」
「え?」
からかわれているのかと思えば、「コレ」と雑に自分のものを指したくせに、海松人は沈んでいるように見えた。
がっかりすんなよ、断りづらい。それに海松人だって、あのままじゃツラいだろう。
俺はあまり迷わなかった。
「いいよ」
彼が男と知ってなお、味わってしまったキスの快感は振り払えそうもなかった。それに海松人は顔だけじゃなく、体もなんだか綺麗だ。程よく筋肉がついた腕も、布の隙間からチラリとのぞく、すらりと長い脚も。
乙姫の振りまいた媚薬のせいなのかな。
触れてみたいと思った。
あとで後悔するかもな。
チラリとそんなことがよぎるが、どのみち美人を落ち込ませるのは性に合わない。
「いいよ。海松人さんので。あれ見たあとじゃ、可愛く……はないけど……」
うん、彼のもなんていうか、立派だな。
「けど、行けそうに思える。まだ人体の範疇。それよか、マジでもうキツイ。お願い、どうにかして」
「おねだり……」
「いいから、そこ、反応しなくて!」
海松人は苦笑したあと、ふと顔つきを変えた。簪を外すと、さらりと長い黒髪が背中にこぼれる。伏せていたまつげを上げたとき、美女だとばかり思っていた彼の顔つきが変わり、男を感じさせる鋭いまなざしとなった。
俺は思わず唾をのむ。
がっかりなんてしなかった。むしろ、ちょっと期待している。
俺、本当に抱かれちゃうんだ。
海松人はまず、指を入れた。具合を確かめるように中で動くその指が、すでにちょっと気持ちいい。
「大丈夫そうですね」
自分じゃよくわからないけど、頷いておく。もう、彼にゆだねるしかない。
彼はキスをしながら、俺の両手に何か巻き付けた。
「ん!? 何してんの!」
ぎょっとして見ると、わかめっぽいもので腕を縛り上げられていた。
「海松人さん? なにこれ」
「え? 似合うと思いまして」
「趣味かよ!」
彼はそれから、いそいそと俺の腰をイソギンチャクのようなもので支えて、周りも海藻で飾り立てる。
「何してんの、なんでここに来て雰囲気整えようとしているの!」
「せっかくなので」
「もう待てないよ。なんかもう無駄に焦らされたせいで、尻の穴がじんじんしてるし。早く入れて!」
「はい、ただいま」
いい笑顔で答えてから、海松人はようやっと布の隙間からイチモツを取り出した。
お待ちかね、みたいな出し方するんじゃねえよ。いや、待ってたんだけど。
こんなアホなやり取りをしているにもかかわらず、いざそれを尻に当てられると、俺はやはりこわばってしまった。
海松人がそれに気づき俺の頭を撫でてなだめる。
悔しいけど、男だけど、ついでに変態だけど、やっぱり俺は彼に見惚れてしまうのだった。
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